これからの時代をひらく個人レベルの新しい歴史価値観の創造とは



「国が」というのは責任転嫁です。
「こんな日本に誰がした」と愚痴ったところで何も変わりません。
まずは自分から日本の文化性を取り戻すためにできることをする。
ほんのわずかでもいい。日々、率先してそれを行う。それが日本という国に生まれ、平和な時代を生かさせていただいたことへの報(むく)いです。そこに「日本の未来への答え」があります。
これは、過去を学びながらの、「個人レベルの新しい歴史価値観の創造の戦い」です。


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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

今日から9月です。
コロナ騒動に明け暮れた令和2年度も、いよいよ今日から後半戦です。
コロナは、インフルエンザの一種とみることができますが、そうであれば夏場より、これからやってくる秋冬に、これまで以上の猛威が起こる可能性は大であろうかと思います。

コロナは、世界の仕組みを大きく変えようとしていますが、どんなに世界が変わろうと、私達は生き残り、そこで生活していかなければなりません。
そしてそのために必要なことは、
「個人レベルの新しい歴史価値観の創造」
にあろうかと思います。

この時期に、いつも再考してみる言葉があります。
それは、12年前の2008年に帝塚山大学名誉教授・伊原吉之助先生が、雑誌『正論』に書かれた論考です。
たいへんに力強い言葉で書かれた論考です。
まずは転載してみます。

*********
【正論】「日本の再生」こそ世界を救ふ帝塚山大学名誉教授・伊原吉之助

────────
■蔓延(はびこ)る賤民資本主義
────────
強欲資本主義が世界を横行してゐる。
悪(あく)の野蠻國(やばんこく)が三つある。
米國、ロシア、チャイナ。

三者に共通する野蠻は、他者を際限なく貪(むさぼ)る者を野放しにしてゐる點(てん)にある。
これでは世界は修羅(しゅら)の巷(ちまた)になるほかない。

「金儲(もう)けは悪いことですか?」と問ふた人が居た。
悪事に決つてゐるではないか。
それが目的なら。
それがけじめを辨(わきま)へぬなら。

給食費を拂(はら)つてゐるから、
「戴(いただ)きます」
「御馳走(ごちそう)様」
と言ふ必要はないと言つた母親が居(ゐ)た。
植物にせよ動物にせよ、生ある物の生命を戴いて生きることへの感謝の念が根本にあり、育てた人、調理した人への謝意も含むことを忘れた罰當(あた)りな發言(はつげん)である。



このやうに、日本も腐つて来た。
責任ある地位に居ながら、税金や利權(りけん)にたかるだけで責任を果さぬ「背任横領の徒」が蔓延(はびこ)つてゐる。
とつくの昔に占領が終つて獨立(どくりつ)した筈(はず)なのに、日本弱體(じゃくたい)化の占領政策を政府もメディアも後生大事に守つてゐるのでこんなことになつた。

略字・漢字制限・現代假名(かな)遣(づか)ひは、戰後育ちに戰前の書物を讀(よ)ませぬための日本文化断絶(だんぜつ)策だつたのに、政府もメディアもひたすら遵守(じゅんしゅ)してゐる。
こんな政府もメディアも「反日の元兇(げんきょう)」と言はざるを得ない。

────────
■野蠻國へ退化するか
────────
正統を護持せずに、何で日本が日本で居られやうか。
私は5年前の5月に「反日蔓延る不思議の國日本」を、
昨年3月に「動物文明から植物文明へ轉換(てんかん)しやう」をこの欄に書いた。
再讀三讀して頂きたい文章である。

日本は元禄以降、つまり18世紀に世界最初の文明國を築いた。
勤勉實直(じっちょく)・薄利多賣・見ず知らずの他人を信用してかかる高信用社會(かい)である。
西歐(せいおう)が高信用社會を築くのが19世紀だ。
ロシアとチャイナは現在に到るまで、やらずぶつたくりの低信用社會の儘(まま)に留まつてゐる。
米國は原住民も黒人も排除した「市民」だけで造つた人造共和國である。

移民社會だけに、下層民を信用してゐない。
だから大統領を選ぶのに一般國民の直選にせず、大統領選擧人(信用ある名望家)を選ばせる間接選擧を採用して現在に到る。
共和國(國民が市民共同體を形成し、自由で平等で友愛の間柄)と帝國(人民は雜多で不自由・不平等・差別)の二重構造なのだ。

日本は天皇家を宗家とする家中心の安定した社會構造を持つてゐた。
それを占領軍が民法を長子相續(そうぞく)から均分相續に變(か)へた。
それ以來、家も近隣社會も國民共同體もばらばらに分解した。
そこへ慾惚(よくぼ)けと邪魔臭がりに基くやらずぶつたくりの利己主義が蔓延して、今や野蠻國に退化しつつある。

────────
■みそぎによる浄化を
────────
占領軍に限らず、外國は日本を弱體化することによつて生延びやうとしてゐる。
19世紀ロシヤにニヒリズムが生れて以來、人生と社會を根底から破壞するニヒリズムが世界に蔓延して來た。
共産主義(レーニン主義)は、ロシア・ニヒリズムの嫡出子である。

曾(かつ)て素晴しい共存共榮(きょうえい)の社會を築いた大和民族が、かうまで墮落(だらく)した姿を見るにつけ、私は「死んでも死に切れぬ」思ひを禁じ得ない。
美と崇高への獻身(けんしん)、
謙虚で強くて慈愛に満ちてゐた
あの立派な日本と日本國民は何處(どこ)へ行つた?

