巴御前の物語は、女性の強さと哀しみを世に伝え、このことが、いまもなお、歴史を通じて多くの日本人に愛され続けています。
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木曽義仲と巴御前

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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
!!最新刊!! 巴(ともえ)御前といえば、朝日将軍木曽義仲(源義仲)の妻であり、剛勇無双な女性として有名です。
平家物語は、巴御前について次のように描写しています。
「巴は色白く髪長く、
容顔まことに優れたり。
ありがたき強弓精兵、
馬の上、徒立ち、打物持っては
鬼にも神にもあはうどいう
一人当千の兵者(つわもの)なり。
究極の荒馬乗り、悪所落し、
軍といへば、札よき鎧着せ
大太刀、強弓持たせて、
まづ一方の大将には向けられけり。
度々の高名、肩並ぶる者なし。
されば今度も、
多くの者ども落ち行き討たれける中に
七騎がうちまで、
巴は討たれざりけり」
現代語訳すると次のようになります。
巴御前は、色白で髪が長く、容姿がたいへんに優れた女性でした。
比類のない強弓を引くことができる武人で、
騎馬の上にあっても、徒歩であっても、
刀を持っては、鬼が来ようと神が来ようと相手にしてしまおうという、
ひとりで千人の敵兵にも当たろうという武者(つわもの)でした。
極めてすぐれた荒馬乗りで、難所であっても駆け下り、
ひとたび合戦となれば、上品な鎧(よろい)を着て、
大太刀、強弓を手にして、一軍の大将として活躍し、
たびたびの武功は、肩を並べる者がないほどでした。
ですから、この度の合戦(治承・寿永の乱)にあって、
多くの者共が敗走し討たれた中にあって、
わずか七騎になるまで、巴御前は討たれずに生き残っていました。
倶利伽羅峠の戦いで、あちらで四、五百騎、こちらで二、三百騎と戦い、駆け破って行くうちに、ついに、総大将の木曽義仲を含めて、わずか五騎になってしまいます。
木曽義仲は、愛する巴御前に言います。
「ワシは、ここで討ち死にしようと思っている。
もし人手にかかれば自害する。
だがな、この木曽殿が最後の戦いに、
女連れであったなどと言われたくない。
だがな、巴(ともえ)
お前は女だ。
どこへでも行け。
行って落ち延びよ」
愛する夫は、自分が死んでも、私を生かそうとしてくれている。
そうと察した巴御前は、
「よい敵がいれば、最期の戦いをしてお見せしましょう」
と、死ぬ覚悟を示します。
そんな会話をしてとどまっているところに、敵が三十騎ほどで攻めて来ました。
「では、殿、おさらばでございます。
殿はこのまま、先にお進みなさいませ。」
そう言い残すと巴御前は、ただ一騎で、敵に向かって馬を走らせました。
やってきた敵は、武蔵国で評判の力自慢の大男、御田(みた)の八郎師重と、これに従う三十騎でした。
八郎師重というのは、いまで言うなら、まるでプロレスラーのような巨漢。しかも鎧を着て、槍を手にしています。
ドドドと音を立てて駆けてくる、その八郎師重に、巴御前は正面からまっすぐに馬を走らせると、正面衝突しそうになった瞬間に、敵の槍を跳ね除けて、そのまま八郎師重に組み付きました。
強いと言っても、八郎に比べれば、はるかに小柄な巴御前です。
けれど馬の勢いに乗って斜めに飛びかかる巴御前に、八郎は態勢を崩して巴御前とともに落馬します。
その馬から落ちて地面に叩きつけられるまでの、わずかな間に、巴御前は、八郎の兜(かぶと)を持ち上げ八郎の首を斬り落としました。
まるで鬼神のような早業です。
あまりの巴御前の強さに恐怖した八郎の部下らは、恐怖して、馬を返して潰走する。
後には、首を失った八郎の遺体と、巴御前ひとりが残されました。
他に誰もない。
峠は、シンと静まり返っています。
愛する夫も去っていった。
おそらく、数刻の後には、その夫も死ぬことであろう。
巴御前は、ひとしずくの涙を袖で拭うと、鎧を脱ぎ捨て、ひとりどこかへと去って行きました。
このときの巴御前の胸中には、どのような思いが去来していたことでしょう。
その後の巴御前の行方は、諸説あってわかりません。
滋賀の大津の義仲寺は、巴御前が義仲の菩提を弔って庵を結んだことがはじまりとの伝承があり、
また長野県の木曽、富山県の南砺市、富山県小矢部市、新潟県上越市、神奈川県小田原市や横須賀市にも、巴御前の終焉の地とされるところがあります。
お能にも「巴」という演目があり、ここでは巴御前の御霊(みたま)が、愛する木曽義仲と最期をともにできなかったことから、この世をさまよう。
そんな巴御前の御霊と出会った旅の僧の読経によって成仏するという筋書きになっています。
巴御前の物語は、女性の強さと哀しみを世に伝え、このことが、いまもなお、歴史を通じて多くの日本人に愛され続けています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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コメント
gg
ウィキペディア 巴御前より引用
2022/01/15 URL 編集