深くて温かい日本古来の『結び』の知恵



縄文の女神像に象徴されるように、日本人は1万年以上もの昔から、女性にある種の神秘を感じ、女性を大切にしてきました。
男女とも互いに対等であり、互いの違いや役割をきちんと踏まえて、お互いにできることを相手のために精一杯こなしていこうとしてきました。
日本人は、そうやって家庭や村や国としての共同体を営んできました。
これが「結び」です。
日本人の知恵は、はるかに深くて温かなものなのです。

山形県舟形町にある西ノ前遺跡出土・縄文の女神像
20220529 縄文の女神
画像出所=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%A5%9E
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小名木善行です。

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結婚したカップルのことを「夫婦」といいますが、実はこれは戦後から使われるようになった言葉です。
戦前は「めおと」という言葉を使っていました。「めおと」は漢字で書いたら「妻夫」で、「妻」が先、「夫」が後です。

現代でも多くの男性が妻のことを「かみさん」と呼びますが、それは女性が家の神様だからです。なぜ神様なのかは、縄文時代の土偶から推測することができます。
子を産む力は、女性にしか備わっていない。
命を産み出す力は、まさに神様の力です。
さらに、日本の最高神は天照大御神様であられ、それは女性神であるといわれています。

おもしろいもので、今から1400年ほど前に渡来した仏教では、「女人五障説」などといって、女性はけがれていて成仏も悟りも開くこともできないと説かれていました。
もっとも宗派によっては女人成仏を説いたり、女性が最高の称号を授与されたりするものもあるそうですから一概にはいえません。

ついでに申し上げると、キリスト教では、女性のイブは、アダムの肋骨の一本から生まれ、神の戒めを破ってリンゴの実をかじり、エデン追放の原罪を作った悪者とされています。
宗教家のマルティン・ルターは、
「女児は男児より成長が早いが、そ
 れは有益な植物より雑草のほうが
 成長が早いのと同じである」
などと説いています。ちょっとひどい言い方ですね。

西洋はレディー・ファーストの文化もあり、日本人からすると女性がとても大切にされているように見えますが、西洋文化の根源になっている宗教観は、どうやら違っているようです。

イスラム教では、コーランに、「女は男の所有物である」と書かれています。

「どの宗教が正しいか」といった、宗教論争をするつもりは毛頭ありません。
むしろ、そのように対立的に物事をとらえること自体、いかがなものかと思っています。

大切なことは、「そこから何を学ぶか」という謙虚な姿勢だと思うからです。
なぜ学ぶのかといえば、先人の知恵を活かし、自分自身の人生や集団や社会の新しい未来を築くためです。
頭から否定するのでは、そこから何も学べません。
対立ではなく、活かすこと。

日本は八百万の神々の国だといわれますが、つまり日本は多神教国家であるということです。
多神教国家は世界にカ国ありますが、日本はその中で世界最大の人口を持つ国家です。

宗教によりひとつの価値観(神)しか認めないとなると、異なる価値観とは常に「対立的」になります。
一方、多神教というのは、多様な価値観を認めるということで、さまざまなものからいいところを学び、活かしていきます。
だから、日本には太古の昔から、宗教間で起きるような対立に関して、概念そのものがありません。

そもそも日本人は対立を好みません。
たとえば、縄文時代でも男と女はどちらも不可欠な存在なのだから、互いに協力し合い、共存して、互いのいいところや特徴を活かし合いながら、一緒に未来を築いてきたのです。

これは「対立関係」ではなく、「対等な関係」です。
そして「対等」とは、相手をまるごと認めながら、双方ともに共存し、共栄していこうという考え方です。

女(メス)には子を産む力が備わり、男(オス)には体力があります。
縄文時代は女が安心して子を産み育てることができるよう、外で一生懸命働いて、産屋を建て、村の外で食料を得てくるのが男の役割でした。
そうすることで愛し合う男女は子をもうけると、今度は子どもたちの未来のために、互いに役割分担して共存し、協力し合って、子どもたちの成長を守り、子孫を繁栄させます。

実際問題、学者や評論家たちは、ジェンダーフリーだとかいろいろなことをいいますが、現実ではどのご家庭でも、妻と夫が互いに相手の尊厳を認め合い、助け合い、支え合う対等な存在として生きているのではないでしょうか。

だいたいよく漫談などにありますが、結婚前には「俺は亭主関白になる」などと大見得をきっていた夫も、結婚してからは妻に頭が上がらない、という話が多いのではないでしょうか。
「誰のおかげで生活できていると思っているんだ!」なんてセリフとんでもない。
給料だっていったんは全部妻にわたし、夫は妻からおこづかいをもらうという家庭が大半です。

このシステムは日本ならではです。
男尊女卑、女尊男卑、あるいはジェンダーフリーといったものは、基本的にその発想のもとに「対立」があります。
けれど、そもそも男女を「対立」と考えること自体おかしなことです。
この世には男と女しかいないのです。
大切なのは互いの違いをしっかりとわきまえ、お互いにできること・できないことを区別して、互いの良い点を活かしていくことだと思います。
それが「対等」です。

根っこのところに、そういう「対等」という観念がないから、
「男女は、互いの権力の確保と
 相手に対する支配のために、
 常に闘争をする存在」などというおかしなご高説がまかり通ったりするのだろうと思います。

縄文の女神像に象徴されるように、日本人は1万年以上もの昔から、女性にある種の神秘を感じ、女性を大切にしてきました。
男女とも互いに対等であり、互いの違いや役割をきちんと踏まえて、お互いにできることを相手のために精一杯こなしていこうとしてきました。
日本人は、そうやって家庭や村や国としての共同体を営んできました。
これが「結び」です。
日本人の知恵は、はるかに深くて温かなものなのです。


※小名木善行著『縄文文明』P40より

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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
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