みそぎによる浄化が必要だと思ふ。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)による國民精神の再生が不可欠だと思へてならない。
それが日本だけでなく、世界をも救ふ筈である。

幸か不幸か、目下米國の強欲資本主義に端を發する金融危機が、世界經濟を破綻(はたん)に導きかけてゐる。
これが日本を含む人類の浄化に役立つかも知れない。
といふより、これを契機に新しい共存共榮が出來るやうに文明を轉換すべきである。
奪ふ文明、人間性を破壞する文明から、
與へる文明へ、多元的で寛容な美と慈悲の文明へ。

幸ひ、日本には天皇陛下が居られる。
今上陛下が體現してをられる、
「美と崇高と獻身と優しさ」
こそ、日本を救ひ、世界を救ふ植物文明の原理である。
日本は慾惚けと邪魔臭がりと引籠りから脱却し、生きる歡びに目覺めるべき秋である。
物的欲望は最小限に抑へ、仲間との絆(きずな)に基く聯帯(れんたい)と心の豐かさを求めるべき秋である。

(この原稿はその趣旨から「正漢字・歴史的假名遣い」で執筆しました)
(いはらきちのすけ)
*********


伊原先生は「米國の強欲資本主義に端を發する金融危機が、世界經濟を破綻(はたん)に導きかけてゐる」と書いておられますが、このことは現在、世界を席巻する武漢コロナ問題が、主役を変えて、完全に実現しようとしています。

そのコロナを「人が働かず、安楽だけを求める」という方向に向けるのか、自ら率先して一生懸命に献身することで、誰もが豊かに安全に安心して暮らせる社会を築いていくという方向に向けるのか、その結果がもたらす違いは極めて大きい。

そうであれば、アフターコロナ時代に向けて、いま必要なことは
「個人レベルの新しい歴史価値観の創造」です。

コロナを決して、いまのマスメディアが連日繰り返しているような、安楽な個人の強欲主義の蔓延にとどめてはいけないのです。
メディアというのは、いわば流行通信です。
いま、多くの人々が一番求めていることを、ある意味代弁する。

その多くの人が求めていることというのが、集合的無意識と呼ばれるものです。
その集合的無意識が、働かないで、他人を酷評することだけのLose-Loseの関係だけに向けられると、メディアの影響を受けた人たちの中には、誰もWinner(勝者)がいなくなります。
すると、通常ならばまったく勝者になれないはずの、ろくでもない魔物が、一人勝ちのWinnerになります。

Lose-Loseの関係というのは、非常に深く依存している人に共通するバラダイムです。
いまもいるテレビ依存症の人たちが、罹患しやすい、これは病ともいえるものです。
こうした人たちに共通するのは、勇気も思いやりも欠如していて、他人に対して嫉妬心を燃やし、終始批判をし続け、他人を負かすため、あるいは罰するために自分のWinを犠牲にしても良いと考えることです。

そしてこのLose-Loseの関係を撒き散らそうとする仕掛け人は、必ず自分だけのWinを考える人たちです。
自分だけのWinを考える人というのは、たいへん深い欠乏マインドをもつ、自己中心的な人です。
相手が勝ても負げてもどちらでも良い。
最後に自分だけが得をすれば良いからです。
一部の人にはわかりやすいかと思いますが「極悪がんぼ」の世界です。

多くの日本人は、日本人であることと、日本社会の持つ紐帯を否定され、結果として「個」になっています。
「極悪がんぼ」は、ごくわずかな連中ですが、ごくわずかであっても、相手が個なら勝つことができます。
日本人を個にするために行われていることが、メディアによるLose-Loseの関係です。

上の論考にあるように、幸いなことに日本には天皇陛下がおわします。
そして天然の災害が多発する日本では、互いが競争的でなく、協力的となり、人の話をちゃんと聞き、長く続くコミュニケーションを持ち、勇気をもって自分の立場を率直に表現する社会が構築されてきました。
これが「Win-Winの関係」であり、 「Win-Winの社会」としての日本です。

そのために必要なことが、「個人レベルの新しい歴史価値観の創造」であり、そのために8世紀に書かれたのが、古事記であり、日本書紀であり、万葉集です。

記紀や万葉集には、伊原教授の言う「美と崇高と獻身と優しさ」があります。
まさに「日本を救ひ、世界を救ふ植物文明の原理」があります。
日本が「慾惚けと邪魔臭がりと引籠りから脱却し、生きる歡びに目覺める」内容があります。
「物的欲望を最小限に抑へ、仲間との絆(きずな)に基く聯帯(れんたい)と心の豐かさ」があります。

