日本には文字がなかったという風説の根拠になっているのが『隋書・倭国伝』です。そこには「無文字。唯、刻木、結繩。敬佛法於百済求得佛經始有文字」と書かれています。 この文は、現代語訳すると、 「(倭国では)仏典に用いられている楷書体の文字は使われていなかった。もともとは、刻木(こくぼく)文字や結繩(けつじょう)文字(縄文文字)が使われていた。(倭国は)仏法を敬(うや)まうようになり、百済から仏典を求め得た後、始めて楷書体の漢字が用いられるようになった。」と書かれています。 日本では、漢字以外の文字が使われていたと、ちゃんと書かれているのです。 |

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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
628年に書かれた『隋書』の「倭国伝」に、
「(倭国に)文字はなく、ただ木を刻んだり、縄を結んで文字代わりとす。
仏法を敬い、百済に仏典を求めて始めて文字を得た」と書かれていることから、
「日本には仏教渡来以前には文字がなかった」などと言われています。
本当でしょうか。
そこで、この『隋書・倭国伝』の原文を見てみます。
「無文字
唯、刻木、結繩
敬佛法
於百済求得佛經
始有文字」と書かれています。
読み下すと、
「(倭国に)文字は無い。
唯(ただ)、刻木(こくぼく)と結繩(けつじょう)のみ。
仏法を敬(うや)まい
百済於(よ)り仏経を求め得て
始めて文字有り」となります。
ここでいう「刻木(こくぼく)」というのは、漢字の始祖とされたチャイナの三皇時代の倉頡(そうきつ)が考案した「書契(しょけい)」のことで、書契とは「木に文字を刻む」という意味の言葉です。
「結繩(けつじょう)」は、縄目を結んだ記号のことで、ひらたくいえば「縄文文字」ということになります。
チャイナの三皇時代というのは、チャイナの神話に登場する三人の神《伏羲(ふくぎ)、女媧(じょか)、神農(しんのう)》のことで、半獣半神の姿をした神ということになっています。
続く五帝(ごてい)が人間の聖人君主で、『史記』では黄帝(こうてい)、顓頊(せんぎょく)、嚳(こく)、 堯(ぎょう)、舜(しゅん)と続きます。
チャイナでは、この三皇五帝の時代が、まさに理想国家であったのだと説かれるのですが、『契丹古伝』では、その三皇五帝は、「皆、倭種なり」と記しています。
つまり、すべて倭人であった、と記述しているわけです。
話が脱線しましたが、要するに『隋書』は、仏教の経典に用いられた「楷書体の漢字のことを、漢字と呼ぶ代わりに『文字』と呼んでいる」わけで、倭国では仏教伝来以前には
「刻木文字、結繩文字」が使われていたと記しているわけです。
この「刻木文字」は、古いものですと紀元前14世紀(いまから3400年前)の遺跡である河南省安陽市の遺跡「殷墟(いんきょ)」から発掘されています。
別名が「甲骨文字」です。
当時は、木に刻んだ文字の史料の方が圧倒的に多かったのでしょうが、木は長い歳月の間に溶解してしまうので、現存しているのは亀の甲羅や鹿の骨に刻まれた文字である甲骨文字だけになっているわけです。
繰り返しますが、「甲骨文字=刻木文字」です。
したがって、『隋書』でいう「刻木、結繩」という記述は、漢字成立以前の文字のことを意味します。
「無文字」とあるのは、仏典に用いられた楷書体の漢字が用いられていないというだけの話です。
つまり「刻木文字、結繩文字が使われていた」と書いているのです。
以上の次第から、『隋書・倭国伝』の漢文を現代語に置き換えると、次のように書かれていることがわかります。
○『隋書・倭国伝』の現代語訳
「(倭国では)仏典に用いられている
楷書体の文字は使われていなかった。
刻木(こくぼく)文字や
結繩(けつじょう)文字(縄文文字)
を用いていた。
(倭国は)仏法を敬(うや)まうようになり、
百済から仏典を求めてから、
漢字を用いるようになった。」『隋書』は漢字で記述された史書ですが、その記述にあたっては仏教の経典が漢字で書かれていたことと深く関係します。
漢字は初めて中原を統一した秦の始皇帝が統一文字として採用したものですが、度重なる戦乱の後、あらためて中原を統一した隋は、秦の始皇帝に倣(なら)って、隋の公式文字を漢字にしたわけです。
こうなると、隋においては、漢字以外の文字はすべて(いま風に言うなら)「オクレた文字」、ないしは「文字以前のただの記号」という位置づけになります。
だから「無文字。唯刻木結繩」と書いているのです。
したがって、(繰り返しになりますが)ここでいう「無文字」という記述の意味は、「何事かを記述するためのツール(文字)がなかった」と言っているのではなくて、単に「漢字がまったく使われていなかった」ということを意味しているにすぎません。
そして、
「刻木(こくぼく)」が、「甲骨文字」を意味し、
「結繩(けつじょう)」が、縄目を結んだ「縄文文字」
