植民地の意味を理解する



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植民地支配は、単に王の権力欲でばかり説明されがちですが、そうではなく、そこに「そうする必要があった」からこそ、そのような体制が生まれたということも、私たちは把握しておく必要があります。

20160507 アジアの植民地
画像出所=http://wherearewenow2.com/archives/906
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小名木善行です。

私たちは「植民地支配」と聞くと、15世紀中ば頃から始まる大航海時代以降、西欧の強国が有色人種国家を支配し収奪したものであると、きわめて図式的、簡単に理解しています。
ところが植民地支配国側の立場に立ってみると、そうとばかりはいえない側面もあるというお話です。

どういうことかというと、仮にも国家を標榜する以上、自国内で起きた事件や事故については、当該国はちゃんと国として責任をとらなければなりません。
それは下々がしたことであって、当国政府は関係ないでは済まされないのです。

たとえば、イギリス人がフランスで殺されたとします。
その犯人の捜査から被害者への賠償まで、フランス政府は当然にイギリスに対して責任を負います。
イギリス政府は、その殺害された被害者のイギリス国民に国家として責任を負っているのだし、当然にイギリス国として、フランス国に対して、事態の究明から賠償責任についてまで、国としてキチンとした対応の申入れをするし、フランスも国家として、その申入れにちゃんと答えなければなりません。
だからこそ国家なのです。

ところが被植民地となった地域では、こうした国家としての常識が通用しません。
当該地でイギリス人が殺害され、その問題について事態の究明と被害遺族への倍賞を請求しても、「それは民間がやったことで、当王朝は預かり知らないことである」という反応にしかならないのです。

これでは、安心して国民が国外に出て行くことができません。
そこで欧米列強が相談し、どこどこのエリアについては英国が、どこどこについてはフランスが、どこどこはオランダがというように、担当エリアをキチンと定めて、そのエリア内で起きた事件や事故については、当該宗主国が全責任を持つという体制が生まれました。
これが支配者(宗主国)側からみた植民地の姿です。

つまり支配された側が、国家としての責任をとれる体制になっていないから、植民地化されたわけです。
逆に日本が「植民地支配されなかった」のは、国家としての責任体制が古くから整っていたからということもできます。
武力だけの問題でもないのです。


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国家としての責任体制が整っていない国というのは、いまでもあります。
典型が、特亜3国です。
たとえば中共国は、世界中の特許権、著作権等を平気で侵害していますが、国際社会がいくら事態の改善を申し入れても、政府は「わが国は人口が多いからいろいろな人がいる」と言うばかりで一向に改善されません。

韓国は、日本に支配された時代が史上最悪の時代だったとウリナラ・ファンタジーを世界中に撒き散らし、韓国政府が自国民に行った残虐な仕打ちについては、いまなおまったく責任を取らないし、現にいまなお日本に亡命している朝鮮戦争難民の引取さえも拒否し続けています。
先日の日韓合意にしても、すでに「なかったこと」にしているくらいで、韓国という国家ができて依頼、彼の国が国際社会における約束事を守り、責任を全うしたことは、これまで一度もありません。

アフリカに目を向けますと、いまなお政府そのものがコロコロと代わり、政府の交代とともに通貨まで変わってしまう国まであります。
前の政府との間で、いくらいくらの支払いの約定があっても、政府が変わったらそんな債務は知らないと頬かむりをされてしまいます。
これでは世界の安定や世界の秩序維持など、まるで夢物語です。

だからこそキチンと理屈の通る国同士がそれぞれエリアを決めて、そのエリアで起きたことには全責任を負う。
そうせざるを得なかったのが、植民地支配でもあったわけです。
もちろん、支配される側の国のもともとの民族には、人権がなかったりしたのですけれど、では、放置しておいたら、その国に人権が確立されたのかといえば、答えはNOです。
ヤクザの親分みたいな者が王となり、自国民からの収奪が行われるだけです。

