以下は、江戸時代にあった実話で、新刊の『家康の築いた江戸社会』でご紹介しているお話です。 神様って、やっぱり本当においでになる、と思います。
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日本を豊かに 小名木善行です。
!!最新刊!! 農家から、とある商家に奉公に出ていたある女中【じょちゅう】さん。
その女中さんは、一度でいいからお伊勢様に参拝したいと願っていました。
ある日のこと、主人が小判を一両、箱に入れたのを見て、その夜こっそりと取り出して、それを旅費にしてさっそく誰にも告げずにお伊勢様に出掛けました。
女中は、うしろから追われるのではないかと思い、街道の方へ急ぎました。
途中、ワラジのヒモが切れてしまいました。
治すにしても一銭もないので、手にしている小判を銭に両替してもらおうと、あちこちを回るのですが、どこに行っても断られてしまいます。
「どうしよう・・・」と思案に暮れていると、どこの人ともしれない男がその様子を見ていて、そっと道の向こうに呼び寄せました。
「お前、一緒に行く人もいないのに伊勢神宮へ参拝するようだが、カネを持っていると思われるとどんな目にあうかわからない。取られないように用心したほうがいい。小判を持っているなら、銭に替えてやろう」という。
女中が承知しないでいると、その男は金二分を取り出して見せ、
「ワシはこっそり取り替えてやろうと思ったが、ここにある二分金以外に持っていない。少し待っていろ。外に行って両替してきてやろう。とにかく二分金を渡しておくから、この小判を出せ」というので、本当かと思い、女中は小判を渡します。
ところがその男、いつまで経っても現れない。
さてはだまされたかと気付くのですが、男の行方はわからない。
思案に暮れているとその男が帰ってきます。
そして荒々しい声で、
「きさまはよくも俺を騙したな、あの小判はニセモノだ」と怒鳴りました。
女中も負けてはいません。そんなことあるもんですかと、こちらも大声を出して応じます。
男と女の言い争う声は激しさを増しました。
あたりに響く争いの声に、近くにいた人たちが何事が起きたのだと集まってきます。
双方の言い分を聞いているうちに、男は詐欺師で、女中をだましていると感じる。
これは男から二分を取り戻すことが先決だと集まった人たちは考え、男を責めました。
男はこうした方法で旅人をだましてはカネをかすめとることで渡世【とせい】しているならず者でした。
男は、この場をうまく切り抜けることはもはやむつかしいとみて、身を隠すに限ると思ったのか、一瞬のすきをみて素早く逃げ出してしまいました。
集まっていた人たちは、逃がすな、あの野郎と追い掛けたが、男は人混みのなかを駆け抜けて姿を消してしまいます。
仕方なく戻ってきた人は、女中に、
「あんたには気の毒だが、あいつは詐欺専門のならず者だから皆だまされる。それでも半分は手もとに残ったのだから、あきらめな。そのカネを旅費にすれば、伊勢参拝はできるから」と慰めてくれました。
女中はやむをえないと思って、その二分金を旅費にして伊勢参拝を果たして、無事に故郷に帰ってきました。
そしてこの一連のできごとを詳しく家族に話しました。
すると主人は、
「おかしな話だよ。まったくその男がお前をだまして盗んでいった小判は、実はニセモノなのだ。旅費につかえるようなものではない。それを男のために二分金を手に入れ、楽々と伊勢神宮に参拝できたことは、神の恵みと言っていい」と言いました。 ***
このお話は、江戸時代に実際に遠州の榛原郡であった話で、中村乗高という人が『事実証談【ことのまことあかしがたり】』という本で紹介したことで、いまに伝えられている話です。
二分金というのは、現在の三万円です。
もしかしたらどうしても伊勢参拝をしたいと願う女中の思いを神様が汲んで、旅費を恵んでくれたのでしょうか。女中さんは、途中で怖い思いもしたけれど、一生の思いが叶ってきっと満足したであろうと思われます。
いつの時代でも、人々は与えられた境遇のなかで、懸命に生きているものです。
家康が開いた江戸社会は、家康自身が、日本古来の文化である、庶民こそが「おほみたから」とする社会が実現された時代であったということができます。
それは、一部の破格の大金持ちは生みませんが、その代わり誰もが豊かに安全に安心して暮らせる世です。
時代は、人々の思いによって築かれるものです。
人々の思いが「いまだけ、カネだけ、自分だけ」ではなく、江戸時代の人の心を日本人が取り戻せば、日本は必ず再生し、世界中に民衆の幸せの時代をもたらす大きな力となって行きます。
政治が人を変えるのではありません。
人々の思いが政治を動かすのです。
人々の思いが、大金持ちになることであれば、その競争に勝って目標を達成することができるのは、ほんの一握りの覇者だけです。
人々の思いが、誰もが豊かに安全に安心して暮らせる世であるなら、政治もまた、そのような社会つくりに貢献せざるを得なくなります。
今年は激動の年だといいますが、神々はきっと日本人の覚醒を望んでおいでなのだと思います。
日本をかっこよく!お読みいただき、ありがとうございました。
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