民族の価値観と神話



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古いものほど価値を持ちます。ですから最も古いものが、最も価値のあるものです。各民族が持つ、最も古い価値観を形成しているものが、神話です。
だから神話が価値観を形成します。
そして民族の神話を失うことは、民族としての価値観を失うことですから、民族そのものが崩壊するのです。

20210206 アルテミス
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小名木善行です。

神話といえば、英国の歴史学者のアーノルド・J・トインビー博士が、「民族が滅びる3つの原則」として、次の3点をあげています。

第1の原則 理想を失った民族は滅びる。
第2の原則 すべてを金の価値に置き換えて判断する民族は滅びる。
第3の原則 12・3歳くらいまでに民族の神話を学ばなかった民族は例外なく百年以内に滅びる。

なかでも第3の原則は衝撃的ですが、現実に我が国が神話を失ってから76年目です。
このままでは、あと24年以内に日本民族は消滅することになってしまうわけです。

では、なぜ神話がそこまで大切なものとされるのでしょうか。
この疑問に対する答えが、「正義」です。

何が正しくて、何が間違っているのかということを決めるためには、その判断の基準となる物差しが必要になります。
実はその物差しにあたるものが、神話なのです。

「えっ?!そんな話聴いたことがないよ」と思われるかもしれません。
けれど、いまの日本人の多くが、そのように思わされてしまっていること自体が、神話を失っているということなのです。

何が正しくて何が間違っているのか。
その問いに対する答えこそ、伝統的価値観によって裏付けられた社会通念なのです。



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たとえば世界には、泥棒は宗教的戒律でわざわざ規制しなければならないほど、当然の行為とされている国や民族があります。
「ひらけ〜ゴマ!」で有名な『アリババと40人の盗賊』のアリババは、盗賊から財宝を盗んだ泥棒の物語です。
泥棒から泥棒するのは、その世界観では、正しいこととされているわけです。

有名な「アラジン」は、言ってみれば泥棒の青年が王妃を奪う物語です。
コソドロが、空飛ぶ絨毯を使って、ついには王妃を泥棒しているわけです。

あるいはシンデレラの物語は、継母との決別の物語です。
そこには、東洋的な「忠孝の道」なるものは存在していません。

モンゴルには、食うに困って家畜を泥棒するときは、泥棒に入った家の人達を皆殺しにしなければならないという寓話があります。
あるいは、お隣の半島では、金持ちの家を陥れてその財産を奪って自分が金持ちになるという、映画の『パラサイト』のような寓話がありますが、すなわち騙される方が悪い、騙して儲けた者の勝ち、という彼の国の伝統的価値観を象徴しています。

かように昔語りは、その国の人々の価値観、その国の人々が、何が正しくて、何が間違っているのかの判断に基準を与えます。
そしてこれがさらに神話となると、人々の価値観としての何が正しくて、何が間違っているのかの判断を、完全に決定づけます。

たとえば旧約聖書において、エデンの園で禁断のリンゴを食べてしまったアダムとイブは、神に問い詰められたときに、次のように答えて責任を転嫁しました。
アダム「神に創られた女が勧めた」と神と女に責任転嫁
イブ「蛇に騙された」と責任転嫁した。
このため怒った神が、イブに対して「産みの苦しみと夫からの支配」を、アダムに対しては「地から苦しんで食物を取ることと土にかえれ」と命じています。
これが人類の原罪です。
聞いたことがある方も多いと思います。

そしてこのことが原因となって、男性にとって労働は、ただの苦痛となり、働かず、汗を流さずに所得を得ることが、社会の上層部に立つ者の基本姿勢となり、また女性は男性からの支配からの脱却が女性運動の目標となって、ジェンダーレス等の提案が起きています。

働くことを喜びとし、男性の仕事を内君として支えることが女性の役割としてきた日本の文化からすると、びっくりするような行動ですが、それは神話によって形成された価値観に基づいて、何が正しくて、何が間違っているのかの判断が行われた結果となっているわけです。

このように、何が正しくて、何が間違っているのかの判断をするための価値観というものは、古くからの伝統的価値観によって形成されます。
そしてここでは、古いということ、古くからずっと生き残って価値観の根幹とされてきたことが、より正しいものとされています。

もっとざっくりと簡単にまとめるなら、
「古いということに価値がある」のです。

そしておもしろいことに、二つの異なる価値観がぶつかったとき、最終的な判断は、より古い価値観の方が、必ず「正しい」とされます。
つまり、古ければ古いほど、それは「正しい」ことになるのです。
これが伝統的価値観と呼ばれるものの正体です。

ここでは古いものほど価値を持ちますから、最も古いものが、最も価値のあるものであるということになります。
そして各民族が持つ、最も古い価値観を形成しているものが、神話です。

だから、神話が価値観を形成するのです。
そして民族の神話を失うことは、民族としての価値観を失うことですから、民族そのものが崩壊するのです。


お読みいただき、ありがとうございました。
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小名木善行でした。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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