歴史は事実から考える



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第96回 倭塾は、令和4年11月20日(日)13:30開講です。場所はいつもと異なり、JR新宿駅新南口近くの会場になります。映画『めぐみへの誓い』を製作した野伏翔監督の講話もあります。終了後、懇親会もあります。会場の都合で今回のみ事前申込が必要です。詳細は↓で。
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現状ではタイムマシンがない(すでに開発されているという説もありますが、すくなくとも公開はされていない)のですから、真実はわかりません。ただ、古代の文献史料や、現代の学説論説の中から、あらためて「事実」だけを抜き出して、まったく新たな視点で、歴史を(できるだけ矛盾のないように)再構築してみる。それが本来の歴史です。
狭量で自虐的な従来の学説から、我々はもっと自由であるべきだと思います。そもそも学問とは、自由なものなのですから。

20221116 金印



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歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行です。

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徳川家康がどうして関ケ原の戦いを挑んだのか。
これまでの通説は、家康の権力欲説、家康の器量説(=豊臣秀頼の無能説)というものばかりでした。

けれどすこし考えてみれば、それらの説が「おかしい」ということは誰にでもわかることです。
なぜなら当時のお大名はみんな独立採算です。
戦に出れば、部下が死んだり怪我を負ったりします。
そうした部下への保障は大名主である大名の責任です。
つまり、戦【いくさ】には、たいへんなコスト(リスク)がかかります。
はたして耄碌爺さんが「ワシは征夷大将軍になりたのじゃあ!」と言っているからと、全国のお大名が、そんな爺さんのために、わざわざ関ケ原まで大軍を率いて歩いていって、わざわざ戦いに参加して、けが人や死亡者の保障までするのでしょうか。

あるいは豊臣秀頼の器量が足りなかったとしても、殿様というのはいわば責任職です。
部下が優秀であれば政治はちゃんと行うことができるし、実際石田三成など有能な部下に秀頼は支えられていました。
天下を治める器量というのなら、当時の毛利元就や伊達政宗、島津義弘なども、武勇・器量のいずれをとっても家康に匹敵する実力と器量を兼ね備えています。
何も家康だけに器量があるということではありません。

つまり、これまで定説のようにされてきたことであったとしても、常識的に考えてみれば「おかしい」と思えることはいくらでもあります。

ところがこれまで学問的とされたものは、どこかの誰かがそうした歴史の事実について、それがなぜ、どうして起こったのかという理由を本にしていて、その本を「根拠」としなければ、論文にならない、学説にならないということが、これまた常識とされていました。

けれど少し考えたらわかることですが、いくら本になっていたとしても、それは誰かの「論」にすぎないわけです。
その「論」を根拠に「論」を立てても、それは「屋上屋を架す」という、無駄なことにしかなりません。
ところが現代の文系学会というのは、そんな「屋上屋を架す」こと、つまり、誰かの「論」を出典・論拠にしなければ、説としてさえ認められないという形になっています。
そして多くの日本人が、そうした形を、学問的に正しい態度であると信じています。
けれどそれは「誤認」です。

そもそも戦後の日本は、GHQによって、まともな本は焚書され、まともな学者は公職追放されているわけです。
そしてその上で、新たに敗戦利得者となった人たちが、日本を貶め、先人たちを小馬鹿にしたような論文をいくつも書き、そうした低次元な内容の論文でなければ、論文誌に掲載さえもしてもらえず、掲載された、いわば「新説」としての根拠に乏しい低次元な論説が「学説」となり、本になり、そうした本を論拠にしなければ、新たな論文としてさえも認められない、という暗黙のルールが出来上がったのです。

歴史小説なども同じで、純粋な娯楽であっても、過去の偉人に疑問を呈するような内容の小説であれば大手出版社が全面的にプロモートしてベストセラーにするし、そうでないものは、たとえ本になっても、初版印刷後、絶版になるという形ができあがりました。
結果日本人は、ろくでもない低レベルな情報や知識にしか触れることさえもできなくなってしまったわけです。

情報と知識というのは、お料理に例えることができます。
情報が食材、知識が料理です。
ろくでもない食材(情報)しか与えず、料理(知識)の技法さえもインスタント化してしまえば、日本人がいくら伝統的な価値観を共有していたとしても、何世代かのうちには、日本人をすっかり骨抜きにすることができます。

そして民族の骨とは、民族の文化や基本となる思想のことを言います。
文化も思想も失ったら、それはもはや民族とはいえない、ただの個々に分断されたヒトモドキの個体となります。
実際、戦後の日本は、その道をひた走ったわけですし、実際現代日本は、まさにそうした企画通り、計画通りになっているわけです。
実に見事なものです。

医学分野など、科学の分野では、誰かの発見に基づいて、新たな学説や術式が建てられます。
ですから、その方式が、誰の術式を元にしたのかは、重要な要素となりますし、万一、そこに失敗があっても、元の術式の不備に原因があったのかもしれないといった可能性も示唆しますから、学者や医師としての身を護るためにも、誰の術式や学説に依拠したのかは、とても重要な要素になります。

