我々が住む世界には、我々が日常知覚している世界だけではなく、見えない世界や見えない力が確実に存在します。 この世界は、人類だけのものではないし、ましてや自分だけのものでもありません。 見えない世界をも含めて、すべてのものが重なり合って意味を持っている世界です。 意味があるということは、自分にとって、いまこの瞬間に不都合に思える事柄であっても、それはそれで、何かの意味があるということだし、そこからなにかの学びを得ることができるのだと思います。 |

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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
「TENET テネット」という映画が公開されています。
時間は、逆進することができるという、これまでになかった時間への概念を映像化した意欲作です。
時間軸というものについての人々の思考を、根底から変化させてしまうという意味で、ひとつの新しい概念の時代を切り開く映画です。
時間を扱った映画としては、これまでにも「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がありました。
ところが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、時間軸は常にひとつの方向にしか進まないという考え方に立っていましたから、タイムマシンで過去を変えれば、未来も変わる。
映画「ターミネーター・シリーズ」も、基本的にこの立場です。
ところがこの考え方の上に立つと、たとえば過去に戻って祖父を殺したら、自分は存在しなくなってしまいます。
そうすると過去に戻ったはずの自分が存在しないのですから、自分が祖父を殺すことができない。
つまりそこにタイムパラドックスが起こるわけです。
長い間、このバラドックスが解決されない問題とされてきたのですが、これに対して映画「TENET テネット」は、まったく別な解を提案しています。
つまり、時間は過去から未来へと進むのと同じように、未来から過去へと進むこともできる。
そして過去を変えたら、そこから変わった時間軸がはじまる、という考え方です。
時間軸は双方向に進むことができるから、
①「過去→現在→未来」という時間軸の流れの世界と、
②「過去→現在→新しい過去→新しい未来」という①とは異なる別な世界が生まれることになります。
そうするとこの世界に、まったく別に、無限のパラレルワールド(parallel world)が存在しなければならなくなります。
これがマルチバース(multiverse)論で、別な言い方で多元宇宙説とも呼ばれています。
「TENET テネット」がおもしろいのは、これにプラスして、過去に1年戻るためには、やはり1年を要するとしています。
これは最新の物理理論に基づく考え方なのですが、実はこの考え方は、古事記の中にも登場します。
古事記にイザナギとイザナミがヒルコを生んだという神話があります。
ヒルコは最初の子ですが、それが失敗作であったために、イザナギとイザナミの二神は神々に相談して、いまいちど子作りをやり直しています。
つまり時間軸を戻して、あらためて、別な未来を築いているのです。
物語をしっかりと読んでみると、二神はいったん、
「①結び→②ヒルコの誕生→③神々への相談」
まで進んだ時間を、③の神々への相談によって、時間軸をふたたび①まで戻して、
「①’結び→⑤正常な出産による国生み」
と時間軸を修正しています。
これを図示すると下のようになります。
時間の平野

時間の平野は、2次元の平面を持ちますから、時間は行きつ戻りつすることができます。
図で、いったんBまで進んだ時間は、時間軸上C点に戻り、そこから新たな未来であるD方向へと進むことになります。
では、D点まで進んだとき、C'からBまでの時間はどうなるのかというと、そのまま存在し続けます。
つまり、時間はA→B→C→Dと進んでいるだけのことです。
ところが我々が住む空間は縦横高さの三次元空間でしかありませんから、我々は時間をその瞬間でしか知覚することができません。
ですからD点から振り返ったとき、時間軸は
A点→C点→D点→
と進んだとしてしか知覚されません。
C'からBに至ったことは、記憶にあったとしても、意味不明な記憶、もしくは夢物語のようにしか知覚されないわけです。
ですから冒頭に述べた祖父殺しのパラドクスは、実は存在しません。
なぜなら祖父→父→自分という流れの時間軸があり、その自分が過去に戻って祖父を殺したということが、ひとつの平面上に描かれているだけのことになるからです。
このことを古事記は、ヒルコの例で見事に解き明かしています。
ヒルコを生んでB点まで行ったイザナギとイザナミは、創生の神々に相談して時間をいったんC点まで戻し、そこから新たな国生みを行ったわけです。
イザナギとイザナミにとっては、それは連続した時間軸上の出来事です。
けれど後世の私達にとっては、ヒルコが生まれたという時間軸は存在を確認できない。
なぜなら、Y軸上の時間軸は「A→C→D」の流れで固定されてしまっているからです。
なぜこのようなことが可能になるかというと、神々の世界には時間軸が存在しないからです。
神々の世界は、よく「光の世界」に例えられますが、光の世界には、時間軸が存在しません。
なぜなら時間は光速に近づくほど、進み方がゆっくりになり、最後には時間軸は静止してしまうのです。
つまり、過去も現在も未来も、同時に存在する状態になります。
わかりにくいかもしれないので、すこし掘り下げてみると、東京日本橋から大阪日本橋まで行くためには、徒歩なら14日、新幹線なら2時間半で到着します。
この速度をどんどん上げていって、光速に近づくと、いま東京にいたと思ったら、次の瞬間には大阪に着いていることになります。
どこでもドアのようなものです。次の瞬間には大阪にいるわけです。
ところがそのスピードをさらに上げていって、ついに光速を越えてしまうとどうなるのかというと、これがワープ航法で、東京から大阪どころか、何百光年も離れた惑星にまで、次の瞬間には到達することができるようになります。
では、そのワープの速度をさらに上げていったらどうなるのかというと、東京にいたAさんは、同じ瞬間に大阪にも、遠く何百光年も離れた惑星にも同時に存在していることになります。
