水戸黄門と高天原



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たとえ権力者の前であっても、どこまでも民を大切にするという根幹の大御心に直結しなければ、何の意味もない。そのことを、光圀は身を以て示しています。これは実際にあったことです。

20210928 水戸黄門
画像出所=https://ameblo.jp/6310tus/entry-12597554981.html
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

水戸光圀といえば、ご存知時代劇の人気シリーズ「水戸黄門」。
「静まれ、静まれ、静まれい。
 この紋所が目に入らぬか。
 こちらにおわすお方をどなたと心得る。
 恐れ多くも前(さき)の副将軍、
 水戸光圀公にあらせられるぞ。
 ものども、頭が高い。
 ひかえおろう〜〜!」
と、名セリフ。
越後屋と結託して悪行三昧を働いていた代官らを懲らしめるという、毎度おなじみのパターン化されたストーリーで、まさに一世風靡しました。

ご長寿番組で、水戸の御老公役も、初代の月形龍之介さんから順に東野英治郎さん、西村晃さん、佐野浅夫さん、石坂浩二さん、里見浩太朗と推移し、最近では武田鉄矢さんも演じたりされたようです。
もっとも視聴率の方は、映画であった月形龍之介さんは別として、後ろに下がるほど人気が落ちてしまいました。
後ろの方になると、午後4時からの昔の黄門様の方が、ゴールデンタイムの午後8時からの黄門様よりも、なんと視聴率が高いといった情況になります。

これはどうやらテレビ局が、日本人のような顔をして日本国籍を持って日本語を話すけれど日本人ではないという、いささかやっかいな人たちが牛耳るようになってから、番組の黄門様御一行が一般の多くの日本人に受け入れられなくなったからだと言われています。

水戸の御老公は、天下の元副将軍であり、その御一行は良心と正義の存在であったはずなのですが、後年になると、その御一行が、正義のためにと、平気で人を騙して情報を取ったりする。
こうした目的のために手段を選ばないという姿勢は、半島の人たちにはあたりまえのことかもしれないのですが、実は日本人が最も嫌うスタイルです。
それを良心や正義を安心して観たい、正義は必ず勝つのだ、良心こそが大切なのだ、という視聴者の番組への期待を、番組自体が裏切る構成になっているのですから、そりゃあ、視聴者は離れてします。

このようなことは、午後の本来なら視聴率が取れないはずの時間帯の昔の黄門様の再放送の方が視聴率が高ったということで、すぐに気が付きそうなものなのだけれど、テレビ局がその後どうしたかというと、水戸黄門シリーズ自体を打ち切ってしまった(笑)

ちなみみいまはインターネット・テレビの時代劇チャンネルで昔の水戸黄門シリーズを視ることができますが、そこでもやはり人気は東野英治郎さんや西村晃さんの時代の水戸黄門なのだそうです。

さて、ここまではテレビのお話でしたが、その水戸黄門様、実在の人物であることはよく知られています。
徳川家康の孫で、徳川御三家の一角をなす、水戸徳川家の藩主であった人物でもあります。
その水戸光圀に、有名な逸話があります。

水戸光圀が、水戸徳川藩で「大日本史」の編纂を開始した頃のことです。
大日本史の根本思想は神道にあるというもっぱらの噂で、危機感をもった仏教界からは全国から水戸に高僧が数多く尋ねてきました。
「大日本史」の編纂が仏教界に脅威と考えられたからです。
そんな高僧たちに、水戸光圀は、宗旨宗派に関わらず時間を割いて必ず会い、諌言や教えを謙虚に伺いました。

こうして水戸の城下に天下の高僧たちが大集合したある日のこと、光圀は高僧たちを全員、城内に招きました。
そして彼らとしばし歓談したのち、

「日頃より、貴僧方より素晴らしいお話を
 伺わせていただいています。
 本日はそのお返しに
 珍しいものをご覧にいれたい」
と言うと、庭に面した座敷の襖(ふすま)を部下に命じて開けさせました。

