愛と責任は等価にある



愛する心を持たない者に、責任の自覚は生まれません。
なぜなら、愛と責任は等価だからです。
愛があるから責任も生まれる。
愛がなければ責任もないのです。
つまり「日本を愛し守れというが、この国に守る価値などあるのか」という議論は、戯言(たわごと)であり、愛も責任も持たない馬鹿者の議論にすぎないのです。
いまの日本が抱える最大の問題がここにあります。戦後教育の成果です。

20200923 愛
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

戦前の尋常小学校三年生向けの修身教科書の「4,孝行」に掲載された小文です。
書かれていた文章を、そのまま引用します。
(仮名遣いと漢字は現代仮名遣いに直してあります)

────────
二宮金次郎は、家がたいそう貧乏であったので、
小さいときから父母の手助けをしました。

金次郎が十四のとき父が亡くなりました。
母は暮らしに困って、金次郎と次の子を家におき、
末の乳飲み子を親類に預けました。

しかし母は、
その日から預けた子のことが気にかかって、
夜もよく眠れません。

「今頃は目を覚まして
 乳を探して泣いているであろう」
と思うと、かわいそうでならなくなり、
いつもこっそり泣いていました。

金次郎はそれに気がついて、
「おかあさん。
 どうしてお休みになりませんか。」
と聞きましたが、母は、
「心配しないでおやすみ。」と言うだけでした。

金次郎は、
「これはきっと預けた弟のことを
 心配していらっしゃるのに違いない」と思って、
「おかあさん、
 弟をうちへ連れて帰りましょう。
 赤ん坊がひとりぐらいいたって、
 なんでもありません。
 私が一生懸命に働きますから」と言いました。

母はたいそう喜んで、すぐに親類へ行って、
赤ん坊を連れて戻りました。

親子四人は、一緒に集まって喜び合いました。

────────

以前にも述べましたが、修身教育というのは、特定の価値観を子供たちに植え付けるものではなくて、子供たちが自己の価値観を確立するための「価値観の元(もと)」になるものを育むものです。


最新動画「戦勝国に奪われた日本人の記憶『国史を学ぶ』第三回 奈良の都
ですから、もちろんこの抄のタイトルは「孝行」ですが、読んで頂ければわかることですが、単に「親孝行は良いことだ」とのみ語っているわけではありませんし、ましてやそのような価値観を押し付けているわけでもありません。

自分がその場の当事者となって考えることによって、
自分ならどうするか。
自分なら何ができるのか、
どうしたら良いのか等々を
子供たちに自分の頭で考えさせる。
これによって、その子の持つ傾向性をより伸ばそうとしたのが修身教育であったのです。

この少文においても、女子児童なら、自分がその母の立場として考える。
男の子なら父として、あるいは金次郎の身の上となって考える。
対象学童は小3ですから、14歳の金次郎といえば、兄の年齢かもしれません。
兄がそうして、家族を支えようとするとき、では弟の自分なら、いま何をしなければならないのか。
そして家族のよろこびとはなにか。
そういったことを小3の子供たちの心のなかから引き出していったわけです。

こうした教育姿勢は、現代の画一化された小中高大学に至る一本ラインの教育制度のもとでは、なかなか考えにくいものかもしれません。
成績が悪かろうが、勉強が嫌いであろうが、猫も杓子も大学まで進学させることが、親の義務であり、学校の教師の命題であるかのような世間の風潮と教育制度です。
けれど、それが「何のため」なのかは、国をあげてまったく誰も考えようとしない。
それで子供の教育とは、聞いて呆れます。

もともと日本では、小学校を出たら、基本はそのまま就職するのがあたりまえでした。
小学校卒業年齢といえば13歳ですが、昔ならそれは数え年の14歳です。
武士なら元服して、お城に出仕するし、戦(いくさ)にも出る年齢です。
さらに数え年の16歳(いまの15歳)にもなれば、女子ならば武家であれ貴族であれ町民や農民であれ、結婚適齢年齢とされていました。
つまり、小学校を卒業したら、男女とも、もはや大人として扱われたのです。

