日本人のDNA



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日本の凄みは、先住民を皆殺しにして土地も文化も奪い去って、ワープロでいうなら、いわば上書き方式で文化が形成されてきたのではなく、もともと住んでいた人々が形成した基礎となる古い文化の中に、海外からの新しい文化を受け入れて、国内の文化そのものを発達させるという、ワープロでいうなら挿入方式であったことです。
これにより古い文化が途絶えることなく現代に至っています。

20181016 祈る人
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小名木善行です。

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戦前の日本では、日本列島の歴史はせいぜいさかのぼっても3〜4千年で、それ以前の日本列島には、まだ人が住んでいなかったとされていました。
ようやく昭和6年に旧石器時代の人骨の骨盤とみられる化石が発見されて明石原人と名付けられたりしていますが、発見者が29歳のアマチュア考古学者(後に本物の学者になる)であったことから、学会では相手にされず、しかもその化石も戦争で焼けてしまって、現物は存在していません。

ちなみに標本の写真からの解析で、戦後にはこの明石原人は縄文時代の人骨であったのではないかとされています。
要するに、おそらく1万年前頃の人骨であったというわけですが、このためいまでは、明石原人という記述も、教科書から消えてしまいました。

しかし考えてみると、そもそも戦前には、縄文時代の始まりがせいぜい4千年前くらい、弥生時代が2500〜3千年前くらいとされていたわけです。
ですから1万年前は当然石器時代という認識しかなかったわけです。

ところが戦後、次々と考古学的な発見がなされました。
その結果、現在では、日本列島に人が住み始めたのは、なんと12万年前にまでさかのぼる(砂原遺跡・島根県)とされています。

12万年前というのは、実はものすごいことです。
一般に現生人類(新人類)は、およそ4万年前に誕生して現代に至ったのだといわれています。
それ以前はネアンデルタール種のような旧人類の時代です。
その新人類が、旧人類を滅ぼして現代に至ったのだというわけです。

しかしそもそも新人類というのは、クロマニョン人の別名です。
これは19世紀に南フランスのクロマニョン洞窟で発見された5体の人骨から、その後同種の特徴を持った人骨がヨーロッパ各地で発見されることになりました。
その説を唱えたのは、フランスの古生物学者のルイ・ラルテですが、要するにクロマニョン種というのは、ヨーロパの白人種を意味するわけです。

言い換えれば、白人種は4万年さかのぼることができるというだけのことで、人類には他に黄色、黒色の人種がいますから、それらを含めた人類の祖先となると、旧人類を含めて考察しなければなりません。
そのため現代では、世界の趨勢として、旧人も含めて人類史を考えなければならないとされるようになりましたが、なぜか日本では、相変わらず日本人もクロマニョン人の子孫のように思い込んでいる人が大勢いるようです。

しかし砂原遺跡の人骨は、それらクロマニョン人始祖説を、完全否定するインパクトを持ちます。
つまり日本人は、旧人類の末裔だとしなければ、理屈が立たなくなるのです。
そして近年西ドイツの研究チームの発表によれば、旧人類のDNAを最も濃厚に持っているのが、日本人なのだそうです。

ちなみに旧人類といえば、代表的なものがネアンデルタール種ですが、2007年にネアンデルタール人の舌骨が発見され、この発見によってネアンデルタール人は解剖学的に、現生人類と同じだけの音声を発する能力があるということが明らかになりました。

また英国の人類学者のロビン・ダンバーは、脳の容積とヒト族の群れの大きさの関係についての分析を行い、大きな脳を持っていた旧人類は120人以上のグループを形成して生活していたに違いないと結論付けました。
言語がなければ、それだけの大きな集団を保持することができません。
初期的言語コミュニケーションを用いるチンパンジーでは、50人以下のグループしか構築できないのです。

要するに、集団生活には言語によるコミュニケーションが欠かせないし、言語が発達する(これは特に女性のウワサ話によって発達してきたといわれています)ことによって、大脳に著しい進化が生まれ、また人々の生活も一変したというわけです。

日本列島に住んでいた12万年前からの人々は、そうした言語によるコミュニケーションを盛んに用いることのできた旧人類です。
そうであれば、万年という長い歳月の間に、その言語コミュニティ能力がたいへんな勢いで進化していったということは十分に考えられることになります。

さらに2万数千年前ものから3万年以上前の前頃の製造を示す複数の磨製石器が長野県飯田市(竹佐中原遺跡)から出土しました。
これもまたものすごい発見です。
伊豆半島の沖に浮かぶ神津島の石でできた磨製石器が、山奥の長野で発見されているからです。

神津島まで、伊豆の下田からでも海路を片道57キロです。
しかも島までの海路は、流れの早い黒潮に洗われています。
つまり、流れの早い横幅57キロの急流を往来するようなものなのです。

当然、丸木舟ではいけませんし、もちろん丸木につかまって泳いで行くこともできません。
しかもその神津島から、石を持ち帰っているということは、それなりの船を持ち、それなりの航海術が確立されていなければならないのです。
つまり、2万5千年以上の昔に日本列島に住んでいた人々は、外洋航海ができる船を持ち、往来していたのです。

