あたたかくて深い『結び』の知恵



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5月の倭塾は、5月14日(日)13時半から、場所は富岡八幡宮の婚儀殿です。テーマは「徳川家康と未来の日本」です。参加自由で、どなたでもご参加いただくことができます。皆様のふるってのご参加をお待ちしています。
詳細 → https://www.facebook.com/events/1063170144348232
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縄文の女神像に象徴されるように、日本人は1万年以上もの昔から、女性にある種の神秘を感じ、女性を大切にしてきました。
男女とも互いに対等であり、互いの違いや役割をきちんと踏まえて、お互いにできることを相手のために精一杯こなしていこうとしてきました。
そうやって日本人は、家庭や村や国としての共同体を営んできたのです。
この知恵のことを「結び」といいます。
日本人の知恵は、はるかに深くて温かいのです。

山形県舟形町にある西ノ前遺跡出土・縄文の女神像
20220529 縄文の女神
画像出所=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%A5%9E
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)



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日本をかっこよく!

結婚したカップルのことを「夫婦」といいますが、実はこれは戦後から使われるようになった言葉です。
戦前は「めおと」といいました。
「めおと」は漢字で書いたら「妻夫」です。
「妻」が先で「夫」が後ろです。

現代でも多くの男性が妻のことを「かみさん」と呼びます。
女性が家の神様だからです。
なぜ神様なのか、縄文時代の土偶から推測することができます。

子を産む力は、女性にしか備わっていない。
命を産み出す力は、神の力です。
だから日本の最高神は女性神であられる天照大御神です。

記紀は天照大御神を女性神としますが、古史古伝の中には、たとえばホツマツタヱのように天照大御神を男性神とするものもあります。
どちらが正しいのかと議論する向きもありますが、実際に会った現代人はいないのですから、本当のことはわかりません。
ただ、書いたものというのは、それぞれ意図目的を持って書かれています。
後世に生きる我々にとって必要なことは、その意図を汲み、学ばせていただくことです。
記紀には記紀の目的があり、ホツマにはホツマの目的があります。
どちらが正しいではないのです。
我が国が国家を形成するに際して、記紀が天照大御神をなぜ女性神として描写したかが重要なのです。
なぜなら古典は「学ぶためにある」からです。

さておもしろいもので、今から1400年ほど前に渡来した仏教では、当初は「女人五障説」などといって、女性はけがれていて成仏も悟りも開くこともできないと説かれていました。
もっとも宗派によっては女人成仏を説いたり、女性が最高の称号を授与されたりするものもあるそうですから一概にはいえません。

さらに言うと、キリスト教では女性のイブは、アダムの肋骨の一本から生まれ、神の戒めを破ってリンゴの実をかじり、エデン追放の原罪を作った悪者とされています。
宗教家のマルティン・ルターは、
「女児は男児より成長が早いが、そ
 れは有益な植物より雑草のほうが
 成長が早いのと同じである」
などと説いています。
ちょっとひどい言い方のように思いますが、こうした思考が、現代のLGBT問題にも発展しているのですから、見過ごすことはできません。

西洋はレディー・ファーストの文化といわれ、日本人は、これを西洋社会が「女性をとても大切にした文化である」と考えて国内に導入しましたが、西洋文化の根源になっている宗教観は、どうやら違っているようです。

ちなみに日本の武士は、外出する際には、まず主人である武士自身が屋敷の表に出て、女性は玄関先で見送ります。
西洋では、女性を先に表に出して、男性がそれに続きます。
日本では、命の危険を伴う敵の前に先に姿を晒す行動は男の役目です。
西洋では、命の危険を伴う敵の前に先に姿を晒す行動は女性に行わせます。つまり矢避けに女性の体を用います。

イスラム教では、コーランに、「女は男の所有物である」と書かれています。
「どの宗教が正しいか」といった、宗教論争をするつもりは毛頭ありません。
ただ、日本では、女性を護ることが男性の務めとされてきたのです。