つまり、植民地支配された側の国や、そこにいる民族が、支配され収奪された不幸は、西欧諸国によってもたらされた不幸ではなく、もともとそこにあった不幸でしかないわけです。
逆に、たとえばガンジーがそうですけれど、宗主国は、見込みのある若者に、高いレベルの教育を施したりもしています。
ガンジーは、西洋に留学して弁護士の資格をとっています。
人格高潔で、社会性の見込まれる若者には、それなりの手当をしてきてもいるわけです。

日本の場合も、幕末にやってきた欧米列強は、どうせ日本も同じだろうと思っていたのです。
ところが日本は、生麦事件で英国人が殺害されたとき、幕府がちゃんと政府として英国への賠償責任に応じています。
英国は、まさか東洋の島国が、そんな近代的な行動がとれるなどとは思ってもいなかったから、薩摩まで軍艦を進めて薩英戦争を起こしました。
ところが自慢の英国軍艦は、薩摩に散々やられてほうほうの体で江戸湾に逃げ帰ることとなり、にもかかわらず、幕府はちゃんと賠償責任を果たしているわけです。

隣の自称大国のChinaでさえ、西洋的な理屈が通じないのに、まさか東の外れの島国が、近代理論をちゃんとわきまえることができなどとは思っても見なかった英国やフランス、アメリカは、むしろ日本の富をいかに奪うかにその後は腐心することになりました。

一方、その後の歴史を見ると、日本は、日清、日露に勝利し、さらに第一次世界大戦に勝利すると、アフリカやアジアの諸国が、まるで国家を理解しない、単なるマフィアのボスが勝手に王を名乗っているような国や民族を、人種差別撤廃という、それまでの世界の構図とまったく異なる人道論を持ち出してきたわけです。

人道論はもっともなことですが、現実にはそれでは世界の秩序は保てれないと考えた欧米列強諸国は、その後は、いかにして日本を抑えこむかに腐心することになりました。
このようなことを書くと、異様に思う方もおいでかと思いますが、立場を変えて物事を見れば、実際にそのような側面があることは否定出来ない事実ということができます。

第二次大戦後、有色人種国は次々と独立を果たしましたが、独立をすることによって国内が虐殺や粛清の嵐になったり、内乱状態がずっと継続したり、あるいは豊かになることで逆に他国にさんざんな迷惑をかけるようになった国は、たくさんあります。
日本のすぐちかくにも、国際秩序や条約さえも、これを守ろうとする機運はまるでなく、世界中に害毒を撒き散らしている国があります。

蛮族とか、人非人、人でなしといった言葉がありますが、実際問題として人間のカタチをしていれば人間といえるのかといえば、答えはNOです。
いま日本国内にも、人の皮をかぶったけだものがたくさんいますが、そういう人間としての常識が通用しない者たちが、一人前の人間として、自分たちの人権を主張し、一方において他人の人権を平気で踏みにじっているわけです。

それが本当に世界のためになるのか。
人道主義というものが、かえってまともに生活している人たちに結果として不利益をもたらしていないか、私たちはあらためて考えなおしてみる必要があるように思うのです。

ちなみに外国人による支配ということと、植民地ということでは、多分に意味合いが異なります。
たとえばおとなりのChinaは、基本的に漢民族の国として多くの人が認識していると思いますが、Chinaが漢民族の王朝であったのは、前漢の時代だけで、その後はずっと外来王朝です。

いちばんわかりやすい例がモンゴルですが、モンゴルは北の遊牧民でありながら、Chinaに元王朝をつくりました。
なぜそのようにしたのかといえば、王が直接乗り込んで支配する以外、他にChinaに秩序をもたらす方法がなかったからです。

モンゴルにしても、漢族がちゃんと約束を守る民族であれば、条約によって国境を定めるだけで、平和を得ることができたのです。
ところが、漢族は約束をまったく守らない。
だから、モンゴルの王であるハーンが、直接現地に乗り込んで支配する以外に、自分たちの安全を守るすべがなかったのです。

植民地支配は、単に王の権力欲でばかり説明されがちですが、そうではなく、そこに「そうする必要があった」からこそ、そのような体制が生まれたということも、私たちは把握しておく必要があると思います。


※この記事は2016年5月の記事の再掲です。
お読みいただき、ありがとうございました。
日本をかっこよく!! むすび大学。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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