帰巣本能と伝書鳩のお話



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ギリシャのポリス(都市国家)間では、競技会(いまのオリンピック)の覇者について、鳩の足に赤いリボンを結び付けて故郷に勝利と栄光を伝えたのだそうで、ローマ帝国の時代になると通信手段として広く普及、そしてジンギスカンも、カエサルも、ナポレオンも、戦いの状況報告に伝書鳩を使っていました。

鳩魂塔



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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

まず、一文をご紹介します。
かつての国民学校小学校4年生の國語の教科書に載っていた文です。
原文のままではなく、ねず式で現代語訳しています。

*****
『小さな伝令使』
国民学校小学校4年 國語十二より

昭和6年12月31日の夕暮に、大石橋守備隊の鳩舎(きゅうしゃ)へ、血に染まった一羽の鳩(はと)が、飛んで来た。
取扱兵が、すぐ抱き上げて足の番号を見ると、四日前に、錦州(きんしゅう)へ向けて出発したわが軍が、連れて行つた鳩であった。
信書管は血にまみれ、身には重い傷を負って、息もたえだえであった。

錦州へ向かったわが軍は、30日、突然、敵の大軍に出会って、激しく戦った。
早くこのことを、大石橋守備隊へ知らせようとしたが、電信も電話も、敵のために壊されたので、通信は、ただ鳩に頼る他はなかった。

通信紙を詰めたアルミニュームの管を、鳩の右の足に取り付けた兵は、しばらく鳩の体に頬を擦りつけて、途中の無事を祈った。
小さな伝令使は、胸をふるわせながら、可愛い目で空を見上げていた。

戦の真最中に、鳩は空高く舞いあがった。
二三回、上空に輪を描いて飛んでいたが、すぐ方向を見定めて、矢のように飛んで行った。

寒い夕空をものともせず、南東をさして高く飛んでいた鳩は、ふと、鷹の一群を見たので、すばやく低空に移った。
すると、今度は敵軍に見つけられて、一斉射撃を受けた。
一弾は、鳩の左の足を奪い、一弾は、その腹部を貫いた。
この重い傷にも屈しないで、鳩はなおしばらく飛び続けていたが、とうとうたまりかねて、とある木の枝に止った。

ちょうどその時、附近にいたわが兵士が、これを見つけた。
捕まえようとして手を差し伸べると、鳩は、また翼をひろげて飛びあがった。
飛び去つたあとの木の枝には、かわいそうにも、赤い血がついていた。

弱りきったこの小さな伝令使は、その夜、どこで休んだことであろう。
明くる日になって、やつと、大石橋の自分の鳩舎にたどり着いたのである。

大石橋守備隊では、さつそく信書管を取り外して、手厚く看護したが、任務を果して気がゆるんだのか、鳩は、取扱兵の手に抱かれたまま、冷たくなってしまった。

******



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伝書鳩というのは、は、カワラバト(ドバト)などのハトを飼い馴らして、ハトの帰巣本能を利用して、遠隔地からハトにメッセージや小さな荷物などを持たせて届けさせように育てたものです。
古代の戦から現代まで、伝書鳩は軍の伝令使として、世界各国で重宝されたのです。

今はスマホにGPど、いわゆるハイテク装備の時代になっていますが、戦場では一切の通信網が破壊され、電気さえも失ってしまうといった事態が幾重にも想定されるわけです。
ですからいざというときのために、昔ながらの伝書鳩は貴重なのです。

伝書鳩と人との関わりはたいへん古いもので、旧約聖書には、ノアの箱舟に小枝を届けた鳩の記述があります。
紀元前約5千年のシュメールの粘土板にも使用をうかがわせる記述があり、
また紀元前3千年のエジプトでも漁船が漁獲量を陸に伝えるために使われていた記録があります。

また、ギリシャのポリス(都市国家)間では、競技会(いまのオリンピック)の覇者について、鳩の足に赤いリボンを結び付けて故郷に勝利と栄光を伝えたのだそうで、ローマ帝国の時代になると通信手段として広く普及、そしてジンギスカンも、カエサルも、ナポレオンも、戦いの状況報告に伝書鳩を使っていました。

フランス革命のとき、王妃マリー・アントワネットは、投獄中に伝書鳩で外部の王党派と連絡を取り合っていました。その鳩は、雪のような純白の鳩だったそうです。
なのでマリー・アントワネットは、その鳩を「La Naige(ラ・ネージュ、雪)」と呼んで可愛がっていました。

日本における伝書鳩は、飛鳥時代に輸入されたとされ、江戸時代に幅広く普及しました。
そして伝書鳩は、日清日露、第一次世界大戦、日華事変、大東亜戦争でも、大活躍をしました。
日露戦争(1904~1905)では、旅順要塞のロシア軍が伝書鳩を使って外部と連絡を取りあっていました。
乃木大将率いる日本軍は、これにおおいに困り、宮中に鳩退治のために「鷹」を出動させてくれ、と要請したのですが、宮中の鷹は鳩を襲いません。
そこで宮中で急いでハヤブサの育成をはじめたのですが、その訓練半ばで旅順要塞は陥落してしまった、などいう逸話も残っています。