を意味するなら、それは明らかに「漢字とは異なった文字が用いられている」ということの証(あかし)になります。
こうした「刻木文字、甲骨文字」を用いていた我が国に、その後、仏教とともに、漢字が渡来してくるわけです。
少し考えたらわかることですが、我が国にもとからあった神代文字は、まさに「刻木」や「結繩」のように見える文字ですが、もともとは鹿骨占いのときに生まれる焼いた骨にできるひび割れのパターンを文字化したものです。
そこから、ひび割れそのものの形を記号化した記号文字と、これを説明するための解説文字の2系統が生まれています。
逆にいえば、2系統の文字を用いざるを得ないわけですが、これに対し漢字は、ひとつの文字が意味と読みの両方をきわめて合理的に融合した文字であるわけです。
しかもその漢字のもとをたどれば、当時の理解としては、漢字のもとは日本の神代文字の合成です。
つまり我が国が漢字を用いることは、国家鎮護のための仏教を採り入れることと、我が国で育まれた文化をさらに発展させることにつながるわけです。
そこで日本書紀や万葉集の編纂に際しては、漢字を用いてこれを記述する。
あるいは庚午年籍(こうごねんじゃく。天智天皇の時代に作られた我が国最初の戸籍)の作成にあたって、全国の地名や姓氏を「漢字二文字」で記す、といったことが行われたわけです。
ちなみに「倭国」という書き方について「倭」とは「小さな人(背の低い人)」を意味する漢字であって、日本人をバカにした漢字だ、と仰る方が結構おいでになりますが、それは後に言われるようになった俗説です。
「倭」という漢字は「人偏+禾+女」で成り立っていますが、「禾」は稔って頭を垂れた稲穂の象形、「女」はしなやかな女性です。
「禾+女」で「委」という字になりますが、これは稔った稲穂としなやかな女性たちで、これに人を意味する「亻(にんべん)」が付いて、「偉大な女性神のもとで稲穂の稔りを大切にする人々」という意味になります。
つまり、天照大御神のもとで、斎庭(ゆにわ)の稲穂の神勅を受けて暮らす人々が「倭」であって、ですから古事記では日本のことを「倭」と書いて「やまと」と読んでいます。
チャイナの殷墟から発掘された甲骨文字は、よく見ると、すでに部品となる象形文字の組み合わせによってできあがっていることがわかります。
甲骨文字(=刻木文字)

あたりまえのことですが、部品がなければ完成品が出来上がることは有りえません。
ということは、甲骨文字(=刻木文字)以前に、そこで用いられている部品だけが用いられた文字が存在しなければなりません。
ところがチャイナでは、いまだに甲骨文字の母体(原点)となったはずの部品だけの文字が見つかっていません。
ではどこにあるのかというと、これが日本にあります。
それが日本の神代文字です。
神代文字は、ホツマ文字とかカタカムナ文字、あるいはニニギ文字、龍体文字、アヒル文字などと、実は多数の文字があります。
その数、なんと300種類以上。
逆に言えば、三千年以上前から使われていた神代文字が、その後様々に変化しながら、まるごと日本には現存しているわけです。
これはすごいことです。
その神代文字は、記号文字と、記号の意味を説明した文字とに、大きく二つに分けることができます。
もともとこれらの文字の母体となったのは鹿骨占いで、鹿の骨を焼いたときにできるひび割れのパターンを47種類に分類し、それぞれに意味を持たせ、さらにそこに音を置いたものといわれています。
つまりひび割れが「/」なら、こういう意味、「・」ならこういう意味というように、パターンごとに意味を重ねていたわけです。
アヒル草文字などに代表されます。
一方、バターンそのものではなく、パターンに重ねられた意味が何かを説明する文字の必要が生まれます。
その一音ごとの意味を説明するために作られた文字が、ホツマ文字や龍体文字、ニニギ文字などです。
こうした神代文字は、実は今も使われています。
たとえば神社のお守りは、その中に不思議な文字が書かれています。
それがまさに神代文字です。
また神代文字は、私達現代人が普通に使ってもいます。
カタカナです。
ひらがなは、漢字の草書体から生まれたことは明白ですが、カタカナは、漢字の一部を切り取ったというのは、明らかな嘘です。
カタカナの成り立ち

上の図はカタカナの成り立ちとして学校でも教えられる表ですが、「ア」が「阝」から生まれて、「へ」も「阝」から生まれたのだという。
あるいは「ツ」が「川」から、「ヨ」が「與」からというけれど、どうにも嘘くさいものです。
むしろ神代文字である豊国文字から派生したという方が、はるかに説得力があります。
豊国文字

神代文字が、鹿骨占いのための、ひび割れのパターンか、そのひび割れのパターンの意味を説明した記号(文字)であるとすれば、それぞれのパターンには名前がつけられることになります。
それが日本語の音になります。
こうして一音ごとに意味が定まれば、今度は、音を組み合わせることで単語が生まれます。
