「いま」をブリコラージュする



「働けど働けど我が暮らし楽にならざり じっと手を見る」と詠んだのは石川啄木ですが、人のはたらきは、筋トレと同じで、一足飛びにシュワルツネッガーや、ドウェイン・ジョンソンのようなムキムキのキン肉マンになることはできません。
けれど毎日コツコツ筋トレをしていくと、誰でも同様のとまではいかなくても、一定の筋肉を付けることができます。
どのスポーツでも同じです。日々の鍛錬で、一足飛びに上達することはできませんが、高校1年生ではじめた部活が、三年生になる頃には、誰もがそれなりのプレイヤーになることができるようになるのです。

20200612 ゴッホ
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コロナショックは、第1段階のショック状態を脱し、いまは第2段階の怒りの応酬のプロセスに入っています。
コロナの発端となったチャイナとの取引に、トランプ大統領は強硬な制裁措置を今後次々と打ち出していくことになります。
一方、制裁によって経済の減速を余儀なくされるチャイナは、報復に対する報復を図ろうとし、全米で同時多発的暴動を画策し、またチャイナ経済圏の構築を急いでいます。

GDP、世界1位と2位の国が、互いに争い、事実上の戦争状態に突入していく中、世界の経済は今後いちじるしく減速し、日本もまた経済的に非常に厳しい状況に至ることが予測されています。
さらにコロナの第二波が、今年の冬には予想されており、これからの世界はリーマンショックや、戦前の世界恐慌に匹敵するほどの、大きな経済的混乱期に入るといわれています。

そうした中にあって、これから一体どうなるのか、これからどうしたら良いのかなどの不安の声が多く聞かれます。
答えはひとつです。
世界の環境や日本の経済環境がどうあれ、人は死ぬまで生きていかなければならない、ということです。

生きるためには、仕事をしなければなりません。
また生きていくためには、食べて行かなければなりません。
そして人と人とがともに暮らす世の中には、どんなときにも、いかなる時代にも、必ず生きるすべがあるということです。

もちろん、いままで通りにはいかないこともおおいでしょう。
高額な家賃を払って東京にオフィスや住まいを持っていた人たちは、それらの撤退も余儀なくされるかもしれません。
けれど、撤退イコール死ではありません。
厳しい状態に至ったとしても、生きている限り、必ず道はあるのです。


20200401 日本書紀
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20191006 ねずラジ
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ですから、将来の不安ばかりを口にすることは、無駄なことです。
それよりも、いまを生きることに全力をあげることです。
これを古い言葉で「中今(なかいま)に生きる」と言います。

来年から新紙幣に渋沢栄一が登場するそうです。
これまでが福沢諭吉でした。
その福沢諭吉は、脱亜論を打ち出した人でした。
そして福沢諭吉が一万円札であった時代は、チャイナの欺瞞が次々と暴かれる時代となりました。

次の一万円札は渋沢栄一です。
渋沢栄一は、もともと埼玉県深谷市の農家の子です。
それが幕末に士分に取り立てられ、明治新政府によって大蔵少輔(おおくらしょう)に取り立てられて財政政策を実施し、退官後には大学の学長、日本赤十字社の設立、東京証券所の設立など、さまざまな分野で大活躍をした人物です。

その渋沢栄一が唱えた理論があります。
『道徳経済合一説』と『天譴論(てんけんろん)』です。

『道徳経済合一説』は、商業倫理と商業利潤を両立し、富は社会に還元することを説くものです。
そしてその理論の根底にあるのが、江戸中期の石田梅岩(いしだばいがん)が説いた「石門心学」です。
「石門心学」は、日本における商人道を説いた書です。
その「石門心学」が後の二宮尊徳、渋沢栄一らに影響を与え、松下幸之助の経営論につながっていきます。

この商人道では、商売はいかなる場合も仁義道徳を根幹とし、富は「繁栄・安定・継続」の三つが揃うことが肝要と説かれます。
いまこの瞬間に利益があがるだけではダメなのです。
利益が安定的に、しかも何百年にもわたって継続しなければならない。

この点、チャイナの企業は平均寿命が8年です。
日本企業は、倒産企業ですら23年半です。
倒産していない企業なら、200年以上の歴史を持つ老舗企業数は3146社で、これは世界41か国の5586社の中で56%を占めています。
また創業100年以上経過している会社5万社以上、500年以上が32社、千年以上も7社あります。
日本は世界一、企業の寿命が長い国でもあるのです。
なぜなら日本には、正しい商人道があるからです。

このことについて渋沢栄一は、
「道徳と離れた欺瞞、不道徳、権謀術数的な商才は、真の商才ではない」
と説いています。
いまでいうブラック企業や、某国のビジネス手法は、商才ではないと述べているわけです。

そして欺瞞、不道徳、権謀術数ばかりが先行する社会に起きるのが「天譴(てんけん)」です。
「天譴」とは、天の神が不埒者(ふらちもの)にくだす天罰のことです。
いまだとさしずめコロナがその天譴にあたります。

日本は幸い、コロナ天譴がきわめて小規模にとどまりましたが、その天譴を避ける道はただひとつ。
常に公(おおやけ)の利益を優先しながら、いまできることに最善をつくすことです。
これは団体でも企業でも個人でも同じです。

