意外とかっこいい10円玉



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10円玉に描かれた鳳凰堂。
いまではそれが世界遺産にまでなっていますが、その鳳凰堂から学ぶものは、贅沢三昧な暮らしではなく、実は、質素倹約を重んじ、魂をみがくことを第一とした武士道そのものにある。あるいはもっというなら、平時においては贅沢を慎み、いざというときのために常に備えを怠らないという日本精神そのものの象徴ともいえようかと思います。

20200820 平等院鳳凰堂
画像出所=https://in.pinterest.com/pin/344173596516490331/?nic_v2=1a668yKoA
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

芸能人の光源氏のお話ではありません。
源氏物語の主人公となった光源氏の君の、実在のモデルのお話です。

まずは10円玉から。
10円玉は、昭和26年から用いられるようになりました。
当初の頃の10円玉は、周囲の縁にギザギザがありました。
ギザギザがなくなったのが昭和34年のことで、それ以外は現在に至るまで、10円玉の表裏のデザイン(表面:平等院鳳凰堂、裏面:常盤木(ときわぎ))は、昭和26年の発行年から、ずっと変わっていません。
かれこれ70年間、ずっと同じデザインが用いられているわけです。

裏面の常盤木(ときわぎ)は、常緑広葉樹で、普通は広葉樹は寒くなると落葉するのですが、その葉が散らない木のこと。
日本で常盤木といえば、代表格がクスノキ(楠)で、楠(くすのき)といえば、我が国の歴史上登場する数多(あまた)の武官武将のなかで、唯一、皇居に銅像が飾られている楠正成(くすのきまさしげ)。
つまり10円玉の裏面は、七たび生まれ変わって、なお、皇国のためにつくさんとした智将・楠正成が控えているわけです。

では表面はというと、ここに描かれた平等院鳳凰堂は、

  この世をばわが世とぞ思ふ望月の
  かけたることもなしと思へば

と詠んだ最高権力者の藤原道長の子、関白太政大臣・藤原頼通によって創建された建物です。
往時には他に、本堂や多数の宝塔が立ち並ぶ寺院だったそうですが、度重なる京の都の火災で消失し、現在、往時のままの姿で残っているのが、この鳳凰堂です。

建造されたのは天喜元年(1053年)、いまから968年の昔。
もともとは阿弥陀堂とよばれていたのそうですが、建物を正面から見た姿が、まるで鳳凰が翼を広げた姿のようだということで、江戸時代の初め頃から鳳凰堂と呼ばれるようになりました。

さらにさらに、この鳳凰堂の建つ場所は、かつて源氏物語の光源氏のモデルになった河原左大臣こと、源融(みなもとのとおる)が別荘を建てた地でもあります。


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源氏物語の光源氏といえば、まさに貴公子であり、モテ系男子の典型で、下の絵は大和和紀さんの『源氏物語〜あさきゆめみし〜」からのものですが、おそらく下の絵のような、要するにイケメン男子というのが共通のイメージではないかと思います。

20200820 光源氏2

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ところが現実はなかなか厳しいもので、下は幕末から明治初期に活躍した菊池容斎が描いた河原左大臣《源融(みなもとのとおる)》です。
理想のイケメンを想像していた女性には、ショックな画像かもしれませんが、どんなイケメンでもいずれは年をとるのです。

20200820 源融

(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。)

ちなみに、若い頃イケメンだったからといって、年輪を重ねたときに、ナイスミドルや、イカした爺ちゃんになれるとは限りません。
若い頃はやんちゃで、どちらかというと強面だったり、ブ男扱いされていた男が、半世紀の時を越えて久しぶりに会ってみたら、なんともまあ、品の良い、やさしそうな爺さんになっていた・・・なんてこともあります。
品格は、その人の人生が作るのです。

