大江山酒呑童子と源頼光



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武と暴力は違います。
武は、悪を打ち倒すために用いられます。
そして武が、あくまで世の不条理への戦いを挑もうとするとき、はじめて神々は、武に祝福を与えるのです。

20220508 大江山酒呑童子
画像出所=http://www.arc.ritsumei.ac.jp/lib/vm/jl2016/2016/11/a01.html
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武の意義について考えてみたいと思います。

平安中期、第66代一条天皇の御時に、都で子どもばかりを狙った人さらい事件が度々起こりました。
そんなあるとき、池田の中納言の一人娘がさらわれてしまいます。
心配した両親が安倍晴明に占ってもらうと、娘は他の子供たち同様に、大江山の鬼に連れて行かれたといいます。

鬼たちは、都の西北にある大江山に住み、その大将の赤鬼は酒吞童子(しゅてんどうじ)と呼ばれる身長3メートルの大鬼であると言われていました。
鬼たちは、さらっていった娘や子たちをさんざんこき使った挙げ句、最後には食べてしまうと噂されています。

心配した中納言は、天子様のもとにあがると、情況を詳しく申し上げて、子らや娘の無事と一日も早い鬼退治をお願い申し上げました。
天子様はたいそう気の毒に思召めされ、
「たれか武士のうちに、大江山の鬼を退治する者はないか」と大臣にお尋ねになられました。すると大臣が
「源氏の大将の頼光がよろしい」と言う。
一条天皇も「それが良いであろう」と思召(おぼ)しめられ、源頼光を呼んで大江山の鬼退治をお命じになられました。

依頼を受けた源頼光は考えました。鬼たちを退治するのに大江山に大軍を繰り出せば、鬼たちは逃げてしまいます。
そこで頼光は、四天王と呼ばれた配下の渡辺綱(わたなべのつな)、卜部季武(うらべのすえたけ)、碓井貞光(うすいのさだみつ)、坂田公時(さかたのきんとき)と、友人の平井保昌(ひらいのやすまさ)の6人だけで、大江山に向かうと決めます。
けれど、鬼たちは神通力を使うという。
そこで神々の助力を得るため、頼光と保昌で男山の岩清水八幡宮へ、綱と公時で住吉明神へ、貞光と季武で熊野権現にお参りをして御加護を祈り、山伏の姿で大江山へ向かいました。

艱難辛苦を神々の助力によって、ようやく酒吞童子と相まみえた頼光らは、鬼たちに持参した酒を飲ませ、スキを見つけて鎧に着替えると、まずは頼光が酒吞童子を倒して、その首を掻き斬りました。
すると酒吞童子の首は、眼をカッと見開いて頼光に噛みつこうとしました。
けれどそのとき、頼光の兜(かぶと)の前立てが光って、鬼が眼をくらませます。
頼光はすかさず、二太刀、三太刀と刃を浴びせ、ついに酒吞童子を倒します。
他の鬼たちは、てんでに鉄棒をふるって打ちかかってきましたが、平井保昌と四天王らが果敢に戦って、一匹残らず倒しました。

こうして鬼を倒した頼光らは、池田の中納言の姫様や、他のさらわれた子たちを助けて、めでたく都に帰ります。
都の人々はたいそうよろこび、一条天皇からもたくさんのご褒美をいただいきました。
これが「大江山酒呑童子」の伝説です。

この鬼退治で源頼光が用いた刀が「童子切安綱(どうじぎりやすつな)」の名刀で、この日本刀は、現存する日本刀の中でも最上級の「天下五剣」の中にあって、最も古く、最も価値の高い日本刀とされて、現在、国宝となっています。

「童子切安綱」は、伯耆国(ほうきのくに)の刀工、大原安綱の作の刀で、安綱の最高傑作とされる刀です。
安綱は、あまりに素晴らしい刀が出来たので、これを征夷大将軍坂上田村麻呂に献上しました。
坂上田村麻呂もまた、あまりに素晴らしい刀なので、これを伊勢神宮に奉納しました。

そして後年、源頼光が伊勢神宮に参拝すると、天照大御神からのお告げがあって、この刀がなぜか源頼光に授かるのです。
これは、天照大御神は、その後に源頼光が鬼退治をすることをあらかじめ知っていて、頼光にこの刀を授けたのだと、言われています。
そしてこの刀で、源頼光は大江山の酒吞童子を倒したのです。

「童子切安綱」の切れ味については、こんな逸話があります。
江戸時代、津山藩の松平家で、この刀の試し切りを行いました。
すると「童子切安綱」は、積み上げた6体の遺体を一刀のもとに両断したのみならず、さらに遺体の下にあった台座まで、真っ二つに切り裂いたそうです。
現在「童子切安綱」は、東京国立博物館に所蔵されています。
観ると、吸い込まれるような美しさのある名刀です。

大江山酒呑童子の物語は、何が悪であるかを教えるものです。酒吞童子の一味は、女性や子供を誘拐し、拉致し、奴隷として使役していました。それは、子や娘をかどわかされた親に悲しみを与えるものであるし、拉致された子や娘の悲しみです。
武と暴力は違います。
武は、悪を打ち倒すために用いられます。
そして武が、あくまで世の不条理への戦いを挑もうとするとき、はじめて神々は、武に祝福を与えるのです。

 
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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