なぜ古事記を学ぶのか



◆◆ニュース◆◆
新刊『日本建国史』発売中。
https://amzn.to/2LuOGgX

Amazonベストセラー1位(古代日本史)


なぜ神話を学ぶのかについては、以前このブログに書いたことがあります。
今回のテーマの「なぜ古事記を学ぶのか」も、答えは似たようなものですが、整理してみたいと思います。

20210329 神様
画像出所=http://kotodama.xn--9oq386cb2a.com/%E5%BC%9F%E6%A9%98%E6%AF%94%E8%B3%A3%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%85%A5%E6%B0%B4_%E5%8F%A4%E4%BA%8B%E8%A8%98/
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)



人気ブログランキング
応援クリックこちらから。いつもありがとうございます。

歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

似たようなご質問として、なぜ神話を学ぶのかについては、以前このブログに書いたことがあります。
今回のテーマの「なぜ古事記を学ぶのか」も、答えは似たようなものですが、整理してみたいと思います。
はじめに《要約》をお示しします。

《要約》
1 なぜ古事記を学ぶ必要があるのですか?
 (答え)古事記は日本人の価値観の源泉

2 古事記は事実ではない作り話。教える必要がありますか?
 (答え)古事記は長い歳月を生き残った私達の共通のご先祖の物語

3 他の国では自国の神話や建国の経緯を教えているのですか?
 (答え)世界では教えることが標準。
     アメリカでは日本の神話まで教えている。

4 神様の名前は長くて覚えられない。神話ってむつかしくないですか?
 (答え)神様のお名前には意味がある。
     意味を知れば神様が身近になる。

5 古事記って学校、家庭、どこで教えるのですか?
 (答え)いくつから学んでも大丈夫。古事記には深さがある。

6 古事記って宗教?学校で宗教を教えるのですか?
 (答え)宗教は生きるための「教え」。
     古事記を通じて学ぶ神道は生きるための「道」。

《質問1》なぜ古事記を学ぶ必要があるのですか?

古事記の、特に神話を学ぶということは、日本人としての価値観を学ぶということです。
価値観というのは、物事の善悪の判断の基準、ものさしになるものです。
人生は、日々、瞬間瞬間が、判断の連続です。
より良い判断を連続させれば良い人生になるし、悪しき判断を連続させれば転落の人生を歩むことになります。
私達は、目の前に餌を出されなくてもベルの音がしたただけよだれを垂らすというパブロフの犬にはなりたくありません。
なぜなら私達は、刺激を受けたときに、ただ反応するというのではなく、刺激と反応の間に「判断」というものさしを入れることができるからです。
目の前に札束を積まれても、堂々とそれを拒否できるのは、価値観に基づく判断力によります。
そうした判断力を養うのが、神話であり、古事記です。
だから古事記には値打ちがあるのです。



 最新刊
 
《質問2》古事記は事実ではない作り話。教える必要がありますか?

古事記は、古事記は長い歳月を生き残った私達の共通のご先祖の物語です。
これについては、「生き残った物語」ということと、「神話と神語」の違いという二つの点からご案内したいと思います。

(1) 生き残った物語

現代の学会では、磨製石器の登場が人類が共同体を営むようになったことの証(あかし)であるとされています。
なぜなら共同体を維持するためには、「我々はなぜここで共同体を形成しているのか」の核となる理由が必要になるからです。
その理由を物語化したものが神話です。
その磨製石器の登場は、西洋ではおよそ8000年前の古代シュメールの時代であり、このときから神話が形成されはじめ、後にそれらがギリシャ神話になったり、旧約聖書になったりしていったのだというのが通説です。
日本では、磨製石器の登場が世界で最も古くて、およそ3万8千年前のことです。
そんな古い昔から、我が国では文明文化を絶やすことなく、綿々と神話を語り継いできたわけです。
その万年の単位を生き延びてきた私達の祖先からのプレゼントを、いまから1300年前に整理統合したものが、古事記です。
そしてその古事記は、やはり1300年の時を生き残ってきた物語です。
数年前のベストセラー小説が、5年10年と読まれ続けるのは、ものすごくたいへんな、そして稀(まれ)なことです。
それが100年、500年、千年の歳月を人々から愛され、生き残ってきた物語というのは、それ自体がものすごく価値のあることです。
しかもその物語には、万年の単位で私達の祖先が大切なこととして語り継いできた生きる知恵が、物語として描かれれているのです。
したがって古事記を読むということは、私達のご先祖の万年単位で形成されてきた叡智を学ぶということを意味します。
これを教えない、学ばないということは、本当にもったいないことだと思います。

