世界史などという学問分野を、あたかもそれが存在するかのように偽装するのは、それ自体が、日用の間に合わない曲学阿世の徒である、ということです。 戦後日本における学科としての世界史は、お受験の際の暗記科目であっても、世界を考え、世界を知り、これからの日本の行く末を真剣に考えようとするには、なんの役にも立たない。 それどころか、これを学問であるとか、歴史であるとかと履き違えることで、結果日本人がアホになる。それくらい実はこの問題は、裏が重いのです。
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画像出所=https://globalnewsview.org/archives/7094
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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに 小名木善行です。
!!最新刊!! いまどきのお若い方々は、世界史という分野は、学問として、あるいは学科として、ちゃんと確立された分野であると思いこんでおいでの方が多いようです。
しかし私に言わせていただければ、「世界史」と呼んでいる時点で、その人の歴史家としての能力が疑わしい。
というのは歴史学という学問のそもそもの定義から、実は世界史という学問分野は成立し得ないからです。
歴史というのは、過去に起きた事実を、時系列に沿ってストーリー化したもののことを言います。
つまり、時系列であること、ストーリー化されていることが、歴史の要素です。
そしてその歴史のストーリー、つまり歴史をどのように記述するかについては、確立された筋書きがあります。
それが、西洋史においては、ヘロドトスの『ヒストリアイ』ですし、東洋史においては司馬遷の『史記』です。
この両者は、筋書きの展開がまったく異なるもので、かつ、以後の歴史の記述を、すべて、このパターンに当てはめているという特徴があります。
つまり、もともと西洋史と東洋史は、同じ歴史学の中における、まったく異質な分野であったのです。
ですから戦前戦中まで、我が国にも、また世界的にも、「世界史」なる学問分野はありません。
あったのは、西洋史であり、東洋史です。
そしてこの両者は、モンゴルの大帝国によって融合し、以後の大航海時代、植民地時代へと歴史認識がシフトしていきます。
その意味では、世界史という学問分野をもし肯定するなら、それはあくまでモンゴル帝国史以降の、つまり14世紀以降の歴史であって、それ以前の歴史に、世界史という分野はありません。
細かな事を申し上げているようですが、そういうことを、きちんと整理して論理建てて研究するのが歴史学なのであって、これをごっちゃにしたら、それは学問ではなく、ただのファンタジーであり、小説です。
にもかかわらず、あたかも世界史なる学問分野があるかのように偽装するのは、すでに学問的な態度ではないのです。
実は、戦後、GHQによって、我が国の歴史教育は禁止されました。
このときに、西洋史も東洋史も日本史(国史)も禁止になりました。
しかし、歴史というのは、大切な学問です。
だから、いろいろな先生方が、必死の努力で、歴史教育を復活させようとしました。
こうして社会科のなかの一分野として、日本史と世界史という、それまでまったく存在しなかった、まったく新たな分野が生まれました。
ところがここで困ったことが起きました。
それは、世界史の定義です。
そもそもそれまでは、世界史という学問分野自体が存在しなかったのですから、教科書を書くにしても、困ってしまう。
そこで、本来であれば、歴史は「過去の事実をストーリー化したもの」でありながら、そこにおけるストーリーを全部無視して、ただ、あんなことがあった、こんな人物がいた、こんな国があった、という事実だけを、ただひたすらに羅列することで、それをあたかも「世界史」であるかのように偽装して生まれたのが、現代日本の世界史という分野です。
ですから、そこにストーリーは存在しません。
早い話、なぜローマ帝国が生まれ、なぜビザンツ帝国が生まれ、どうしてオスマン・トルコ帝国が強大な力を持つに至ったのかなどといったことは、世界史の教科書をいくらひっくりかえしても、何も出てきません。
つまりストーリーがないわけで、ストーリーがないもののことは、歴史とは言いません。
したがって、世界史は、厳密な意味における歴史学ではありません。
その意味で、「世界史の専門家」を自称する人というのは、ただ単に、歴史上の国名や都市名、人物名などを「知っている」というだけしかなく、それは、いわば、ただのクイズ王でしかないし、クイズ王として、なるほど学校の成績では良い点を取れるかもしれないけれど、まったく役に立たない、無用な知識のかたまりでしかない。
このことについて、福沢諭吉は「学問のすゝめ」の中で次のように述べています。
