「歴史」と「社会科歴史的分野」の違い



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南京事件なるものがあります。
歴史学で見るならば、当時の日本陸軍の戦力、南京の人口、戦局の流れから、結論は「そのような事件はなかった」となります。
ところが社会科の歴史的分野だと、
・南京事件があったと主張している国がある(これは事実です)。
・これに対する反論もある(これも事実です)。
という記述になります。
すると事件を利用したい人たちは、
「日本の教科書にあったと書いてあるではないか」と言い出します。
結果、あたかもそのような事件があったことにされてしまうわけです。
これがいわゆる「エビデンス」と言われるものの正体です。

日本文教出版の中学歴史教科書。
歴史的分野とちゃんと書いてある。
20230206 中学歴史教科書
画像出所=https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E7%9A%84%E5%88%86%E9%87%8E-%E4%BB%A4%E5%92%8C3%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81%E6%A4%9C%E5%AE%9A%E6%B8%88%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%A7%91%E7%94%A8/dp/4536181652/ref=asc_df_4536181652/?tag=jpgo-22&linkCode=df0&hvadid=342555951782&hvpos=&hvnetw=g&hvrand=9524016851015044300&hvpone=&hvptwo=&hvqmt=&hvdev=c&hvdvcmdl=&hvlocint=&hvlocphy=1009523&hvtargid=pla-1234191032113&psc=1
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ねずさんの話について、よく「エビデンスを示せ」というコメントが付きます。
毎度無視させていただいていますが、この言葉を聞くたびに、日本人の思考力の劣化を感じずにはいられません。

なぜそのように思うのかと言うと、ここでいう「エビデンス」なるものの正体、つまりコチラに「示せ」と言われているものの正体が、常に
「どの先生が、どの本に書いていることか」
というものにほかならないからです。
それは、その本を書いた先生の意見であって、意見は「エビデンス」ではありません。

エビデンス(evidence)は、証拠や根拠、裏付けのことをいいます。
だから私の主張の裏付けが「どの本に書いてあるか」というのですが、どこかの本に書かれているなら、その本を紹介しています。
書かれていないから問題なのだし、書かれていないから話しているのです。

現在の歴史教科書は、細部に至るまで、できるだけ正確な記述が行われています。
これは当然です。
現在我々が小中高で学ぶ歴史は、歴史ではないからです。
歴史ではなく、社会科のなかの歴史的分野なのです。
ですから、たとえば中学校の歴史教科書をよくみれば、社会科「歴史」的分野、とちゃんとタイトルに書いてあります。

歴史ではなく、社会科なのです。
社会科というのは、社会常識として知っておきべき事柄を学ぶ教科です。
令和の前は平成だったし、その前は昭和だった。
そういうことは、知っていないと社会人として困ることだから、ただ漫然と、過去にあったことの年号と事件名や人物名が記述されています。
GHQによって禁止された日本の歴史教育は、その後「社会科歴史的分野」として蘇りましたが、実はいまだにそのままの状態になっているのです。

社会科の歴史的分野の教科書も、いちおう歴史らしい流れは書いてあります。
けれど肝心なところで必ず「しかし〜であった」と、先人たちの功績を否定しています。
つまり社会科歴史的分野は、単に事実を記すだけですから、「良いことが行われた」とは書けないのです。
だから「良いことが行われた」ような記述になったときには、「しかし〜であった」と否定する内容を書かなければならないのです。
この「しかし〜であった」という様式を、イエスバット方式と言います。

いまある歴史教科書は、歴史教科書ではなく、社会科の歴史的分野の教科書です。
そしてこのことをもとに、大学の歴史講座も成り立っています。

たとえば大化の改新に関する研究であれば、その内容を精査して、素晴らしい事業であったことがわかったとしても、素晴らしい事業であったと結論づけることはできないのです。
素晴らしい事業であったと言えるが、こういう問題点もあった、と結論付けなければならないのです。
なぜなら社会科の歴史的分野の延長線上にあるからです。

本来の歴史学は異なります。
本来の歴史学は、事実を基にして、その事実を時系列化し、どうしてそうなったのかをストーリー化する学問です。
そのストーリーが客観的かつ再現可能性が最大になっているものが、本来は定説となります。

南京事件なるものがあります。
歴史学で見るならば、当時の日本陸軍の戦力、南京の人口、戦局の流れから、結論は「そのような事件はなかった」となります。
ところが社会科の歴史的分野だと、
・南京事件があったと主張している国がある(これは事実です)。
・これに対する反論もある。(これも事実です)
という記述になります。

すると事件を利用したい人たちは、
「日本の教科書にあったと書いてあるではないか」と言い出します。
結果、あたかもそのような事件があったことにされてしまうわけです。

これがいわゆる「エビデンス」と言われるものの正体です。
そのようなものは、歴史でもなければエビデンスでもありません。
ただの「いいがかり」です。

古来日本人は、どんなに偉い先生を連れてこようが、どんなに権威や権力のある人を連れてこようが、間違っているものは間違っていると、堂々と主張してきました。
あたりまえです。
権威のある人が、いくら「ここで地すべりが起きることはありません」と力説したとしても、現実に地すべりが起きれば、被害を受けるのも、復興をするのも、自分たちなのです。
だから我々日本人にとっては、常に「本当のこと」が大事なのであって、肩書や能書きは常に二の次です。

まして、「歴史」と「社会科歴史的分野」では、記述も、その根底にある考え方も違うのです。

我々は、日本を取り戻そうとしています。
そこに必要なことは、権威ではなく、事実であり、社会科歴史的分野ではなく、歴史であり国史です。
その国史をもとに、日本を再構築しようとしています。
このときに必要なことは、過去の事実であって、誰かが唱えている社会科歴史的分野のYesBut方式の記述ではありません。

エビデンスの正体が「どの先生が、どの本に書いたことか」という意味なら、その先生の、その本のご主張自体が、その先生の「ご意見」でしかありません。
意見は意見であって、意見は証拠ではないのです。
あまりにもあたりまえのことですが、単に
「名前の通った有名な先生の言うことだから」
「どこそこの本に書いてあるから」
ということは、エビデンスではないし、証拠でもありません。
それは、単にその先生の主観的な判断や意見でしかない。

ねず説というのは、過去に起きた事実を基に歴史を語っているものです。
その根拠は、公開されている歴史上の事実です。
社会科の歴史的分野ではないのです。

歴史はファンタジーとも異なります。
ファンタジーには、論理性、客観性、必然性、蓋然性がありません。
歴史は逆に論理性、客観性、必然性、蓋然性を大切にします。

たとえばコリアの時代劇では、色とりどりのチマチョゴリが登場します。
美しい王朝文化があったのだという幻想に浸りたいのでしょうけれど、残念ながら、その時代に、それだけの染料は、コリアにはありません。
それに、そもそも、それだけカラフルで美しい着物が日常的に用いられていたというのなら、なぜ、服飾に絵柄や刺繍などがないのか。

そういう単純素朴な疑問だけで簡単に崩壊してしまうようなものは、歴史とは言いません。
だから、韓流史観はファンタジーでしかないのです。

エビデンスというのは、証拠のことであって、どこかの偉い先生の意見のことではありません。
意見と証拠を「エビデンス」というカタカナ用語を用いることで、ごっちゃにすることは、まぜっかえしであって、学問をする態度とは程遠いものです。


※この記事は2022年2月の記事のリニューアルです。
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Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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