日本書紀講義1 清陽(すみてあきらか)



どんなときでも、明るく、あたたかく、笑顔で日々を送ること。
清潔な暮らしを心がけること。
そうすれば、コロナウイルスだって、避けて通ってくれるのです。

20200428 清陽
画像出所=https://yoso-walk.net/clear-water/
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日本書紀講義1 清陽(すみあきらか)
日本書紀講義2 国之常立尊
日本書紀講義3 創生の男女神
日本書紀講義4 磤馭慮嶋(おのごろじま)
日本書紀講義5 陽神左旋・陰神右旋
日本書紀講義6 陽神左旋・陰神右旋(修正版)

新型コロナで、閉塞感の漂う日々ですが、だからといって気持ちを重く濁ったものにしてはいけません。
助かりたいと思うなら、清く明るく日々を過ごすことです。
そういうことが日本書紀の冒頭に書いてあります。

そこで日本書紀の講義をブログに不定期ですが、書いてみたいと思います。
これは、拙著『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』をさらに補強するものです。

日本書紀が元正天皇に献上されたのが、西暦720年のことで、それはちょうどいまから1300年前のことです。
実は、その翌年(721年)から日本書紀は、貴族の子女たちの教科書として使われるようになりました。
教育の仕方は、師匠が日本書紀を《大和言葉》で読み、その意味を講義するというものです。

こうして日本書紀を学んだ子たちは、成人して国司として地方に派遣され、そこで地方の豪族の子女らに講義を行いました。
そして、そこで学んだ豪族の子女たちが成人して、地方の地主の子女の教育にあたり、数十年の間に日本書紀は、我が国の教育の中心的柱として、完全に日本国内に普及していくことになりました。

こうして1200年の時が経ち、日本書紀は完全に我が国の精神的支柱として、あるいはアイデンティティの根幹を形成しました。
つまり、日本書紀を学ぶことは、そのまま我が国の古来からの精神的支柱、あるいは日本のアイデンティティを学ぶことです。
日本を取り戻そうとするなら、日本書紀を学べ!です。
なぜなら日本的アイデンティティとは、教育と文化による高い民度であり、それがいまに続く第41代持統天皇の御意志であり、日本の形であり、日本書紀によって形成されたものだからです。

今回は第一回として、日本書紀の冒頭の書き出しを学びます。
拙著『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』と併せて読まれると、より一層、理解が深まると思います。

はじめに原文を七五読みし、次いで現代語訳、解説とすすめていきたいと思います。

 ***

いにしへの                 古
あめつちいまだ  わかれずに    天地未剖
かげあきらかも  わかれずに    陰陽不分
とりのこのごと  こんとんの     渾沌如鶏子
ひろがるうみに  きざしあり     溟涬而含牙

すみてあきらか  なるものは    及其清陽者
うすくたなびき  あめとなり     薄靡而為天
おもくてにごり  たるものは     重濁者
つつひてつちと  なりにけり     淹滞而為地
くはしきたへは  ひろがりて     精妙之合博易
おもくにごるは  かたまりがたし  重濁之凝竭難
ゆへにさきには  あめがなり    故天先成而
のちにはつちが  さだまりぬ    地後定


20200401 日本書紀
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20191006 ねずラジ
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《現代語訳》
大昔、天地がまだ分かれていなくて、陰陽もまた分かれていなかったとき、混沌としたなかに、ほのかな兆(きざ)しがありました。
その兆(きざ)しの中の清(すみ)て陽(あきら)かなものは、薄くたなびいて天となりました。
重くて濁(にご)っているものは、停滞して地(つち)となりました。
美しく言いようもなく優れたものは広がりやすく、重くて濁ったものは固まりにくかったため、先に天が生まれ、後に地が定まりました。


 *

古典を読むとき、現代語訳だけを読んでわかった気になると、たいせつなメッセージを見失います。
その意味では、現代語訳を付けるよりも、解釈だけを先に述べた方が、かえって理解のたすけになるといえるかもしれません。
けれども問題は、多くの解説書が(残念なことに)誰かが現代語訳したものから、解説を加えようとしていることです。
すでに現代語訳した時点で、たいせつな意味が失われたり、ズレたりしているのです。

ズレたり失われたりしているものから再解釈をすれば、ズレは余計に拡大し、意味も違ったものになってしまいます。
古典文学について、こうしたことはかなり数多く行われています。
日本文学が好きで、せっかく大学まで行って4年間古典国文学を学んだのに、つまらない解釈しかできなくなってしまうのは、このためです。
大切なことは、常に「原点に還る」ことです。
ならば、やはり原文が大事です。

けれど原文は、日本書紀に関して言えば漢字ばかりで、一見したところ、意味不明です。
ところが、不思議なことに、大和言葉で七五読(しちごよ)みすると、なんとなく感じるものがあります。
これは日本人の不思議な特徴です。

さて、日本書紀には、古事記のような前文がなく、いきなり本文として、冒頭の言葉「古天地未剖(いにしへの あめつちいまだ わかれずに)」から始まります。
ここで「天地がわかれる」に、原文は「剖」の字を用いています。

「剖」は解剖などに用いられる字で、刃物を使って2つに切り裂くことを意味する字です。
つまり、天地はもともとは一体のものであったけれど、それが後から2つにバッサリと刃物で切り裂くように分かれたわけです。