高度成長期には「計画経済」なるものががたいへんにもてはやされました。
しかし計画経済がうまく行った例(ためし)はありません。
早い話、小学生のときの夏休みの計画さえも、計画通りにできた記憶を持つ人は、おそらく皆無です。

もともとこの計画経済は、旧ソ連の経済五カ年計画の成功の宣伝によって世界に広がったものです。
ソ連は経済五カ年計画を打ち出し、ソ連人は全然働かないのに、なぜかいつの間にか旧ソ連の大都市には大理石づくりの立派なビルが立ち並び、道路も整備され、まさに夢の暮らしが実現できたとされました。
ところがあとでわかったことは、当時ソ連に築かれたそれらの建物等は、旧満洲にあった施設を、シベリアに抑留されていた日本人捕虜の重労働によって、単に移築したものにすぎないということでした。
なるほどそれなら、ソ連人が何も働かなくても、立派な町並みが築かれるはずです。
種を明かせば、ろくなものではなかったのです。

こういう小手先の誤魔化しは、決して長続きしません。
結果、ソ連はシベリア抑留者を手放したときから、経済の衰退が始まり、その後、約20年で国そのものが崩壊してしまいました。

企業でも、ひところは長中期の経営計画がたいへんにもてはやされましたし、予算編成上、ある程度の計画性はもちろん必要なことではありますけれど、だからといって計画経済がうまく行くばかりではありません。
現に、この数ヶ月のなかであったコロナ自粛は、世界のあらゆる企業があらかじめ編成した年間予算をすべてパアにしています。

そこで近年、経営用語として注目されているのが、先日もご紹介しました「ブリコラージュ」です。
この「ブリコラージュ」は、先日の長野講演の際に、頂道塾の中澤昭彦(なかざわあきひこ)先生に教えていただいたことです。
簡単に言うと、「ゴッホは、あの有名なひまわりの絵を描く際に、あの絵を描こうとして描いたわけではない。美しい花を描こうとしてキャンバスにいろいろな色を塗っている間に、気がつくとあのひまわりの絵になっていた」というものです。

つまり、いまできる最善を尽くしていくことで、気がついたら偉大な仕事が完成していたということです。
これを古神道の用語で「中今(なかいま)に生きる」と言います。

人が過去にばかりとらわれていると、どこかの国と同じで、後悔や妬みや怒りの感情ばかりに支配されることになります。
同様に、未来の希望(ドリーム)ばかりにとらわれていると、恐怖の妄想に取りつかれ、結果として今を見失います。
そうではなく、いまできる最善を尽くしていくこと。
これが「中今(なかいま)」です。

そして古神道では、「中今」に生きる時、はじめて人は神々とつながることができるとされます。
そして知識も知恵も(これらを叡智と呼びます)、すべてはもともと神々のものであり、その神々とつながったときに、人は叡智をいただくことができるとします。

これがよく言う「馬上・枕上・厠上(ばじょう・ちんじょう・しじょう)」です。
別の言い方で「三上(さんじょう)」とも言います。
インスピレーションが沸く、三つの場所のことです。

「働けど働けど我が暮らし楽にならざり じっと手を見る」と詠んだのは石川啄木です。
人のはたらきは、筋トレと同じで、一足飛びにシュワルツネッガーや、ドウェイン・ジョンソンのようなムキムキのキン肉マンになることはできません。
けれど毎日コツコツ筋トレをしていくと、誰でも同様のとまではいかなくても、一定の筋肉を付けることができます。
どのスポーツでも同じです。
日々の鍛錬で、一足飛びに上達することはできませんが、高校1年生ではじめた部活が、三年生になる頃には、誰もがそれなりのプレイヤーになることができる。

たとえコロナショックがあったとしても、中今に生き、日々をブリコラージュしていくならば、生きている限り、必ず未来は拓けてくる。
世の中とはそういうものだし、それこそが神々の御心であろうと思います。
今日一日を無駄にしないことです。


お読みいただき、ありがとうございました。


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コメント

松さん

神々の御心
小中高と通っていた道場の師範代に言われたことがあります。

一所懸命にやれば、その先に世界に通用するレベルがある?
そんなもの無いと思え!
まぁ…県大会出場やピアノ教室の先生位には誰でもなれる。

師範が仰った通り、一芸に秀でた個性豊かな方は大勢います。
殆どの方々は「それなりのプレイヤー」として働き暮らしています。
スーパーマンばっかりの世の中?
不気味な雰囲気ですよね。

また「一寸先は闇」と開き直ってしまう方もいますね。
確かに…先々のことなど、予測することも見通すこともできません。
分かるのは歴史と中今だけです。
にも関わらず「光の無い闇の世界」が未来の姿だと、不吉な推測と不安感が罷り通っています。

無闇矢鱈と恐怖心を煽る?
良からぬ狙いがある気がします。
騙されてはいけませんね。

ねず先生は仰いました。
『未来は必ず拓けてくる』
『それこそが神々の御心』
朝から元気魂を頂戴しました。

日々の営みを無駄にせず、中今を生き抜きたいと思います。

比嘉崇

いつも拝見しております。
沖縄には(まくとぅーソーケーなんくるないさ)(誠尽くせばなんとか成るよって)意味ですがねずさんの言ってる事と全く一緒だと思いました。
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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