先程も書きましたが、ひとくちに1万年とか2万年といっても、これはとほうもなく長い歳月です。
なにせ明治維新からまだたったの150年しか経っていないのです。
関ヶ原の戦いからでも、まだたったの400年です。
千年前となると、紫式部や清少納言が活躍した平安中期です。
二千年さかのぼっても、まだ垂仁天皇の時代です。

ちなみに垂仁天皇の時代に、出雲で捕らえた白鳥を、口のきけない皇子の本牟都和気命(ほむつわけのみこと)の遊び相手にしたところ、皇子が言葉を発するようになったので、出雲地方が鳥取と呼ばれるようになり、これがいまの鳥取県の名前の由来になっています。

こうして日本列島では、1万6500年前には縄文式土器が作られるようになり(大平山元1遺跡・青森県)、1万3000年前には人の形をした土偶(相谷熊原遺跡・滋賀県)が作られ、1万2500年前には工芸品のための漆が栽培され(鳥浜貝塚・福井県)、岡山県の朝寝鼻貝塚から約6500年前の稲の生育を示す大量のプラントオパールが見つかっており、さらに2500年前には稲の水耕栽培を行う集落が営まれるように(菜畑遺跡・佐賀県)なります。

ところが7300年前に、鹿児島沖のアカホヤで、日本史上最大と呼ばれる破局噴火が起こり、九州一帯から東北地方にかけて、ほとんどの人が死んでしまいます。
そしてそこからあらためて、日本が再建され、皇紀によれば2678年前(実際には二倍年歴で紀元前100年前後)の時代に、神武天皇が即位されて、日本という国が生まれています。

日本の凄みは、先住民を皆殺しにして土地も文化も奪い去って、ワープロでいうなら、いわば上書き方式で文化が形成されてきたのではなく、もともと住んでいた人々が形成した基礎となる古い文化の中に、海外からの新しい文化を受け入れて、国内の文化そのものを発達させるという、ワープロでいうなら挿入方式であったことです。
これにより古い文化が途絶えることなく現代に至っています。

つまり日本文明は、世界最古の文明を継承しているといっても良い文明といえます。
日本人は何万年もの間、この日本列島という天然の災害の宝庫ともいえる列島に住んできました。
そしてその中で、お互いに助け合って生きていく和の文化を形成してきたし、それはもはや日本人にとって、後天的な文化というより、DNAに刻み込まれた先天的な本能となりました。

破壊よりも建設。
対立よりも和。
闘争よりも愛。
それが日本人です。

古い時代に触れたので、これからの日本のことにも少し触れておきます。

日本の人口は、いま年間20万人ずつ減少しています。
この人口減少の割合は、これからもっと大きくなり、平成30年代の前半では、毎年、鳥取県がひとつなくなっていくくらいの人口(約59万人)が減少します。

平成30年代の後半ですと、毎年高知県がひとつなくなっていきます。
平成40年代の前半で、毎年山梨県(約86万人)がひとつ消えていく。
平成40年代の後半になると、毎年和歌山県(約102万人)が日本からなくなっていきます(*1)
(*1)2017年3月25日に日本青年会議所主催で行われた河野太郎氏と神谷宗幣氏による「移民問題」の対談における河野太郎氏のお話から引用。

そのために労働力が減少するので、外国人労働力を迎え入れようといういうのが、いまの政府の動きです。
私は違うと思います。

戦後の時代は、手作業による肉体労働が大型重機やロボットなどによって、機械が行うようになり、人がホワイトカラーとなって知的部分を受け持つことが求められた時代でした。
しかし長期的に考えると、そうした知的生産部分は、これからの時代は明らかにAIが受け持つことになります。
AIは、人間よりもはるかに正確で、記憶力、判断力に優れているのです。

しかしどんなにAIが進歩しても、AIというのはいわば人の脳にあたるものですから、人の手足や胴体の代わりはできません。
つまりこれからの時代に求められる労働力(人材)は、肉体労働を伴う農業や、建設工事、あるいは人が人に行うサービスなどが主体になっていくものと思われます。
つまり、これからの時代に求められる人材は、いま、政府が外国から招き入れようとする労働力そのものであるわけです。

従って、本来であれば、いま必要なことは、そうした労働のできる日本人の人材育成と、その分野における日本人の待遇改善をすること、そしてそうした仕事、つまりもともと日本で大切にされてきた、農業や職人や世に秩序をもたらす武士といった分野の仕事が、高待遇であって、誇りある仕事となっていくように、日本社会の価値観を改造していかなければならないのです。

日本が生き残るということは、戦後日本という国家体制を保持することではありません。
日本にもとからある文化を取り戻すということです。
その意味で、日本のこれからの舵取りは、きわめて大きな舵取りになるものと思います。


※この記事は2018年10月の記事の再掲です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年生まれ。浜松市出身。上場信販会社を経て執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。またインターネット・ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。「歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに」という理念を掲げ活動する。古事記・日本書紀・万葉集などの原文を丁寧に読み解き、誰にでも納得できる日本論を発信。

《著書》日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、その他執筆多数。

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