どのように分かれたかというと、陰陽(おんみょう)に分かれた。
陰陽は「いんよう」とも読みますが、この記述の元になっているのが陰陽思想です。

陰陽思想は、チャイナから渡来してきたものと言われますが、チャイナでは易経も詩経も五行思想も大極思想も、この陰陽を軸として展開されています。
つまり、それらの思想が生まれる前から存在した考え方であるということで、広く東アジア全体に太古の昔からあったものということになります。
その東アジアには、当然、日本も含まれます。

この陰陽思想で重要なことは、ものごとを善悪で分ける善悪二元論とは異なるということです。
陰と陽は、両方があってはじめてひとつであって、両者が調和することで、はじめて自然の秩序が保たれると考えられてきたのです。
つまり陰陽は、2つの異なるものの調和を意味する思想であるという点に、注意が必要です。

ですからおおもとの時代には、陰陽はまだ分かれていなくて混然として一体です。
それが徐々にニワトリのタマゴをかき混ぜたような状態になり、そのなかに、ほのかに「きざし」が生まれるわけです。

日本書紀は、この混然とした状態を「渾沌(こんとん)」と書いています。
「渾」という字は、氵(水)+軍(まとまる)で、水がコンコンとまとまって湧いてくる様子の象形です。
ですから「渾沌」は、「混沌」と異なります。
「渾沌」は、コンコンと湧き出る水が混ざり合う様子です。
「混沌」は、そこに溜まった水が混ざり合う様子です。

陰陽は、はじめニワトリのタマゴをかき混ぜたように混ざっていたけれど、それは、汲んでも尽きない湧き水のように次から次へと湧き上がるものであったわけです。

そして「溟涬而含牙(ほのかにきざし ふくめをり)」と、「きざし」のことを「兆(きざ)し」ではなく、「牙(きざ)し」と書いています。
「牙」という字は、牙の上下が交わる姿の象形です。
つまり、陰と陽は、はじめから一体になることを前提に発生していると書いているわけです。
決して陰陽が互いにキバを向いて対決し合うということを前提としていないことに注意が必要です。
すべて、調和が大前提なのです。

そのうえで、「清陽なものが薄くたなびいて天となった」と続きます。
「清陽」は、「すみあきらかなるもの」、あるいは「きよくあきらかなるもの」と読みます。
「清(きよ)い」は澄み渡っていて清潔な、穢れのない様子です。
「陽」は、「ひなた」を意味する字で、あかるさ、あたたかさを意味します。
つまり「清陽」は、穢れがなくて、あたたかな様子です。

その「清陽」が天になり、重くて濁ったものが地になります。

ですから地で生活している我々は、常に重さや濁り(つまりそれが穢れ)とともにあります。
そしてそれらを祓ったとき、神々のおわす天につながることができるわけです。
重濁に飲み込まれてしまってはいけないのです。
そのために、祓いがあります。

けれど、祓っただけでは、天につながることができない。
そこに「あたたかさ」と「あかるさ」が必要なのです。
ですから、せっかく、お祓いや水行などで穢れを祓っても、心が重く濁っていれば、天につながることはできません。
どんなときでも、明るく、あたたかく、笑顔で日々を送ること。
清潔な暮らしを心がけること。

そうすれば、コロナウイルスだって、避けて通ってくれるのです。

お読みいただき、ありがとうございました。


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コメント

でじゃぶ

ご講義ありがとうございます


今のご時世
日本医師会の要請は断り、世界の要請には応える



アビガン、週内にも供与開始 
外相「70カ国以上から要請」

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO58586860Y0A420C2PP8000?s=4

政府は新型コロナウイルスの感染拡大に関し、インフルエンザ薬「アビガン」の各国への無償供与を週内にも始める。茂木敏充外相が28日の閣議後の記者会見で明らかにした。70カ国以上から要請を受け、38カ国は調整を終えたと説明した。

手続きを終えた国から国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)を通じて輸送する。茂木氏は「治療薬の開発は極めて重要だ。官民の取り組み強化と国際協力を一層進めていく」と述べた。

茂木氏は7日に無償供与の方針を発表した段階で約50カ国から要請があると話していた。外務省によるとフィリピン、マレーシア、オランダ、ポーランド、クウェートなどへの供与を新たに固め


「発症初期よりアビガンを」1200人医師アンケートで訴え【東日本編】https://dot.asahi.com/wa/2020042500019.html

事件は現場で起きている!!

アビガンを否定する医療ジャーナリスト、自称専門家たちよ。現場の医師の心の声を聞け!

効果は不明?
副作用がわからない?
薬を飲んで治ったのか、そのままでも治ったのか?

緊急事態と言いつつ、コロナ騒ぎを利権としか
見ない輩よ。

アビガンは、もう止められない。

takechiyo1949

苦しい時の神頼み?
昨日の「ねずブロ」で小名木先生は仰いました。
『いまは自宅にいて、次の戦いに備えて牙を研ぐときです』

牙を研ぐ?
物騒な物言いだな~と感じた方も多かったと思います。
『溟涬而含牙』
ひろがるうみに きざしあり!
『ねずさんの…日本書紀』や今朝の講義を読めば納得です。

籠城も29日目になりました。
妻やワンコ達と穏やかに暮らしています。

世間には狂ったように周囲を攻撃し続ける方々がいます。
目線の高い悪口雑言は、感染症に怯えての「苦しい時の神頼み」にしか聞こえません。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
むすび大学事務局
E-mail info@musubi-ac.com
電話 072-807-7567
○受付時間 
9:00~12:00
15:00~19:00
定休日  木曜日

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