古事記におけるスサノオから大国主への話の流れから学ぶこと



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書かれたものというのは、何らかの目的を持って書かれているのである、ということは、いまさらいうまでもなく、常識としてご理解いただけることと思います。
古事記も書かれたものです。
その古事記では、須佐之男命(すさのをのみこと)がヤマタノオロチを退治したあとに大国主神話が続いています。
日本書紀にはない大国主の出雲神話が、なぜ古事記では手厚く書かれているのか。
そこで何を伝えようとしたのか。
古典には「八通りの読み方がある」のです。
生涯を通じて繰り返し読むことにより、そこからさまざまな学びを私達は得ることができます。
そんな素晴らしいものが、我が国には大昔からあるのに、このことを学校では教えない。
日本は、教育を根本から建て直さなければならないときに来ている。
そのように思います。

20210216 ヤマタノオロチ
画像出所=https://ameblo.jp/yaoyorozu-ukiyoe/entry-12634246873.html
素晴らしい絵です。
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基本的に書かれたものというのは、何らかの目的を持って書かれているのである、ということは、いまさらいうまでもなく、常識としてご理解いただけることと思います。
古事記も書かれたものです。
その古事記では、須佐之男命(すさのをのみこと)がヤマタノオロチを退治したあとに大国主神話が続いています。
日本書紀にはない大国主の出雲神話が、なぜ古事記では手厚く書かれているのか。
そこで何を伝えようとしたのか。

古事記などの古い書物、とりわけ神の書とも言われるような書物は、古来八通りの読み方があると言われています。
古代において「八」という数字は「たくさんの」という意味を持ちましたから、数詞として8通りの読み方があるという意味ではなくて、これは「たくさんの読み解きがある」という意味の言葉です。

そしておもしろいのは、ヤマタノオロチは古事記では「八俣遠呂智」で、「八」があります。
さらにヤマタノオロチを退治したあとに須佐之男命は、奥出雲近くの須佐(すさ)の地に引っ越して、
「私はこの地に来て、心がとても須賀須賀斯(すがすがし)い」と述べて、その地に宮を作ります。
そして次の歌を詠んでいます。これが我が国最古の和歌です。
 やくもたつ    八雲立つ    
 いづもやえがき  出雲八重垣  
 つまこみに    妻籠みに    
 やへかきつくる  八重垣つくる  
 そのやへかきを  その八重垣を

そして足名鉄神(あしなつちのかみ)をお召しになり、
「あなたを我が宮の首(おびと)に任じます」と告げて、彼を稲田の宮の主の須賀の八耳神(やみみのかみ)と名付けています。

ここまでの短い文章に、なんと「八」が「六」つも出てきます。
「六」という数字も面白い数字で、六道輪廻(りくどうりんね)という言葉があります。
これは、「地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人界、天界」の六つの世界を表す言葉で、この六つの世界は輪のようになっていて、人の心や魂はこの輪の中をぐるぐると回るという意味の言葉です。
つまりループしているわけで、そのループの輪が「八」ある。
つまりたくさんあるわけです。

ちなみにその間にある「七」というのは、西洋では「完全」とか「全て」といった意味に用いられていて、人類の罪は7つ(高慢、物欲、嫉妬、怒り、色欲、貪食、怠惰)であり、人類の持つ徳もまた7つ(知恵、勇気、節制、信仰、希望、愛)とされ、世界は七大陸と七つの海によって形成され、世界には7つの不思議があるなどとされています。

東洋では「七」の意味は違っていて、初七日や、七×七で四十九日、極楽浄土を荘厳するのは「七宝(金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう))」、幸せをもたらすのが七福神(恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天)と、要するに「七」は「ひとつの物事の完結」を意味する言葉として用いられています。

つまり、
「六」=ループ(六道輪廻)
「七」=完結
「八」=たくさん
というわけで、六道輪廻が、七でひとつのまとまりになり、その六道輪廻の織りなす世界が無限にたくさんある、ということが数詞として示されているわけです。

こうした理解のもとに古事記を読むと、八俣遠呂智(やまたのおろち)から須佐之男命(すさのをのみこと)の歌、そして足名椎神(あしなつちかみ)の新しい名の八耳神(やみみのかみ)までに、「八」という漢字が「六」回も使われているということは、そこに何らかの意味があると考えなければならなくなるわけです。
なぜなら漢字で書かれた文章は、基本的に同じ漢字の繰り返しを嫌うからです。
ですから、二度同じ漢字が使われていれば、それは重要語ということになるし、三度使われていれば、それは最重要語とされます。
それが六回も用いられているとなれば、やはりそこには何らかの意味を考えずにはいられないわけです。

そのように読むとき、ヤマタノオロチに代表される天災ともよべる艱難辛苦は、まさに我々人類にとって(あるいは日本民族にとって、数限りなく起こる災難です。
そうした災難を、須佐之男命の名は、本来「建速須佐之男命(たけはやのすさのをのみこと)」で、素速く建てる、つまりあらゆる災難から、建設によって素早く建て直すという名になっています。

そして災難から素早く建て直すことで復活を果たすと、そこにあるのは「清々(すがすが)しさ」です。
これを須佐之男命は
「私はこの地に来て、心がとても須賀須賀斯(すがすがし)い」と述べたとされています。
その場所が須賀(すが)です。
そこで須佐之男命は結婚しています。
つまり、子をなし、子孫を繁栄させていくわけです。
さらに続く和歌の中で「八」を4回も繰り返して用いているわけです。

つまりそこには、
「どんな災難がやってきたって、何度でも建て直すさ。
 そして俺たちはその都度、清々しい国を築くんだ。
 そうして子々孫々にいたるまで、
 俺たちはずっと清々しく暮らしていくんだぜ」
といった意味が、ここに隠されているというようにも、読めるわけです。

ところが、そんな希望を持った須佐之男命の七代あとに生まれた大国主神は、周囲から凄まじいイジメを受けることになるのです。

災害からの復興は、人々の意思で行うことができます。
けれどその人々の意思は、ときに醜くゆがみ、人へのイジメにつながることがあるのです。
私達の祖先は、日本という国を築くに際して、こうしてハードの面だけではなく、人々の心というソフトの面も、これまた克服し、解決していかなければならないものであることを、神話を通じて伝えているのだと考えることができるのです。

繰り返しになりますが、古典には「八通りの読み方がある」のです。
生涯を通じて繰り返し読むことにより、そこからさまざまな学びを私達は得ることができます。
そんな素晴らしいものが、我が国には大昔からあるのに、このことを学校では教えない。
日本は、教育を根本から建て直さなければならないときに来ている。
そのように思います。


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コメント

にせん

古事記は読めば読むほど、いろんな解釈が
できて楽しく、また実用的な書であるように
感じます。

自己啓発本ブームですが、今こそ
古事記の本を読んでほしいと思います。
特に日本人ならば!
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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