たとえば「ウ」は、海(うみ)、宇宙(うちゅう)のように、広大無変なものを指します。
「ミ」は身巳実深箕にあるように、そこにある現実もしくは器のことを言います。
広大な「ウ」と、器の「ミ」を重ねて「ウミ」とすれば、湖などよりもはるかに広大な海を意味する単語になります。
同様に「ム」は何かが生まれるところ、「ラ」は場を意味します。
すると、何もないところから子が生まれる場としての「ムラ」が誕生します。
日本語は、こうして生まれた単語を、定着を意味する「ノ」でつなげることで、長文を形成します。
漢字は、そうした単音の記号の組み合わせによって成り立ったものですから、我々日本人からすると、漢字は、神代文字を組み合わせて「単語」ではなく「ひとつの文字」としたものということができます。
ですから「海」という漢字には、同じ意味を持つ大和言葉で「ウミ」という訓読みを与えました。
同様に「村」には、同じ意味を持つ大和言葉の「ムラ」という訓読みを与えたのです。
漢字に訓読みがあるということは、漢字文化圏の中では日本だけです。
つまり、日本には、漢字よりも多彩な哲学や思考や文化や文字があったということです。
大和言葉は、一字一音一義であるといわれています。
アとかイとかの一音ごとに意味があるわけです。
理由は神代文字(じんだいもじ、かみよもじ)をたずねることで明らかになります。
神代文字は現代の学界では江戸時代の贋作だと決めつけられています。
けれどお伊勢様には稗田阿礼や源義経が奉納した弊紙が残されています。
また古い神社には、千年以上前に描かれたと思われる石に刻まれた碑文があります。
それらはただの模様だという人もいますが、パターンというのは、必ず意味があるものです。
しかもその模様は、文字としてちゃんと言葉になっています。
つまり神代文字は江戸時代以前から「あった」ということです。
さらにいうと、縄文式土器に描かれた土器には模様があります。
模様は、単に縄目模様だということで、縄文式土器の名が付いていますが、その縄目に見えるものの多くは、実は文字であったという説もあります。
なぜなら『隋書』に書かれた「結繩(けつじょう)文字」が、「縄文文字」を意味するからです。
代表的なものに火焔土器があります。
そこに描かれた模様は、土器を生成するときに、あとから器の上に描かれたものであることがわかっています。
そしてその模様には、一定のパターンがあります。
パターンには、必ず意味があるものです。
そうであれば、土器の模様と思われているものは、実は文字である可能性があります。
お読みいただき、ありがとうございました。
歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行でした。
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コメント
Kaminari
しかし、支しし し なな那 な の古代文献にも古代日本に関する記述は沢山あり、孔子もあこがれていたのが日本の君主国であると読むこともできます。
古代文字を頭から否定してしまうのは簡単ですが、まず私たち戦後世代が教わってきた、日本人から誇りを取り払うように作られた偽の歴史知識の再確認が必要だと思います。
そして今、私がこの文章で し支しし な那なな という文字を打ち込もうとしても、さまざまなソフトが、変換候補にさえ、決して上げてこないし、禁止ワードと表示されて投稿すらできない現実があります。海外ではチ ーナ、シ ー ナ と正式呼称になっていても、日本人だけには し支し な那なな と呼ばせたくない勢力がインターネットやソフト制作会社にもあるということです。
日本人であるなら、是非、ほつまつつたえやカタカムナ文書にも目を通して頂きたいものです。
2020/12/25 URL 編集
甘木
正直、ガッカリですね。
漢文の解釈については、研究者によってや読み方によって変わる部分もあるので、信憑性0とは言いません。
とはいえ、ではなぜ、考古学的な面でそういった発見やら何やらが一切ないのか疑問ですし、科学的根拠薄弱です。
ちなみに、神代文字が証拠だとは言わないでくださいね。
神代文字は国学者の捏造だというのが、一般的な歴史的見解です。
そうでないなら、資料を出すべきですよ。
2020/12/24 URL 編集
湘南童子
・・首肯スルに吝かでは御座いません 久しく然う思うて居りまする
一音一義の真相・深層は物理・化学・生物・地学&天文など
科学なるものに解き明かされて参りましょうか
日本国を始め万国全地域が平和でありますように
日ノ本の大和の天命が完うされますように
地球を司る神々様 八百萬の大神達樣
ありがとうございます
失礼しました
2020/12/24 URL 編集
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2020/12/24 URL 編集