(2) 神話と神語の違い

神話という単語は、幕末に英語の「(ミス)MYTH」を日本語訳してできた単語です。
ぞれ以前の・・江戸時代には神話という語はありません。
それまでは、いわゆる日本神話のことは「神語(かむかたり)」と呼んでいました。
英語の「MYTH」には、仰る通り「根拠のない作り話」という語彙があります。
英語はイギリスの言葉ですが、そのイギリスは、ノルマンディ公が上陸してできた国です。
ノルマンディ公というのは、その名の通り「ノルマン」、つまりスカンジナビア半島の海賊のバイキングの一族です。
そのバイキングが、イギリスに上陸して、原住民であったケルトの人々を支配して生まれた国がイギリスです。
ケルト人には、妖精信仰がありましたが、ノルマンディ公は一神教のキリスト教徒です。
そこでケルトの妖精信仰を、すべて「根拠のない作り話(MYTH)」と呼んだのです。
けれど、そのような神話でさえ、イギリスの歴史学者のアーノルド・トインビー博士は、
「12〜3歳ころまでに民族の神話を学ばなかった民族は、例外なく100年以内に滅びる」と述べています。
我が国の神話は、日本にある様々な家系のすべてに共通した古い時代のご先祖の物語と考えられていました。
ですから幕末の翻訳家たちは、そういう大切なご先祖の物語である神語(かむがたり)を、根拠のない作り話と一緒にされたらかなわないということで、意図して神話という用語を造語したわけです。
そして我が国の神話は、仮にもし、西洋の歴史学が言うように磨製石器の時代に生まれたのだとするならば、我が国の磨製石器は、世界最古で3万8千年の歴史を持ちますから、万年の単位で伝承されてきた民族の物語であるということができます。
ということは、神語(かむかたり)は、私達にとってのご祖先からの贈り物といえます。
それを、果たして私達の世代で失ってしまって良いものなのでしょうか。


《質問3》 他の国では自国の神話や建国の経緯を教えているのですか?

世界中、どこの国であっても、その国の建国の経緯や建国宣言は、学校で子どもに教えています。
なぜなら、建国の経緯や建国宣言を知ることは、自分たちが目指す国家が、どのような理想のもとに建国されたかを知ることで、国民としてのアンデンティティを構築するために、必要だからです。
けれど、世界でたったひとつ、建国の経緯も建国宣言も教えていない国があります。
たった一カ国だけです。それが日本です。
ところが、日本にそうした神話教育や建国の経緯を教えることを禁じたアメリカでは、米国の義務教育である中学校の教科書で、日本の神話を教えています。
そこには、イザナギとイザナミが、宝石を散りばめた矛(ほこ)を使って国土をつくるとそこに降りたってアマテラスが生まれ、その孫のニニギノミコトが地上に降臨し、ニニギの孫のジンムが初代天皇となった・・・と書いてあります。
要するに、神話や建国の経緯を教えることは、世界では教えることが標準であり、常識です。


《質問4》神様の名前は長くて覚えられない。神話ってむつかしくないですか?

むつかしいです(笑)
けれど、実は、簡単にやさしくしようとして、かえってむつかしくしているのです。
神様のお名前というのは、現代人の名前のような個人名ではなく、その神様の特徴を表しています。
日本の最初の神様は、アメノミナカノヌシノカミですが、カタカナですと意味がわかりにくいものです。
けれど「天之御中主神」と漢字で書いてあると、なるほど「天の御中の主の神様」という意味なのだから、時空間のまん真ん中の主の神様なのだな、とわかります。
こうして中心が定まったら、そこから高次元の結びが始まりますから、続く神様のお名前が「高みの結び(産巣)神」という意味で「高御産巣日神(たかみむすびのかみ)」、結ばれた神様たちがさらに結ばれるということで「神産巣日神(かみむすびのかみ)」となります。
これらの神様のお名前を、わかりやすくするためにと「タカミムスビノカミ、カミムスビノカミ」といったようにカタカナにしてしまうと、逆に意味がわからずに、かえって神話をむつかしくしてしまいます。
そして、一文字ずつ、ちゃんと意味を理解しながら学ぶと、古事記の深い世界が身近なものになっていきます。
そうすることで、同じ物語でも、理解の程度がまったく違ったものになってきます。


《質問5》古事記って学校、家庭、どこで教えるのですか?

古事記に限らず、昔は神話を学校で教えていたとよく言われますが、実際に小学校の国史の教科書を見ると、神話の時代から近代史に至るまでの全15章のうち、最初のわずか1章だけです。
しかもその1章の中で、イザナギ、イザナミからニニギノミコトの天孫降臨、神武天皇による建国、第10代崇神(すじん)天皇による四道将軍の派遣、第11代垂仁天皇による伊勢神宮のご創建、日本武尊(やまとたけるのみこと)の活躍、神功皇后の三韓征伐までが、ぜんぶまとめて記述されています。

つまり簡単にいえば、いわゆる神話についての記述は、上に述べたアメリカの中学校の教科書と同程度の記述があるだけです。
ではどうやって昔の人たちが神話を学んでいたのかというと、実は大人になってからも学んでいたのです。
実はこれこそが日本文化の誇るべき特徴のひとつなのですが、日本文化は幼児にもやさしく、奥行きがとても深い。
たとえば茶道であれば、お茶を飲むだけなら三歳児にもできますが、茶の湯の道を極めようとするなら、一生修行を積んでも極に達することができるのは、何百年にひとりです。
武道、華道など、皆同じです。
神話もまた、子供には子供向けの理解があり、大人には大人としての理解があります。
そういう深みを持つのが日本の古典文学の特徴です。
まして神話は、万年の単位で熟成された日本人の価値観が述べられているのです。
そしてその内容は、子供にもわかりやすく、老成してから学んでも、また深い。
それが日本の神話であり、古事記の世界です。
教科書にかかれているのは、わずかにそのとば口にすぎません。
ですから神話は、いつから学び始めても、そこには深い感動と、新たな人生への手ほどきがあります。
古事記は、いくつになっても、学ぼうと思ったときが、学ぶときなのです。


《質問6》古事記って宗教?学校で宗教を教えるのですか?