問題は、「そこから何を学ぶか」という謙虚な姿勢にあります。
なぜ学ぶのかといえば、先人の知恵を活かし、自分自身の人生や集団や社会の新しい未来を築くためです。
頭から否定するのでは、そこから何も学べません。
対立ではなく、活かすこと。
「どちらが正しいか」とか「どちらが優れているか」ではないのです。
「何を学ぶか」が大事です。

日本は八百万の神々の国だといわれます。
だから日本は「多神教国」であるという人がいます。
半分正解で半分不正解です。
多神教は、英語で「Polytheism」といいますが、この言葉はギリシャ語の "polys"(多数)と "theos"(神)に由来しす。
つまり、信仰対象が多くの神々であることを表しています。
たとえばギリシャのアポロンの12神は、それぞれが信仰の対象です。

ケルト民などの妖精信仰(花の妖精、木の妖精などへの信仰)は「フェアリー・フェイス(fairy faith)」であって、「Polytheism」とは区別されます。

日本における八百万の神々は、むしろ代々のご先祖すべてのことを指しますから、英語なら「ancestor worship」と表現される信仰です。
「ancestor worship」は、絶対神への信仰とは異なり、神を絶対視するのではなく、ご先祖の築いた営みへの感謝を大切にするものであって、アポロンの12神を人類よりも高位な神として称えるといった多神教的思考とは、かなり様子が異なるものです。

複数以上の神々を進行する国家は世界中にありますが、日本はその中で最大規模の人口を持つ国です。
日本の場合は、八百万の神々は、すべて我々日本人にとっての共通のご祖先であり、そこにある田んぼも、橋もトンネルも堤防も、食料の調理方法にいたるまで、すべてそのご祖先たちが築いてくれたものですから、あらゆるものへの感謝が根底となります。

一方、単一神や少数の神々のみを信仰の対象とする宗教では、神と人とは対立関係になり、神々もまたそれぞれが対立関係になります。
日本の神々は、対立関係ではなく、ご先祖すべてが神なのですから、根底が感謝になります。
だから日本には上古の昔から、宗教間で起きる対立概念がありません。

そもそも日本人は対立を好みません。
たとえば、縄文時代でも男と女はどちらも不可欠な存在なのだから、互いに協力し合い、共存して、互いのいいところや特徴を活かし合いながら、一緒に未来を築くものとされました。
そのために、男は男らしく、女は女らしく生きることが重要視されました。

これは男女が「対立関係」ではなく、「対等な関係」にあるということに加え、男女の性差について、これを肉体の差異より、精神性を重視したということでもあります。
日本における男らしさは、筋骨隆々ではなく、女らしさは若さや色香ではありません。
心根の美しさにこそ、男らしさ、女らしさがあるとされました。

昔から、日頃女言葉を使い、仕草も女性のような仕草を日常的に行う男もいましたが、体が男なら、それはあくまで男です。
らしくないからといって、特段それが差別の対象になることもありませんでした。

なぜなら、人は皆「対等」であると考えられたからです。
「対等」とは、相手をまるごと認めながら、双方ともに共存し、共栄していこうという考え方です。

女には子を産む力があり、男には力があります。
縄文時代は女が安心して子を産み育てることができるよう、外で一生懸命働いて、産屋を建て、村の外で食料を得てくるのが男の役割でした。
そうすることで愛し合う男女は子をもうけると、今度は子どもたちの未来のために、互いに役割分担して共存し、協力し合って、子どもたちの成長を守り、子孫を繁栄させました。

縄文の女神像に象徴されるように、日本人は1万年以上もの昔から、女性にある種の神秘を感じ、女性を大切にしてきました。
男女とも互いに対等であり、互いの違いや役割をきちんと踏まえて、お互いにできることを相手のために精一杯こなしていこうとしてきました。
そうやって日本人は、家庭や村や国としての共同体を営んできたのです。
この知恵のことを「結び」といいます。
日本人の知恵は、はるかに深くて温かいのです。


※この記事は2022年5月の記事のリニューアルです。
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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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