ちなみにちなみに、さらに突っ込んでお話しますと、大人の男性には、職業の香りが付きます。
香りというのは、ニオイのことではなくて、雰囲気のことです。
おおむね、学校を出て、最初に社会人となった時の会社の雰囲気というか、香りです。
証券会社、金融、製造業、旅行業等々、それぞれの会社にはそれぞれの雰囲気があり、企業が行う新入社員研修と、最初の配属によって、その人に一生続く、職業の香りが備わります。
これは、1年位で退社して、まったく別な業界に行っても、ずっと付いて回るもので、その人にとっての職業の香りになります。

ある、古い神社の宮司さんから伺ったのですが、人生は、振り返ってみると「全部つながっている」のだそうです。
苦労をしたあんなこと、こんなこと。
どうして飛ばされたのかわからないまま、必死でがんばりぬいたあの頃。
悩み苦しみ、もがいていたあの頃。
成功の喜びに燃えていたあの頃等々、人生は山あり 谷ありですけれど、その山も谷も、振り返ってみれば全部つながっている。
それはまるで、はじめから既定の路線であったのかのような感じさえ、するものなのだそうです。

さて、話が脱線しました。
源融について、お能に「融(とおる)」という演目があります。

このお能の演目の中で、実は源融が、左大臣まで昇りつめながら、藤原氏との政争に敗れ、六条河原に大邸宅を造営して、余生を風雅のうちに過ごたことが描かれています。
お能は、ひとりの旅の僧がこの六条河原を通りがかったところ源融の霊に出会うところからはじまります。

その霊は、かつてここにあった邸宅は、陸奥の塩釜の景観を模したもので、毎日難波から海水を汲んで屋敷まで運ばせ、院の庭で塩を焼かせて楽しみとするという贅沢が行われていたけれど、後を継ぐ人もなく、この河原院は荒れ果ててしまったと嘆きます。
そして最後は、その霊が、若々しい在りし日の姿・・・つまり「熱心に文武に励み、真剣に民を想って仕事をしていた純粋だった若き日の姿・・・となって月の都へと帰っていく、というのが、この「融」の物語です。

お能は武士に愛された芸能ですが、なかでもこの「融」は、毎日難波から海水を汲んで屋敷まで運ばせるという贅沢な暮らしが、権力の座から降りた者が行う、いわば「敗軍の将の暮らし」に他ならず、現職にある者はそのような華美な暮らしをするものではない、という、贅沢にひたることの愚かしさをあらわした物語です。
だからこそ「融」は、お能の代表的な作品として、毎年のように城内で演じられた能楽であったのです。

その昔、武士は刀槍と具足(ヨロイのこと)以外は何も持たず、屋敷は常にガランとしていることが最上とされました。
屋敷も贅沢な調度品も、時が建てばすべて失われていきます。
けれど、今生の武勇と、身に付けた知性は魂となって世代を超越します。
そしてその知性から生まれる和歌(うた)は、世代を越えて世に残る。
昭和の軍人も、そうした武士道精神を濃厚に保持した人たちでありました。

以前にも書きましたが、いまではお能といえば「侘び寂び幽玄の世界」などとばかり強調されますが、まったくこれは間違った見方です。
そうではなく、武士道の根幹を学ぶための芸能が、お能であったのです。

武士は子供の頃から、このお能に親しみ、そしてお能によって日本武士として必要な価値観を学び、そのうえで四書五経などの漢学を学びました。
四書五経で学んだのは、チャイナやコリアの高官たちも同じですが、彼らの国に武士道が育たず、日本に武士道が育った理由は、まさにお能にあったのです。

10円玉の表に描かれた宇治平等院鳳凰堂。
この建物が象徴しているのは、贅沢な暮らしではありません。そこには質素倹約を重んじた武士道精神があるのです。
そして裏面の常磐木は、なんと楠正成を象徴している。

いやあ10円玉って、意外とかっこいいなって、思いません??


お読みいただき、ありがとうございました。
歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行でした。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

《動画》「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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