高僧たちが、何が出て来るのかと期待していると、そこには汚い身なりの男が地面に曳き出されている。
隣には、刀を持ったお侍(さむらい)が立っています。

「この者は先般、当藩で盗みを働いた男でござる。
 いまから打ち首にいたすところにござる」

そういうと光圀は庭に降り、自ら刀を受け取ると、
「覚悟は良いか」と囚人に声をかけ、
大きく刀を振りかぶりました。

そして「エイッ」と、刀を囚人の首めがけて振り下ろしました。

あわや首が刎(は)ねられるとみた瞬間、
光圀は、その刀を囚人の首筋一重のところで停めました。
狙いがうまく定まらなかったのでしょうか。

そして再び刀を振りかぶると、囚人の首をめがけて、裂帛(れっぱく)の気合いとともに振り下ろしました。
けれど、光圀は、また刀を首筋のところで停めてしまいます。

三度目、またあらためて、刀を振りかぶり、振り降ろしました。
けれど今度も首筋一枚のところで刀を停めてしまいます。
どうしたのでしょうか。

光圀は、刀を隣にいる武士に預けると、静かに
「この者を釈放してやれ」と命じました。
そして厳しい顔をして座敷にもどってきました。

光圀が言いました。
「貴僧らは日頃、人の命は重いと解きながら、
 なぜいま、黙ってみておいででしたか?」
と問いました。

そして強い口調で重ねて言いました。
「盗みを働いたくらいで人の命を奪おうとする私を、
 なぜ貴僧らは停めようとされなかったのかっ!」

部屋にいた高僧たちは、ただ黙ってうなだれるより他なく、そのまま退散する他ありませんでした。
首を刎(は)ねられそうになった囚人は、死の恐怖を味わい、そして二度と盗みを働かないと約束して放免されました。

「人の命は重い」・・それは大切な教えです。
けれどその教えを、身を以て実践していくのが、まさに実学であり、現実の政治というものです。
そして古来、我が国では、天皇に政治権力者を与えられた者たちが、いかに民を靖んじるかという明確な目的をもって、様々な取組みをしてきました。

それは机上の学問ではなく、また、口先や頭の中だけの理論ではありません。
現実の利害の衝突や、現実の治安、現実の対立がある中で、天皇からの預かりものである民衆をいかに靖んじるかという、現実のご政道です。

仏を大事にする。目に見えないものを大切にする。
それはもちろん大切なことです。
水戸光圀も、仏教を排斥するどころか、たいへんにこれを保護しています。
徳川家を興隆させたのも、天海僧正という立派な仏教の高僧がいたからです。

けれど、それらはいずれも、たとえ権力者の前であっても、どこまでも民を大切にするという根幹の大御心に直結しなければ、何の意味もない。
そのことを、光圀は身を以て体現してみせたのが、上にご紹介した逸話です。
実際にあったことだといわれています。

さてこの水戸光圀、神話に登場する「高天原」の場所を特定した人としても有名です。
光圀は、「高天原の所在地は、常陸国(現在の茨城県)であった」としたのです。

常陸(ひたち)は日立(ひたち)とも書きますが、要するに日の神である天照大御神が立たれたところが「日立」であるというわけです。
また漢字の「常陸」は、要するに「常世(とこよ)の陸(おか)」という意味ですから、はるか祖代の昔から、そこが日本の中心地だったということが、そのまま漢字に当てられています。

この高天原常陸説は、その後新井白石によってさらに追求されました。
新井白石が1716年に書いた『古史通(こしつう)』には以下の記述があります。

「高天原は一般に天上界にあると言われている。
 しかし我国の古書を読むには、
 いまの字の解釈でその意味を解いてはならない。
 古語によってその義を解(と)くべきである。

 旧事紀には「高国(たかのくに)」という記述がある。
 常陸国風土記にも「多珂(たか)」という記述がある。
 古事記には「天と書いて阿麻(あま)と読めと注釈がある。

 上古の言葉で「あま」いえば海のことである。
 天のことは「阿毎(あめ)」と言う。

 播羅(はら)もまた上古の言葉である。
 すなわち古語にいう
 『多訶阿麻能播羅(たかあまのはら)』は、
 多珂(たか)の海上にあった地ということになる」

要するに高天原は、茨城県の水戸市から北茨城市にかけての一帯の沖合いで、いまは海中に沈んでしまっているところにあったのではないかと、新井白石は紐解いているわけです。
新井白石が慧眼(けいがん)だと思うのは、古文書に基づいて結論を出していながら、祖代の海岸線について、いまとはまったく違った海岸線であったろうことを明察していることです。
現代の歴史学会が、江戸の昔より、はるかにたくさんの情報を得ていながら、古代や祖代の海岸線を、現代の海岸線でのみ語っているのは、いささかご祖先に恥ずかしいように思います。


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

《動画》「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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