エビデンス



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 4月の倭塾は、4月23日(日)13時半から、場所は富岡八幡宮の婚儀殿です。テーマは「いま世界で起きていること、日本で起きていること、そして日本精神の源流」です。参加自由で、どなたでもご参加いただくことができます。皆様のふるってのご参加をお待ちしています。詳細 → https://www.facebook.com/events/458686826358362
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多くの人にとって、というより学会において「エビデンス」といえば、「本に書いてある」「権威ある学者が書いている」ことであるようです。また、そのために論文には、必ず「どの本を参照したか」を明記しなければならないことになっています。
けれど、そのような考え方は、早々に捨て去ることです。
なぜならどんなに高名であろうと、学会での地位があろうと、本に書いてあろうと、それら引用先は、実はことごとく書いた人の「意見」でしかありません。
「意見」と「事実」を分け、あくまで事実だけに注目する。
そして「事実」のみを自分なりに合理的かつ客観的、論理的に再構成する。
するとこれまで霧に覆われて見えなかったものが、はっきりと見えてきます。
それが本当の「エビデンス」です。

20220418 エビデンス
画像出所=https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E6%A0%B9%E6%8B%A0
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)



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よく聞く言葉に「エビデンス」という言葉があります。
「根拠」「証拠」「裏付け 」を意味する言葉です。
語源は「e-(外に)+videre(見える)」で、表に見えている事実をという意味です。

ですから「エビデンス」といえば、
「法学」なら、証言や証拠などのこと
「医学」なら、これまでの具体的な症例や、これに対する投薬の効果などを意味します。

なかでも医学については、たとえば英国の何という医者が、その症例に対して、どのような処置をすることで、病状が改善されたといった事実があり、その事実がレポートとなって世界に向けて公表され、そうした処置の事例を基に、日本の医師が、その処置に何らかの新しい方法や医薬品を加えることで、病状がさらに劇的に改善された、といったことが、まさしく「エビデンス」の積み上げとなり、医学そのものの発展に寄与することになります。

「法学」のような文系も同じです。
何と書かれているのか、どのような事件や事実があったのか。
それらを検証し、深めていくのが学問の意図だからです。

「歴史」もまた同じです。
過去の事実に注目し、その事実を時系列に並べていって、実際に何が起こったのかを論証していくからです。

たとえば古墳であれば、わかっている事実は、現実に多数の「古墳が存在している」ことと、その古墳が時代とともに徐々に大きくなり、仁徳天皇陵をピークにその後の規模が縮小していること、副葬品などが多数存在する遺構があることなどです。

これらを時系列に並べてみて、「古墳は、皇族貴族や豪族といった権力者が、自分の持つ権力の大きさを墓の大きさで表現しようとした世界的に珍しい遺構である」という墳墓説が、現在の学会の主流意見です。
ですが、それはあくまで「意見」でしかありません。
そして「意見」は「意見」であって、「事実」ではないのです。

ここで大事なことは、一般に「エビデンス」と呼ばれるものは、実はそうした「意見(オピニオン・opinion)」を「事実(Fact)」として扱ったものです。
そしてあたりまえのことですが、「意見」は「エビデンス(evidence=証拠)」にはなりません。

織田信長は本能寺の変で倒れたと、昔の書物に書かれています。これが事実です。
けれど、本能寺の焼け跡から信長の遺体は出ていません。これもまた記録された事実です。
するとそこから、「もしかすると信長は生きていたのではないか」という推測が生まれます。

こうして事実をもとに、論理的に推考することを、論理学用語で「アブダクション」と言います。
タイムマシンがない以上、現場を直接見に行くことは誰にもできません。
したがって、どうして信長の遺体があがっていないのかの理由を説明するものは何もありません。
にもかかわらず、当時の模様を記した書物には、このときに信長が亡くなったと書かれています。
けれど、亡くなったという証拠(遺体)がないということは、このときに信長が死んだという記述は、筆者の「意見」でしかないのです。

当時を書いた様々な当時の書物に、どれだけ「このとき信長が死んだ」と書いた文献があったとしても、遺体がない以上、死んでなかったかもしれない、という可能性は捨てきれないのです。
そうであれば、実際に何が起こったのか。
これをあらためて、史料に書かれたものから「意見」を排して、「事実」だけに注目して、これを時系列に整理し直して、事実を再構成していく。

それが「歴史学」ですし、それが学問であって、どんなに偉い学者の先生が書いていても、「意見」は「エビデンス」すなわち「証拠」にはなり得ないのです。

「意見」と「事実」は異なります。
いかに論文としての形式が整っていたとしても、「意見」を「事実」として考察した論文なら、それはエビデンスにはなりえないし、そのような論文をもとに論文を書くなら、それは屋上屋を架すことにしかなりません。
しかもその屋根自体が、無用の長物でしかありません。
一般に歴史学で「エビデンス」と呼ばれるものは、実はそうした説があるということが「事実(Fact)」であって、エビデンスとされているだけのものであって、それが真実かどうかは、実は誰にもわからないのです。

さらに文学である「古文」になると、たとえば古事記や日本書紀、あるいは枕草子や徒然草でもそうなのですが、現代において書かれた解説なるものは、すべて「その書を読んだ学者等が感じた意見(opinion)」でしかありません。
そして「オピニオン(opinion=意見)」は、決して「エビデンス(evidence=証拠・証明)」にはなりません。

そこで、どうにもおかしいと思われることについては、あらためて「過去に起きた事実」に注目し、その事実を並べて論理的かつ客観的かつ合理的に、事実を再構築して、実は「本当はこうだったのではないか」という歴史や文献史料の再解釈が行われることになります。