大人と子供の違いとは何か。
それは責任を自分でとるのか、親に責任をとってもらうかの違いです。
要するに昔の日本では、15歳にもなれば、ちゃんと自分で世の中に対して責任を持つことが求められたし、それが普通のことであったわけです。

いささか極端な例になってしまうかもしれませんが、未成年の男子が女子高生に乱暴をはたらいたうえ、コンクリート詰めにして殺害した事件など、むしろ世間へのみせしめとしてもっとも残酷な方法で公開処刑すべきなほどの悪質な事件であって、未成年だからと犯人グループの男たちを、少年法で保護する必要などまったくないのです。

大人として求められることは、ただひとつ。
責任性の自覚と責任の享受です。
それができない、あるいは法をよこしまに曲解して、自己の都合を謀(はか)るような、昨今の犯罪グループのようなものを根絶するには、子供から大人になった時点で、明確な社会に対する責任性の自覚を教育によってしっかりと促す必要があるものと考えます。

その意味で、小学校を卒業したら原則として社会人となる、大人として扱われるということは、世の中において必要不可欠なことといえるし、そうした社会制度を我が国はすくなくとも千年以上続けることで、安定した犯罪の極端に少ない社会を築いてきたという実績があることを、私たちは再考すべきときにきていると思います。

修身教育の復活に反対する人たちがいますが、そうした人たちは所属先が教育界であれ、言論界であれ、政治の世界であれ、そもそも何を目的として、修身教育の復活を拒もうとしているのでしょうか。
理屈はゴマンとあるのかもしれませんが、その目的は何でしょうか。

一説によれば、それは「戦争は絶対に繰り返さないことを原点に闘ってきた」とも言われているようですが、その「闘ってきた」という表現が、すでに対立的であり闘争的であり、戦争の原点ともなる戦いそのものを意味する語です。
つまり「戦争は絶対に繰り返さないことを原点に闘う」という戦争を仕掛けているわけであって、まさに「戦争は絶対に繰り返さない」と言いながら、戦争を仕掛け、戦争を繰り返そうとしているわけです。
語るに落ちるとはこのことです。

「戦前の「修身」復活狙う安倍 戦争教育反対!学校から反撃を」とタイトルされたサイトなどを見ると、そこには、「日本を愛し守れというが、この国に守る価値などあるのか?」などと書かれています。
そう思うなら、さっさと外国に出ていっていただきたい。
日本にいて、言論の自由も身の安全も医療も老後の安心も保障され、それでいて守る価値がないと思うなら、日本にいる必要などないのです。
しかもそもそもこの論は、「愛」を否定しています。

愛する心を持たない者に、責任の自覚は生まれません。
なぜなら、愛と責任は等価だからです。
愛があるから責任も生まれる。
愛がなければ責任もないのです。

つまり「日本を愛し守れというが、この国に守る価値などあるのか」という議論は、戯言(たわごと)であり、愛も責任も持たない馬鹿者の議論にすぎないのです。
いまの日本が抱える最大の問題がここにあります。戦後教育の成果です。

問題というのは、クイズと同じで、答えが知れるまでが問題です。
答えが知れたら問題ではありません。
愛が育まれていないから責任感が欠如しているなら、戦前戦中の教育にあった愛を取り戻せばよいのです。
それができないのは、政治の怠慢です。

お読みいただき、ありがとうございました。

歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行でした。


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大嶋昌治

はじめまして。福井市在住の大嶋昌治(おおしままさはる)と言います。聖書預言を伝える活動をしています。

間もなく、エゼキエル書38章に書かれている通り、ロシア・トルコ・イラン・スーダン・リビアが、イスラエルを攻撃します。そして、マタイの福音書24章に書かれている通り、世界中からクリスチャンが消えます。その前に、キリストに悔い改めて下さい。ヨハネの黙示録6章から19章を読めば分かりますが、携挙に取り残された後の7年間の患難時代は、苦痛と迫害の時代です。患難時代を経験しなくても良いように、携挙が起きる前に救われてください。

救われますように。

松さん

安住の地は自ら建設するもの
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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