神話に限らず、神道もまた、宗教ではありません。
そもそも宗教という用語が作られたのは幕末の頃です。
神道は、幕末よりも、もっとずっと古くから存在しています。
宗教というのは、神の教えのことを言います。
ですから宗教法人法には、《「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体》(宗教法人法第二条)と書かれています。
要するに、教えがあって、その教えをひろめるのが宗教だというわけです。

ところが神道には、教えがありません。
信者の教化育成も、「言挙げせず」といって、まったく行いません。
なぜなら神道は「道」であって、「教え」ではないからです。

「道」と「教え」は異なります。
人が正しく生きる道のことを、人道と言いますが、人道は「教え」ではありません。
人は、道を得るために教えを求め、教えに従って道を切り拓きます。

たとえば受験勉強では、「こうすれば成績が上がる」、「こうすれば受験で合格できる」といったハウツー本がたくさんありますけれど、それらを読んだだけで成績が上がることは決してありません。
それらは合格のための近道を教えてくれるものではあるけれど、結局のところ、本人が勉強をしない限り、決して成績があがることはないのです。
このときの、受験生として志望校に合格するまでの道のりが「道」です。
そして「こうすれば成績があがる」という教えや、それぞれの教科の学習をすることが「教え」と「学び」です。
受験生は、「教え」を学びながら、合格という目標に向かって「道」を歩むのです。

これが人生における「宗教」と、道としての「神道」の違いです。

神話は、それぞれの神様が歩まれた道です。
それぞれの神様は、子や孫の幸せを願って活躍されました。
そうした幸せへの願いの連続の中に、いまを生きる私達の生命があります。
神社への参拝は、過去のご祖先への感謝であり、未来の子供たち、子孫たちの幸せへの祈りでもあります。
もちろん神社で自分のしあわせ(ご利益)を祈ることもありますが、それはむしろ自分がご祖先からいただいた「ご先祖の祈り」への「感謝」であり、子孫の幸せのための「祈り」であり、その祈りと感謝を、この先も未来永劫つないでいこうとする、過去と現在と未来をむすぶものであるのです。


お読みいただき、ありがとうございました。
日本をかっこよく!! むすび大学。


人気ブログランキング
↑ ↑
応援クリックありがとうございます。

講演や動画、記事などで有償で活用される場合は、
メールでお申し出ください。

nezu3344@gmail.com

 最新刊
 

《塾・講演等の日程》
どなたでもご参加いただけます。
第80回倭塾 2月21日(日)13時〜17時 富岡八幡宮婚儀殿2F
第81回倭塾 3月21日(日)13時〜17時 富岡八幡宮婚儀殿2F
第82回倭塾 4月17日(土)13時〜17時 富岡八幡宮婚儀殿2F



20200401 日本書紀
◆ニュース◆
最新刊『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』2020/9/19発売。
『[復刻版]初等科国語 [高学年版]』絶賛発売中!!
『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』絶賛発売中!!
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』絶賛発売中。


『ねずさんのひとりごとメールマガジン』
登録会員募集中 ¥864(税込)/月  初月無料!


             
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
\  SNSでみんなに教えよう! /
\  ねずさんの学ぼう日本の最新記事が届くよ! /

あわせて読みたい

こちらもオススメ

コメント

非公開コメント

検索フォーム

ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

《動画》「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
むすび大学事務局
E-mail info@musubi-ac.com
電話 072-807-7567
○受付時間 
9:00~12:00
15:00~19:00
定休日  木曜日

スポンサードリンク

カレンダー

09 | 2021/10 | 11
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -

最新記事

*引用・転載・コメントについて

ブログ、SNS、ツイッター、動画や印刷物作成など、多数に公開するに際しては、必ず、当ブログからの転載であること、および記事のURLを付してくださいますようお願いします。
またいただきましたコメントはすべて読ませていただいていますが、個別のご回答は一切しておりません。あしからずご了承ください。

スポンサードリンク

月別アーカイブ

ねずさん(小名木善行)著書

ねずさんメルマガ

ご購読は↓コチラ↓から
ねずブロメルマガ

スポンサードリンク

コメントをくださる皆様へ

基本的にご意見は尊重し、削除も最低限にとどめますが、コメントは互いに尊敬と互譲の心をもってお願いします。汚い言葉遣いや他の人を揶揄するようなコメント、並びに他人への誹謗中傷にあたるコメント、および名無しコメントは、削除しますのであしからず。

スポンサードリンク