けれど文系においては、そうした医学や科学の世界の理屈は通用しません。
そもそも、上に述べた「誰かの術式や学説」というのは、それ自体が「事実」です。
つまり「過去に積み上げられた事実」をもとに、新たな術式や学説が建てられるのです。

ところが文系の場合の誤認は、「過去に述べられた論説」を基準に、新たな学説を建てなければならないとしているわけです。
 事実を基礎に置くのか。
 論説を基礎に置くのか。
この両者は、まったく意味が異なります。
そして後者は、まったくの間違いです。

本来は文系においても、どこまでも「事実を基礎に」置かなければならないのです。
歴史上書かれた書物は多いけれど、そこから事実と論を分けて考える。
そうして導き出された事実のみに着目し、その事実が、時間の経過の中で時系列に、そして再現可能性が最大になるようにストーリー化していく。
それが本来の歴史学の仕事です。

そうして事実を組み合わせて論を建ててストーリー化すると、様々な見方が可能になります。
そしてその様々な見方が、多方面から学問的に批判されることによって、少しづつ昇華して、それがようやく学説となります。
ところが、ひとたび学説として成立しても、新たな考古学的発見ひとつによって、それら学説が、一瞬にしてすべてひっくり返されてしまうという、まるでオセロゲームのような世界が、本来の歴史学会であるといえます。

後漢の光武帝が建武中元2年(西暦57年)に奴国からの朝賀使へ(冊封のしるしとして)賜った印として、有名な『漢委奴国王印』があります。
この金印が『後漢書』「卷八五 列傳卷七五 東夷傳」にある
「建武中元二年 倭奴國奉貢朝賀 使人自稱大夫 倭國之極南界也 光武賜以印綬」
(建武中元二年、倭奴国、貢を奉じて朝賀す。
 使人自ら大夫と称す。
 倭国の極南の界なり。
 光武、印綬を以て賜う)
の金印だということになっているのですが、通常はこの印の読み方は「かんのわのなのこくおういん」とされるといわれています。

この読み方については、さまざまな説があり、たとえば
 「委奴国」は「倭国」と同じで「やまとのくに」と訓じる説
 「漢の倭(委)の奴(な)の国王」と訓じる説
 「委奴」を「いと」と読み、「漢の委奴(いと)の国王」とする説
などがあります。

それらの論説の上に、論を建てても、あまり意味はありません。
むしろ、原文である印影の文字に立ち返って、あらためて読んでみると、
『漢委奴国王印』にある「委」の字は、禾が稔った稲穂のもとでかしづく女性であり、奴は「やっこ」であって、男性を意味する字です。
つまり、漢の光武帝は、この印を、もしかしたら
「女性を頂点の王とし、男性たちがその下にあって政治や行政を司る国の国王の印」
という意味で『漢委奴国王印』としたのかもしれないのです。

実際、『後漢書東夷伝』には、「桓・霊の間、倭国大いに乱れ、更々(こもごも)相攻伐し、歴年主(あるじ)無し」とあります。
これによって、二世紀後半(西暦100年代後半)に、倭国内で大乱があったことが確認できます。

また、『三国志』の『魏志倭人伝』には「其の国、本亦(また)男子を以って王と為し、住(とど)まること七・八十年。倭国乱れ、相攻伐して年を歴(へ)たり。乃(すなわ)ち共に一女子を立てて王と為し、名づけて卑弥呼(ひみこ)と曰ふ。鬼道(きどう)を事とし、能(よ)く衆を惑わす。………卑弥呼死するを以って大いに冢を作る。径百余歩、徇葬(じゅんそう)する者、奴婢(ぬひ)百余人」と書かれています。

『三国志』が書かれたのが3世紀後半であることから、ここでいう「倭国乱れ」が『後漢書』にある二世紀後半の「倭国大乱」を意味するとされるのですが、もしかすると倭国は、もともと2世紀以前には、女性をリーダーとする国を形成していたのかもしれないのです。
それが男性がリーダーとなることで大乱となり、ようやくそれがおさまったときには、再び女性がリーダーの国になっていたと、そういう流れが、これらの書物から読み解けるのかもしれません。

現代の歴史学会では、古代に関しては、日本国内で書かれた記紀は、もっぱら相手にせず、外国の文献によってのみ日本の古代を考証するというルールになっていますが、古代におけるチャイナの史書というのは、周辺国をあくまで野蛮な蛮族の国としてしか描いていないものです。
つまりそうした議論は、もっぱら日本を野蛮国だという決めつけから入っているわけですが、そういう決めつけのルールに則ってさえ、これまでとは、まったく別な見方が可能になるわけです。

さらにこれらの記述を日本書紀で読み解いてみると、1〜3世紀には朝鮮半島が日本の一部であったことを考えると、ここでいう倭国大乱は、もしかすると神功皇后の朝鮮征伐のことを指しているのかもしれない。

現状ではタイムマシンがない(すでに開発されているという説もありますが、すくなくとも公開はされていない)のですから、真実はわかりません。
ただ、古代の文献史料や、現代の学説論説の中から、あらためて「事実」だけを抜き出して、まったく新たな視点で、歴史を(できるだけ矛盾のないように)再構築してみる。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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