理系と文系



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理系と文系・・両者の関係は、右手と左手、右脳と左脳の関係のようなものです。
両者は対立関係ではなく、両方あって、はじめて探求が進むものであるといえます。
これが、学制に依らない大人の学問です。

200210325 文系と理系
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

昨今では、理系と文系の違いといえば、理系は論理的かつ帰納法的、文系は暗記と文書化の科目ようになっているのだそうです。
文系としてはとても残念なことです。

理系と異なり、文系の学問には、答えがありません。
だから面白くないという人もいるのですが、文系のおもしろさは、その「答えがない」というところにあります。
なぜなら「答えがない」ということは、自分なりの答えを「考え」かつ「表現」し、周囲にそれを「認知」してもらい、「納得」していただく、というのが、文系の学問だからです。

昔から論語読みの論語知らずといいますが、論語を読んで暗記することが大切ではないのです。
暗記などしなくても、読み返せばいいだけのことです。
けれど、その真意はどこにあるのかを必死で考え抜くときには、同じ文面を何百回となく読むことになります。
気がつけば(結果として)暗記してしまっている、というだけのことです。

たとえば有名な文句に、
「少年老い易く学成り難し」という言葉があります。

一般には、この言葉は「青年時代はあっという間に過ぎ去ってしまい、一方で学業はなかなかに成就しないものである」という意味だとされています。
けれど原文を読むと、次のように書いてあります。

 少年易老学難成
 一寸光陰不可軽
 未覚池塘春草夢
 階前梧葉已秋声


《読み下し文》
少年老い易く学成り難し
一寸の光陰軽んず可からず
未だ覚めず池塘(ちとう)春草(しゅんそう)の夢(ゆめ)
階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声(しゅうせい)




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「池塘(ちとう)春草(しゅんそう)の夢(ゆめ)」というのは、池の堤の春草の上で見た夢のことで、そこから転じて夢の多い少年時代や青春の楽しさ、はかなさのたとえとされる言葉です。
「階前の梧葉」の「梧葉(ごよう)」とはアオギリの葉のことで、登るべき階段の木の葉がすでに秋色になっているよ、という意味の言葉です。

そこから一般的な現代語訳を示すと、次のようになります。

「少年時代はあっという間に過ぎてしまい、
 学業はなかなか成り難いものです。
 むしろ老いてしまうほうが早いといえるかもしれません。
 だからこそ、一寸先の小さな光を大切にしたいし、
 池の堤の春草の上で見た夢から覚めないでいたい。
 気がつけば木々の葉っぱも、もう秋模様となりましたけどね。」

とまあ、こんな感じの文になります。

ただ、ここで「学」という字にあらためて注目してみると、ちょっと意味が変わってきます。
「学」は、いまでこそ新字体で「学」と書きますが、昔は旧字の「學」を書きました。
旧字の「學」は、大人たちがひとりの子を引き上げるという意味の漢字です。

つまり「学成り難し」というのは、
「大人たちが子の学力をひきあげきれないうちに」
といった語感になります。

すると「少年老い易く学成り難し」は、
「少年たちを教え導いても、なかなか彼らの能力を引き上げることができない。
そうこうしているうちに、少年たちは(十分な知識や教養を得ないままに)早くも老成してしまう。」
といった意味になります。

そうすると上の全文の意味は、次のように変化します。
「少年たちを教え導いても、
 なかなか彼らの能力を引き上げることができない。
 十分な知識を身に着けないうちに、
 彼らは年が進んで、大人になってしまいます。
 せめて彼らが、
 一寸先の小さな光を大切に、
 池の堤の春草の上で見た夢からも
 覚めないでいてもらいたいと思います。
 そして彼らが年輪を重ね、
 階段の前に植わっているアオギリの葉が
 秋の声を聞くようになっても、
 学問への探求を怠らないでいてもらいたいものです」

解釈の形が変わると、言葉の意味も変化します。
そして若い頃には気づかなかったことに、年老いてから「なるほど、あれはそういう意味だったのだ」と気付くことがあります。

こうした気付きによって、日々成長していこうというのが、文系の学問の特徴です。
だからこそ文系には、常に正解がないのだし、
むしろ、正解を固定してはならないのです。

ここが理系との大きな違いです。

昨今では、テストの採点の都合で、文系も「正しい答え」を求めるという傾向が際立っています。
しかし文系に正しい答えを要求するということは、何が正しいのかを強制することになります。
そしてそのことは、現代の文系の学会に顕著にあるような、教授の意向の範囲内でしか、学問を語ることができない、という、おかしな風潮を生むわけです。

これに対して理系は、正しい答えを得る学問です。
真理はひとつであり、その真理に向かって、まっすぐに向かっていくのが理系です。

ただし、そのためには条件があります。
それは「1+1=2」であるというといった数理上の原則を崩してはならないということです。
なぜなら「1+1」の答えが、4になったり、0.5であったりしたら、以後の計算ができなくなるからです。

しかし現実には「1+1」が「2」になることのほうが少ない。
ひとりで商売していたものを、二人で商売するようになったら、売上も利益も二倍になるかといえば、決してそんなことはない。

つまり理系における「決まった答え」というものは、実は計算に必要なパラメーターを固定したときにのみ、はじめて成立するものだということです。
そうであれば、パラメーターが変われば、答えもおのずと変わってしまう。
つまり答えに「範囲」が生まれます。

その生まれた「範囲」内で、どういった意思決定をするかの判断は、答えのない文系の知恵となります。

理系と文系・・両者の関係は、右手と左手、右脳と左脳の関係のようなものです。
両者は対立関係ではなく、両方あって、はじめて探求が進むものであるといえます。
これが、学制に依らない大人の学問です。


お読みいただき、ありがとうございました。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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