戦時中、このような小さな命でさえも、国を護るために一生懸命に戦いました。
靖国神社には、伝書鳩たちのための鳩魂塔が立てられています。

文中にある「錦州」というのは、遼東半島の根本にある大連の北川にある州ですので、上にある物語は、満州事変(1931/9〜1932/2)の頃の実話がもとになっています。
日華事変も同様ですが、日本は大陸で、「大陸に住む民衆の安全のために」、「軍を名乗る暴徒たち」と戦いました。

「民衆」とは、もちろんChineseのことです。
だからこそ、彼らは、
「日本軍が来たら率先して城の門を開けよ」
と唱えていたのです。

ところがその暴徒たちは、その後の日華事変も、そして現代も同様ですけれど、最大の武器が宣伝です。
日本人は戦争は軍人が武器を取ってするものという固定概念がありますが、Chineseはそうではありません。
彼らにとって戦争は金儲けのためのものですから、そのためには勝利よりも宣伝が優先します。

彼らにとって戦いとは、略奪、虐殺、強姦、放火のことであり、そうした非道行為をすべて「やられた」と宣伝することにより、資金を集め、贅沢をするのです。

戦いを正義のため、人道のためなどと、本気で思っているのは日本人くらいなもので、実際には世界の大戦は、一部の大金持ちや権力者たちが、自己の利益や保身を図るために、乱暴者たちを利用して戦地におもむかせ、掠奪の限りをつくしてきたのが、世界の戦争です。

そうした心の貧しさのなかにあっては、どんなにやさしくされても、やさしさが理解されない社会が形成されます。
慈愛を受けても、そこに感謝はなく、恩恵を受けても、それはとうの昔に過ぎたことになり、彼ら自身が行った非道は、すべて相手に「されたこと」になります。
それがチャイナやコリアの文化です。

下にある写真は、昭和6年にはじまる満州事変に先立つ3年前の昭和3年に、蒋介石が北伐で使用したビラです。
この北伐は、蒋介石率いる国民党軍が、張作霖や張宗昌を攻撃するために行ったもので、絵を見たらわかりますが、ここで非道いことをしているのは、張作霖の軍隊として描かれています。

20150628 山東省派遣軍記念写真


蒋介石らは「こうした非道をしている満州軍閥の張作霖らをやっつけよう」と宣伝したわけです。
なるほど張作霖らの行った非道は、まさにこの通りでした。
しかし、蒋介石軍もまた、これと同じことをしていました。
その蒋介石らを最終的に追い出して中華人民共和国を築いたChina共産党も、同じです。

ところがいまでは、それらすべての過去の悪行三昧は、すべて(まったくそういう非道をしなかった)日本軍がしたことにされています。

ここで学ぶべきことは、彼らにとって戦争は、一部の人の利益のためのものであり、そのために戦闘よりも略奪、銃撃よりも宣伝が優先される、ということです。
その宣伝活動に、「安保反対、戦争反対」と街宣デモに、何もわからないで参加している日本人も、利用されています。哀れなものです。

鳩でさえも、立派に戦い、護ってくれた私達の国です。
その私達の国を守れるのは、私達日本人だけです。

さて、冒頭の教科書にある文ですけれど、この文を読んで、みなさまは何をお感じになりますでしょうか。
戦場を素敵な場所、自分も行きたい場所と思うでしょうか。
撃った敵を許せない、鬼畜敵軍!などと思うでしょうか。

むしろ戦場は危険な場所であり、そういう戦場で犠牲になる小さな命に限りない同情心を持つのではないでしょうか。
それって、ひとことでいえば普遍的な愛です。
日本の小学校では、戦時中というきわめて特殊な時勢下にあっても、子供達に愛を教えていたのです。

世界には、平時にあってさえ、子供達に憎しみを教えている国があります。
それはとても悲しいことです。

昨今では伝書鳩が、ちゃんともとの場所に帰ることができない子が多くなってきたのだそうです。
理由として一時期、「携帯電話などの発する電磁波の影響ではないか」という意見がかなり拡散されたのですが、
近年、わかってきたのは、
「ちゃんとした餌を与えて育てた子は、ちゃんと元の場所に帰る帰巣本能が育まれる」
ということだそうです。
添加剤や防腐剤があまりに入った餌を与え続けると、帰巣本能が壊れてしまうが、自然のものを餌として与えていると、帰巣本能が正確に働く、というのです。

果たして人間は大丈夫なのでしょうか。
ただ、腹が膨れれば良いと気楽に考えているうちに、人として大切なものが失われてしまったりはしないでしょうか。

※この記事は2015年6月の記事のリニューアルです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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