十七条憲法第二条を読む



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要するに第二条を要約すれば、
「第一条の議論にあたっては、まず仏法僧を敬う心を持とう」
もっというなら、
「第一条の議論にあたっては、まず教養のある人間になろう!!」
と述べているのです。
これが十七条憲法の第二条です。

20210216 聖徳太子



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小名木善行です。

今回は、聖徳太子の十七条憲法の第二条を読みます。
第一条はコチラです。

第二条
 二曰
 篤敬三宝
 三宝者佛法僧也
 則四生之終帰
 万国之極宗
 何世何人 非貴是法
 人鮮尤悪 能教従之
 其不帰三宝 何以直枉。


二にいわく。
篤(あつ)く三宝(さんぼう)を敬(うやま)え
三宝とは仏と法と僧なり。
則(すなわ)ち四生(ししょう)の終帰
万国の極宗(ごくしゅう)なり。
何(いず)れの世、何れの人
この法を貴ばざる。
人(ひと)尤(はなは)だ悪(あ)しきもの鮮(すく)なし
能(よ)く教うれば従う
それ三宝に帰せずんば
何をもちて枉(まが)るを直(ただ)さん


《現代語訳》
仏と法と僧とを篤(あつ)く敬いなさい。
なぜならこれらは、あらゆる生命体の帰るべきところであり、万国のおおもとだからです。
どのような世にあっても、どのような人であっても、この法を貴(たっと)ない者はありません。
最初から極悪人など、あまりいないものです。
よく教えれば、ちゃんと従うものです。
では、どうやって教えるのかといえば、その根幹に仏法僧を置くことです。




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《解説》

この第二条の「篤(あつ)く三宝(さんぼう)を敬(うやま)え」の「三宝」とは何かについては、古来議論があります。
でも、答えは明確に文中に「仏法僧」であると書かれています。
では、なぜ「仏法僧」が大切かといえば、それは、仏の教えと法、それを説く僧侶の中に、「四生(ししょう)の終帰(しゅうき)」があるからだというわけです。

「四生(ししょう)」というのは仏教用語でいう生物の分類です。
別な言い方で「胎卵湿化」といい、生き物を「胎生(たいしょう)、卵生(らんしょう)、湿生(しっしょう)、化生(けしょう)の四つに分類したものです。

※参考「四生」
1 胎生= 母親の胎内から出生する哺乳動物(人間もこれに含まれる)
2 卵生=卵から生まれるもの(鳥類、魚類など)
3 湿生=じめじめしたところから生れるもの(昆虫類など)
4 化生=業(カルマ)によって、何もないところから突然生まれるもの(天人や地獄の牛頭馬頭など)

「終帰(しゅうき)」というのは、その帰るところです。
つまりあらゆる生命は、最後に仏界に帰るというわけです。

そしてこのことが、万国の施政のおおもとであると説きます。
つまり、最後はみんな仏になるのだから(よく「死んだらみんな仏さんだよね」などと言います)、誰でも仏になる道を貴ばない者はいない。
もちろんなかには、どうあってもそれを貴ぼうとしない極悪人も、ごくまれにはあるけれど、ほとんどの場合、最初からの極悪人、生まれついての極悪人などいないのだから、ちゃんと教えれば、誰もが納得して真人間になることができる。
だからこそ、仏法僧を敬うことを、しっかりと教育していかなければならないのだ、と説いているわけです。

ところが、仏教には様々な宗派があり、必ずしも「死んだらみんな仏様になる」と説かれているわけではありません。
四悪道(しあくどう)とか六道輪廻(りくどうりんね)といって、死んだ後、地獄に落ちる者もいるし、畜生道や餓鬼界あたりをウロウロすることになる者もいると説く宗派もあるのです。

一方、死んだらみんな神様になる・・・というより、もともと魂の本体は神様で、その神様がより高貴な神様になるための訓練のためにこの世に肉体という重みを持って生まれてきているのだというのが、縄文以来の我が国固有の思考です。
また、聖徳太子の時代における仏教は、中央貴族だけが帰依を許されたものであって、民間での信仰は硬く禁じられてもいました。

ということは、
1 十七条憲法は、単に中央貴族に対してのみ発布されたものであったのでしょうか。
2 それとも、現世に生きる日本人みんなに向けて発せられたものなのでしょうか。

仮に1であったとすると、第一条にいう、上下ともに胸襟を開いて議論しなさい、というものも、これまた中央貴族に対してだけを対象としたものなのでしょうか。

これについて第二条は「万国之極宗 何世何人」と書いています。
「万国のおおもとであり、どのような世にあっても、どのような人であっても」とあるわけです。
ということは、答えは2の現世に生きるすべての人に宛ててこの十七条憲法が発せられていることになります。

そうであれば、ここでいう仏法僧というのは、仏教の教えだけに限定した話ではなく、「誰もが、その本体は神(霊(ひ))である」という日本古来の思考に基づいたものである、ということになります。
つまりここでいう仏法僧というのは、いわば例示であって、日本古来の思想や伝統文化に立脚した上での仏法僧、つまり日本的仏教観に基づいて、これを大切にしなさい、と説いていることになります。

よく、十七条憲法にいう「篤(あつ)く三宝(さんぼう)を敬(うやま)え」の「三宝」とは、三種の神器のことを言うのではないかという人がいますが、そうではなく、「三宝」とは文字の上では仏法僧であり、その文の底にあるのは日本的価値観であり、天皇を中心とした知らす国日本の形そのもののことを意味しているということができるわけです。
これを文底秘沈(もんていひちん)といいます。

さて、この第二条は、第一条の「和することを第一として、上下心を合わせてちゃんと議論しなさい」という条文に続くものとして書かれています。
第一条は、議論《あげつらふこと》の大切さを説いているのですから、続く第二条は、その議論にあたって、
「世の中に根っから悪い人などまずいないのだから、
 ちゃんと教導してあげて、
 きちんと議論できるようにしていこう。
 そのために御仏の教えを根幹に於いていこう。
 御仏の教えは万物の教えのおおもとです。
 だからあつく仏法僧を敬うことで、
 たがいにちゃんと議論することができる国になろう」

ということを述べていることになります。

要するに第二条を要約すれば、
「第一条の議論にあたっては、まず仏法僧を敬う心を持とう」
もっというなら、
「第一条の議論にあたっては、まず教養のある人間になろう!!」
と述べているのです。
これが十七条憲法の第二条です。


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Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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出身:静岡県浜松市
住所:千葉県野田市
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「明治150年真の日本の姿」、「日本と台湾の絆」、「奇跡の将軍樋口季一郎」、「南京事件は4度あった」、などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。
日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
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