そこで出てきた再解釈は、論理的かつ合理的かつ客観的なものであって、誰もが納得できるものであっても、従来説、あるいは定説と呼ばれる学会の意見とはまったく異なるものであったりします。

ところがそうした再解釈は、あくまで再解釈ですから、過去に別な学者等が同じ意見を述べたものはありません。
なぜなら、そこでいう「エビデンス」は、あくまで「原文」や、過去に起きた「事実」に注目したものであって、誰か高名なセンセイが論文にしたものではないからです。

しかしその「高名なセンセイの論文」に論理的な矛盾があり、非合理的で、たとえば近隣諸国条項や、戦後すぐならGHQに配慮したなどの一定の偏見に基づくものであるならば、それは事実に基づいて訂正されるべきものであって、それらをエビデンスにしなければ、論が成り立たないとすることは、これは学問に対する冒涜です。

たとえば古事記に、天照大御神さまが岩屋戸からお出ましになられる際に、天手力男神が、力にまかせて天照大御神さまを岩屋戸から「引っ張り出したのだ」という、よく世の中に通っているご説があります。
ここは原文では「天手力男神取其御手引出」とあるところです。
しかしここでいう「其御手引出」は、従来説のような
㈠「天手力男神が、天照大御神さまの御手をとって強引に力にまかせて引っ張り出した」
とも読めますが、そうではなく、
㈡「天手力男神が、天照大御神さまの御手を引かれ、天照大御神さまは(自らの御意思で)岩屋戸からお出ましになられた」
とも読めるわけです。

普通常識で考えて、天照大御神さまは最高神です。
最高神というのは、いわば最強の神様ですから、天照大御神さまが、ご自身で岩屋戸からお出ましになられる御意思がなければ(まさに御神意)がなければ、天手力雄命がいくら力自慢であったとしても、天照大御神さまの御手を取ることも不可能なら、強引に力任せに引っ張り出すなどありえないことです。
もし天手力雄神がそのようなことをするならば、まさに天照大御神さまの鎧袖一触、天手力雄神は、遠く宇宙の果まで飛ばされてしまわれたかもしれない。
ここでは、どこまでも天照大御神さまの御意思が尊重されたと読むべきで、それ以外の㈠のような解釈は、本来成り立たないといえるわけです。

けれど、「ではそのように書いてある文献があるのか」と言われれば、ありません。
ないから本にしたり、動画でお話したり、ブログに書いたりしているのです。

エビデンスというものは、「誰かの意見」であってはならないのではないかと思います。
どこまでも、事実や原文に即し、それが書かれたものであるならば、その書いた人、あるいは当時の人々の書いた意思や目的など、書かれた背景をしっかりと見極めた上で、事実に即して自分の頭で考える。
そういうことが大事なのではないかと思います。

昨今、露さんとウクさんの紛争が、さかんにメディアを賑わせています。
メディアの報道は、一方的に呂さんが悪いというものです。
けれど、実際はどうなのか。
それは、客観的事実に即して、自分の頭で考える必要があります。
なぜなら、本来、両論併記すべきメディアが、一方的な情報を流している場合、そこに何らかの情報操作や、利権が隠れていることが多いからです。

そして我々日本人にとって大切なことは、露さんとウクさんの紛争で「どっちがわるいか」や「どっちが勝つか」にあるのではなく、我が国が、どう選択し、どう行動して、我が国の国益を護るのかということです。
日本は日本で、身近なところに自称超大国の忠華さんという反日国を抱えているのです。
露さんとウクさんの紛争が、忠華さんにどのような影響を与えるのか。
その中で日本が、そして台湾が平和を維持していくには、いま何が必要なのか。どう行動すればよいのか。

本来はそうした知見は、それなりの戦略スタッフや専門の政府諜報機関が、しっかりとした戦略を構築し、国民を善導していかなければならないものです。
けれど残念ながら日本の政府は、国益よりも外国の利益を優先するという、不思議な政府です。
政府だけのせいではありませんが、おかげで日本は30年以上続く不況をいまだに脱出できていません。
私たちは、自分の頭で考え行動することができるようならなければならなくなっているのです。

未来は、今の思考や行動によって変わります。
どのような未来にやって来てもらうかは、いまどのように生きるのか、どのように判断し行動するのかにすべてがかかっています。
誰かを頼ったり、人の話を鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考え行動することができるようになることが大事です。

【併合時の日本政府からKorea総督府への通達】というものがあります。
詳しいことは
https://nezu3344.com/blog-entry-1690.html
に掲載しています。

このなかに、次の言葉があります。

・彼らは争議に際して、弁護士等権威ある称号を詐称せる者を同道せる場合がある。
 権威称号を称する同道者については、関係各所への身元照会を行うこと。

「権威ある人の言うことだから正しい」
「本に書いてあることだから正しい」

このような考え方は、歴史学会等ではとても重要視されますが、一般社会生活では、あまり人生に良い影響を与えません。
早々に捨て去ることです。

従来意見を捨てて行きます。
すると事実だけが残ります。
その事実を基に、自分の頭で考えます。
事実と事実を合理的かつ客観的、論理的に再構成するのです。
するとこれまで霧に覆われて見えなかったものが、はっきりと見えてきます。

そこに「真実」があります。
事実だけが「エビデンス」の名に値するものです。

※この記事は2022年4月の記事を大幅にリニューアルしたものです。
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コメント

にせん

事実をベースに論理をつなげていくと
真理に近づくと日々感じております。

やはり、医学においてもこれだけで
なぜ解決するか?理論は後付けで
解決した事実ベースで判断すれば
ここまで病気は増えないと感じます。

以下、参考にしている方のyoutubeです。
https://youtu.be/rsuAAGnm6GY
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

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