「学問とは、
ただむずかしき字を知り、
解(げ)し難き古文を読み、
和歌を楽しみ、詩を作るなど、
世上に実のなき文学を言うにあらず。
これらの文学も
おのずから人の心を悦(よろこば)しめ
ずいぶん調法なるものなれども、
古来、世間の儒者・和学者などの申す様(よう)に
あがめ貴(とうと)むべきものにあらず。
古来、漢学者に世帯持ちの上手なる者も少なく、
和歌をよくして商売に巧者なる町人もまれなり。
これがため心ある町人・百姓は、
その子の学問に出精するを見て、
やがて身代を持ち崩すならんとて
親心に心配する者あり。
無理ならぬことなり。
畢竟(ひっきょう)その学問の
実に遠くして
日用の間に合わぬ証拠なり」
世界史などという学問分野を、あたかもそれが存在するかのように偽装するのは、それ自体が、日用の間に合わない曲学阿世の徒である、ということです。
戦後日本における学科としての世界史は、お受験の際の暗記科目であっても、世界を考え、世界を知り、これからの日本の行く末を真剣に考えようとするには、なんの役にも立たない。
それどころか、これを学問であるとか、歴史であるとかと履き違えることで、結果日本人がアホになる。それくらい実はこの問題は、裏が重いのです。
私は、そういうことが嫌なのです。
なぜなら、虚構でしかないからです。
私は実学を求めます。実学だけを求めます。
いま、ロシアのウクライナ侵攻が問題になっています。
第三次世界大戦が始まるのではないかなどと騒がれています。
しかし、NATOと、ロシア、ウクライナの関係を、歴史をたどって俯瞰すれば、そこでいま何が起ころうとしているのか、誰が仕掛けているのかが、あまりにも露骨に見えてきます。
そしてそういう世界の事情の中にあって、これから日本がどうしていくべきなのか。
何をすべきなのか。
我々自身が、何を選択すべきなのか。
そういうことを、しっかりと考える力を身につけることが、まさに歴史を学ぶということです。
それは、不動の信念、不動の確信を持つということです。
学問はそのためにあります。
ただの受験のための点取りゲームが学問ではないのです。
歴史というのは、過去の事実を時の流れに沿って、論理的かつ科学的にストーリー化するという学問です。
なぜそれが必要なのかと言えば、人の人生も、国の行く末も、いずれもストーリーだからです。
そのストーリーを、未来に向けて、より良いものにしていく。
そのためにあるのが学問であり、歴史学です。
それをただの暗記科目にしてしまうというのは、意味があることから、意味を失わせるという、たいへんにもったいない、それどころか学問をただの浪費にしてしまうという愚行です。
この点について、ひとつ注意が必要なので述べておくと、受験生にとっては、たとえばその受験生が選択科目に世界史を取るというのなら、そこでは意味があろうがなかろうが、ひたすら暗記が必要です。
そうしなければ点が取れないし、すれば確実に点が取れるのです。
受験のためなら、それは「しなければならないこと」です。
また塾講師であれば、それをただの暗記科目とせず、なぜ、どうしてそうなったのかを、ある程度、筋道立てて生徒に教えることになります。なぜなら、そのほうが覚えやすいからです。
しかし、覚えやすかろうが覚えにくかろうが、その本質は、ただの「受験のための暗記」でしかありません。
そしてスマホが普及した現代においては、ただの暗記力なら、人の記憶よりもネットの情報の方が、はるかに情報量が豊富であり、しかも正確です。
かつては、学者=たくさんの知識を暗記している人、という時代がありました。
情報源が、手書きの書籍だけという時代には、それは必要なことでした。
しかし現代社会は、すでに情況が異なっています。
情報だけなら、ネット空間で、いくらでも、手軽に取ることができる時代になったのです。
下手な学者よりも、東大出よりも正確な情報が、誰にでも簡単に、しかも無料で手に入る時代になったのです。
そしてそうした時代において必要なことは、ただ「知っている」という知識ではなくて、それをどのように解釈し、どのように活用していくのかという、知恵です。
ただ「識っている」だけでは意味がないのです。
それを「恵(めぐ)み」にまで昇華して、はじめて意味を持つ時代にはいっているのです。
だから申し上げているのです。
世界史などという学科を、学問分野だと履き違えると、人生を履き違えることになります。
勉強して知識を得る。
その知識を、人生における恵みにまで昇華していく。
そうすることで、よりあたたかな人生を送る。
それが、現代に求められる学問ではないかと思います。
暗記をすることが良いとか悪いとか申し上げているのではありません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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