近年では、日本の歴史を無理やり西洋や大陸の歴史と同じレベルで見ようとするあまり、どうみても論理矛盾を起こした歴史認識が目立つようになりました。 しかし天然の災害が多発する日本では、いかにして災害から身を守り、また災害発生後の復興をいかに早く行うかは、欲望のために人と人とが殺し合うよりもはるかに重大な課題だったことを、私達は思い返す必要があります。 |

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非常に誤解を生んでいることのひとつに、熊襲、土蜘蛛、蝦夷の反乱についての問題があります。
もともと日本は、その建国の理念が、災害時における助け合いにその根幹を持ちます。
縦に長い日本列島では、天然の災害は、多発はするけれど、必ず被災地域が限られるという特徴があります。
冷蔵庫のなかった時代において、長期の保存が可能な食材は、唯一、お米です。
そのお米を全国で生産し、これを備蓄し、備蓄されたお米を被災地に届ける仕組みを中央官庁(朝廷)が取り仕切る。
こうすることで、日本全体、諸国が天下のもとに統一されるという仕組みによって形成されたのが日本です。
ところが熊襲の場合、住んでいる地域がシラス台地で火山灰土ですから、水が地面に染み込んでしまってお米の生産ができません。
そこでお米の代わりに、労役として兵や工事人足を差し出すことが行われました。
ところが軍事や工事では、ときに死傷者が多発するわけです。
二期作で半年ごとに収穫できるお米と異なり、人は成人するまでに最低でも15年を要しますから、すぐに補充することができません。
加えて、労役によって子や夫を失った家族の傷みがありますから、一定以上に死傷者が出たりしたときには、熊襲の人たちが、それ以上の労役を拒むということが起こるわけです。
事情は理解できるとはいえ、これを認めれば他国のお米の取り立てへのシメシがつきません。
だから「どうしても」ということになるのですが、これが決裂すると、朝廷も熊襲に兵を差し向けなければならなくなるわけです。
古代において、たびたび熊襲が反乱を起こし、朝廷が討伐軍を差し向かわせるという事態が起きているのは、そうした理由によります。
土蜘蛛と呼ばれる人たちもいます。

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これは神武天皇の建国の詔にも「穴を巣として住む人」として登場します。
「穴を巣として住む」というのは、縄文時代の遺跡に行くと見ることができますが、地面に穴を堀り、その上に茅葺きの三角屋根を乗せるという構造の家屋です。これを竪穴式住居と言います。
井戸水は、年間を通じて水温が15度で、このため夏は冷たく、冬は暖かく感じるものですが、同様に地面に穴を掘ってそこに住むと、夏涼しくて冬暖かな家ができあがるわけです。
この竪穴式住居に住む様子が、土蜘蛛が地面に穴を掘って生きることに似ているというところから、土蜘蛛の名で呼ばれる人々となりました。
彼らは、水耕栽培を嫌い、山や海で自然から採れる縄文以来の食生活を保持している人たちです。
なぜなら、稲作をはじめると、田んぼに水をひきますので、竪穴式住居では床に水が滲みてしまって生活ができなくなります。
ですから稲作民は高床式住居となり、稲作をしないで縄文以来の食生活を続ける竪穴式住居に住む人たちが土蜘蛛と呼ばれるようになりました。
彼らは稲作をしませんので、お米を税として納めることができません。
さりとて、魚やウサギやタヌキの肉を納めようとしても、冷凍設備がない時代のことですから、納める途中で腐ってしまって、これまた不可能です。
そこで、「いざというときに皇室を外護する」、その代わり、天然の災害などで食に困ることが合った場合は、朝廷がしっかりと食材を提供するというバーター関係が成立しました。
まるでアニメの「キングダム」に登場する、嬴政(秦の始皇帝)と山の民(やまのたみ)との関係みたいですが、その関係が、朝廷と土蜘蛛の間に成立していたわけです。
ですからいまでも、土蜘蛛の人たちは、ご皇室に何かあれば身を挺してこれをお守りするという伝統を受け継いでいるのだそうです。
奥州の蝦夷の民も、たびたび朝廷と衝突しています。
これもまた、そもそも稲は熱帯性植物ですから、古い時代において寒冷地の東北地方では、昔はお米が穫(と)れなかったのです。
いまでは品種の改良によって、美味しいお米が採れるようになりましたが、昔はそうはいきません。
そうなると年貢として納めるものがないわけですから、朝廷に従うわけにいかなくなります。
雄略天皇の時代以降、秦氏の一族が全国に派遣されて、桑畑と養蚕による絹糸の生産が東北地方でも図られるようなったり、小麦や粟などの生産が行われたりするようになるのですが、それでも寒冷の影響で収穫量にかなりのブレが出るわけです。
しかし天然の災害が起こるという点においては、東北地方も関西や中四国、九州地方も変わりません。
万一のことがあれば、救済のためにお米を送ることになります。
けれど、そうなればなったで、後日、お米か、お米が採れないなら別な形で税を納めなければならなくなるわけです。
ところがそれができずにいれば、払うように催促されるし、できなければ反乱を起こすしかなくなるわけです。
こうして平安中期まで、混乱が続くのですが、この対立がおさまった理由は、まったく別なところから生まれました。
それが、東北地方における金の産出です。
日本は米本位性の国ですが、国際取引においては金が絶対的な力を持ちます。
そこで、それまではただ、川ですくえばいくらでも採れる金色の砂粒でしかなかった金が、格別な値打ちを持つようになりました。
こうして東北地方は、金の産出によって税を納め、その代わりとして災害時の食料を朝廷からいただくことができるというバーター関係が成立するようになっていきます。
近年では、日本の歴史を無理やり西洋や大陸の歴史と同じレベルで見ようとするあまり、あらゆるものを「対立関係」で捉えるため、どうみても論理矛盾を起こした歴史認識が目立つようになりました。
しかし天然の災害が多発する日本では、いかにして災害から身を守り、また災害発生後の復興をいかに早く行うかは、欲望のために人と人とが殺し合うよりもはるかに重大な課題です。
そういうことを忘れて歴史を見れば、判断を過つのもあたりまえです。
この点、我が国の学会も今後根本的に見識をあらためていくべきものと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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コメント
松さん
物の見方や反応や行動は人各々で、勝手な都合でもいいでしょう。
しかし、根拠がなくても信じてることなど、それこそ山程あります。
(解明されてないことを証明するのは、限り無く困難だと思います)
にも関わらず、強いて余所事を関係付けて歴史を造り上げる?
その目的は何でしょうか。
答えは、昨今の国会中継を良く聞けば見つかると思います。
2020/06/13 URL 編集
にっぽんじん
放射能汚染水といっても人体に無害なトリチウム汚染水なのに風評被害を理由に処理が出来ない状態が続いている。
悪意を持った風評被害は1000年経ってもなくならない。
なら福島以外の海洋に放棄すれば良い。
沖縄県石垣市の許可を貰い、汚染水をタンカーに積み込み、尖閣諸島の領海内に放棄すれば良い。
当然石垣市の漁業組合には保証金が必要だ。
放棄に当たっては次の手順を踏む必要がある。
1.世界中の原発が海洋に放棄しているデータを公開する
2.放棄はIAEAを中心に国際的な監視の中で実施する
日本の領海内での行為であり、中国が文句を言う問題ではない。
是非検討していただきたい。
2020/06/13 URL 編集