それどころか宇宙全体のどこにもでAさんは存在していることになります。
まさに神々と同じです。
天照大御神をはじめとした様々な神々は、いつ生まれたのかわからないほど大昔の神様でありながら、記紀が書かれた時代にもご存在され、現在もご存在されて、遠い未来にもご存在されています。
そうしたことが可能なのは、神々が光の存在(あるいは光をも超越した御存在)であるからということができます。
そうした時間軸を超越した存在(高次元の存在)からみれば、時間軸上の過去→現在→未来、あるいは改変した未来も、すべて同じ時間の平野上にあるものでしかありません。
平野というのは平面のことですが、これは我々がA4の用紙を、隅々まで俯瞰して見ることができるのと同じことです。
A4の用紙にいかなる線を描こうが、A4の用紙上にいる人たち(存在)からは時間軸に沿って新たな線が描かれたようにしか感じられませんが、その様子を見下ろす我々からは、前に描いた線も、新しく描いた線も、すべて見下ろすことができるわけです。
ヒモが結ばれることによって時空間が誕生したという超弦理論も、考えてみれば古事記の「たかみむすび神」、「神むすび神」という創生の神々の「むすび」によってこの世界が誕生したという思考を見事に描いているといえます。
つまり、我が国の古代の神話に描かれた智慧の数々というのは、もしかすると、現代物理学の超最先端をすでに予見していた、もしくはすでに超えていたのかもしれないように思えるのです。
考えてみれば、日本で出土した最古の石器は12万年前のものです。
縄文時代だって、1万4千年も続いたのです。
これにたいし、西暦がはじまってから、まだわずか2020年です。
19世紀以降、世界の科学は著しい進歩を遂げましたが、これもよくよく考えてみれば、戦争があっても、その国にあった科学技術や哲学的思考や数理などの学問が、「19世紀以降、戦争があっても失われなくなった」ことに起因していたということができます。
戦禍によってすべて失われてしまったら、また一からがはじまりです。
同じレベルの知見を得るためには、そこから膨大な歳月を要することになります。
日本は、そうした戦禍によってすべてが失われるということがないまま、必要なことがすべて受け継がれるという、たいへんな幸運が、万年の単位で続いた国であるといえます。
そしてその万年という、とほうもなく長い歳月の間に、不要なものは次々に切り捨てられ、ほんとうに大切なことだけが、神語として生き残った・・・・と考えられるのです。
「時間軸の平野」という概念は、古事記の解釈から、いわゆる「ねず説」として今年4月にねずブロに書いたことです。
驚いたのは、それと同じ概念が映画「TENET テネット」で描かれていたことです。
自画自賛したいわけではありません。
「百匹目の猿現象(ひゃっぴきめのさるげんしょう)」だと申し上げたいのです。
つまり筆者も百匹目の猿のうちのひとりであり、世界には同じ時期に同じことを考える人が相当数いて、相当数いるということは、人類社会にこれまでとは違う、新しい概念が広がる時期に至ったということを意味します。
それこそ神々の御意思ということができます。
我々が住む世界には、我々が日常知覚している世界だけではなく、見えない世界や見えない力が確実に存在します。
この世界は、人類だけのものではないし、ましてや自分だけのものでもありません。
見えない世界をも含めて、すべてのものが重なり合って意味を持っている世界です。
意味があるということは、自分にとって、いまこの瞬間に不都合に思える事柄であっても、それはそれで、何かの意味があるということだし、そこからなにかの学びを得ることができるのだと思います。
すごくつらい出来事、本当に腹立たしくて夜も眠れないような出来事、あるいは悲しみに沈んでしまうような、耐えられないようなできごとであったとしても、それらには、必ず何らかの意味があるのです。
ちなみにトップにある画像は、「Sator Square」というラテン語による回文です。
このなかの、縦軸と横軸の真ん中に「TENET」の文字があります。
「TENET」とは、個人または集団が信奉する主義や教義のことを言うのだそうですから、ここでいう「TENET」は、「時間の教義」といった意味なのかもしれません。
最後になりますが、映画の「TENET」は、最新の映画の「IMAX」という技術でも上映されています。
「IMAX」は、通常のシネマサイズよりもはるかに画面が大きくて明るく、しかも精細で、2Dの映像であっても、まるでリアルの3Dを観ているように感じられるものです。
おそらくあと10年もすると、180度「IMAX」映像といったものが可能になります。
時代は確実に進歩しているのです。
従来の考えにこだわり、先を見ようとしないで、ただ愚痴を言ってもはじまりません。
むしろポジティブに現在の進歩を捉え、その中に積極的にチャレンジしていくことにこそ、新しい未来が待っているように思います。
筆者も出演させていただいている
Youtubeの「むすび大学」の標語です。
「日本を元気に!」そこがいちばん大事なのではないかと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行でした。
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コメント
湘南童子
多元宇宙(○○○○○○)については タイムライン
マンデラ・エフェクト シークレット・スペース・プログラム(SSP)等の件と相俟って
広大にして無限なる次元 密度と言われる世界認識 その姿勢と共に在り
それはまた 日本国を中心とした世界人類の霊性開顕
進化向上そして 真の平和の創造に
関わるものと存じます
私たち生きとし生ける全ての物の天命が完うされますように
地球を司る神々様 ありがとうございます
※ 管理人様
上記(○○○○○○)の語彙は送信不可の原因となるようです
失礼いたしました
2020/11/05 URL 編集
松さん
常識や科学では説明不能な超常現象ってあると思っています。
タイムトラベルの物語は嫌いではありません。
しかし、それが可能でも、過去に出掛けて手を出したり、遥か未来を眺めて見たいとは思いません。
何だ彼だ言っても、残り少ない中今を生き抜くことで精一杯ですから。
2020/11/02 URL 編集