ところが、その記紀にしても万葉集にしても、では実際にこれを読んでみようとすると、おさな子に教える程度の内容になっているものがほとんどです。
あるいは、妙に色気に走った解釈のものになっています。

たとえばアメノウズメといえば、天の石屋戸の前で天照大御神をお迎えするために舞を行ったとして有名な神様ですが、その舞は、古事記の原文では、単に裳(も、ハカマのこと)の紐をホトに垂らして、その紐をゆらゆらと揺らしながら舞ったと書いてあるだけなのに、それがあたかも下半身を露出した卑猥な舞であり、これを見た八百万の神々が「おお〜!!」と喜びの歓声をあげたと書いているものがあります。

冗談じゃないです。
だいたい男というものは、そういうときには声も立てずに見入るものです(笑)。
ただ、ハカマの紐を前に垂らして踊ったことが、どうして裸踊りになるのか。
戦後の高度成長期の初期の頃、「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉が流行したことがありますが、まさにそういう下卑た視点でしか解釈できないということ自体、戦後教育の大きな問題点です。

そもそもアメノウズメは、天宇受売命と書きますが、これは天の声を受けたり伝えたりする役割の神様という意味です。
天とはこの場合、天照大御神のことを言います。
天照大御神のお言葉を八百万の神々に伝え、八百万の神々の声を天照大御神に奏上するという、大切なお役目を持った女神なのです。

このことは、ひなまつりの祭壇を見ても明らかです。
最上段は、天皇皇后両陛下を意味する男雛と女雛です。
二段目が三人官女です。
その三人官女が、天皇皇后両陛下に下々のお言葉を奏上し、また主上のお言葉を下々に伝える役割です。
そしてそのお言葉に、良い音を重ねる役目が三段目の五人囃子で、これは童子の役割です。
左大臣、右大臣といった男性の政治権力者は、その童子の下の段に配置されます。
つまり、神話における天宇受売の役割は、まさに三人官女の役割としていまも残っているし、お伊勢様などにおいて、天照大御神の依代となる斎宮(いわいのみや)《現代では祭主》は、現・上皇陛下の第一皇女である黒田清子様です。
神話の天宇受売命から続く、これが日本の伝統です。

それを裸でカンカン踊りさせるなどという作り話が、どれだけご不敬なことになるか。
世の中には言って良いことと悪いことがあるのです。

現代日本の病理は、こうした大切なことが忘れ去られて、下卑て下品な、あえていえばロクデナシの解釈が古典文学に施され、栄えある日本文化がずっと貶(おとし)められ続けているところにあります。

このため、ひとくちに「日本を取り戻そう!」と言っても、肝心の「取り戻すべき日本の文化」の姿が汚鮮され、見えなくなってしまっています。
これでは日本よみがえりどころか、蘇らせようとした日本が、いまよりもっと悲惨なものになってしまいます。

日本人の良さというのは、その真面目さにあります。
真面目だから、災害にも、事前に平素から備えようという行動原理が生まれるのです。

そうであれば、真面目に日本文化を再考してみる。
「国が」というのは責任転嫁です。
「こんな日本に誰がした」と愚痴ったところで何も変わりません。

まずは自分から日本の文化性を取り戻すためにできることをする。
ほんのわずかでもいい。
日々、率先してそれを行う。
それが日本という国に生まれ、平和な時代を生かさせていただいたことへの報(むく)いです。
そこに「日本の未来への答え」があります。
これは、過去を学びながらの、「個人レベルの新しい歴史価値観の創造の戦い」です。

 *

さて、2009年にこの論考をご紹介させていただいたとき、一緒に24歳(当時)のセーニャ・シモノバさんというウクライナの女性芸術家が描く砂絵の動画を貼らせていただきました。
今回も同じ動画を下に貼らせていただきます。

24歳の彼女が描いているのは、ウクライナの愛と、その愛が政治という暴力によって蹂躙された歴史です。
ウクライナはヨーロッパの穀倉地帯と呼ばれる豊穣な土地で、大半の国民がキリスト教徒です。

そのウクライナを蹂躙したソ連は、キリスト教を否定しました。
そこで1932年にウクライナはソ連から独立を目指しました。
するとスターリンによるウクライナの傀儡政権のボルシャベキ政権が、軍隊を用いてウクライナの民衆から穀物を奪い取り、さらにウクライナの国境を封鎖して食糧輸入を禁止してしまいました。

手持ちの食料は奪われる。
外からも食料は入ってこない。
逃げることもできない。
その結果飢饉が発生し、2年で1千万人の国民と家畜たちが死んで行きました。
かろうじて生き残った者も銃で撃たれて殺されました。

その悲しみを砂絵で描いているのが、セーニャさんです。
この砂絵のことを、サンド・アニメーションと呼ぶのだそうです。
素晴らしい芸術だと思います。


※この記事は2009年9月の記事のリニューアルです。
お読みいただき、ありがとうございました。
歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行でした。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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