■□■━━━━━━━━━━━━━■□■5月の
倭塾は、6月25日(日)13時半から、場所は
富岡八幡宮の婚儀殿です。テーマは「これからの日本を考える」です。
宇都隆史前参議院議員のお話もいただきます。参加自由で、どなたでもご参加いただくことができます。皆様のふるってのご参加をお待ちしています。
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https://www.facebook.com/events/374448264825083■□■━━━━━━━━━━━━━■□■水害被害は、待ってくれません。 そこで考案されたのが、地下に世界最大の巨大放水路を造るというものでした。
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画像出所=https://40papa.com/outdoor/28592/
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日本をかっこよく!上の写真、何の写真だと思われますか?
宇宙ステーション、映画「指輪物語」のスタジオセット、機動戦隊ゴレンジャーの秘密基地・・・
実はこの写真は、関東の地下にある巨大調圧水槽です。
はんぱな大きさではありません。
幅78メートル、長さ177メートル、高さは18メートル、サッカースタジアムがまるごと一個、すっぽりはいる大きさです。
内部はまるで、秘密の地下パルテノン神殿のようです。
写真に写っている柱は、1本が奥行7メートル、幅2メートル、重さは約500トン。
このような巨大な柱が、この水槽には59本も立っています。
この巨大水槽は、
首都圏外郭放水路とよばれる地下巨大設備の一部です。
首都圏外郭放水路は、平成18(2006)年に完成した施設で、そのスケールはまさにギネス級です。
洪水を取り込む杭(くい)は、直径が30メートル、深さは70メートルに達し、そんな巨大な杭(くい)が、5本、
地下50メートルのところを横に伸びる地底トンネルは、直径10メートル、全長6.3キロの巨大トンネル、
冒頭の重量500トンの柱がそびえるマンモス水槽・・・
集めた水は、最後には地下から汲み上げて、江戸川に排水するのですが、そのエンジンの出力は、1万4000馬力、なんと25メートルプールいっぱい分の水を、たった1秒で排水してしまうという、すごいものです。
すべてがギネス級の世界最大級の地下放水路なのです。
設置されているのは、埼玉県春日部市の国道16号線の地下、深度50メートルのところです。
このあたり一帯は、もともと荒川と利根川にはさまれていて、薄いお皿のように土地が低くなっているところです。

下の図は、関東地方の貝塚の分布とそれから推定した縄文時代の海岸線ですが、図の赤い四角のあたりです。
このあたりが、当時の陸と陸に挟まれた隘路となっていたことがおわかりいただけようかと思います。
こうした地形から、このあたり一帯は、昔から大雨のたびに水が出るところでした。
関東地方の貝塚の分布とそれから推定した当時の海岸線

越谷市には、下間久里(しもまくり)、上間久里(かみまくり)という地名がありますが、これは大雨が降ったときに、着物の裾を膝の下までまくらなきゃいけなかったところが下間久里、モモのあたりまでまくらなきゃいけなかったあたりが、上間久里と名前がついたものです。
関東地方の開拓は、はじめ平安時代に新田の開発が行われはじめたのですが、それでも戦国時代くらいまでは、広大な沼地となっていました。
この耕地化が進んだのは、徳川さんが江戸に城を構えるようになってからのことです。
徳川家康は、まだ政権が豊臣方にある時代から、江戸の治水事業に本格的に乗り出し、まず◯◯堀と呼ばれる排水路を数多く開削し、それと同時に農民の移住と定着を進めました。
この江戸時代の治水方式は、中心となる農地や村落を守るために、上流に、大遊水池を設け、大雨が降った時は、その遊水池一帯が被害を被ることで、逆に村落や江戸市中を守るというものでした。
水がいっきに流れてくれないというのなら、どこかに水を逃がして、そこに貯めるしかないわけですから、ある意味、これはたいへんに理にかなったやり方です。
ところが、江戸期に3000万人くらいだった日本の人口は、明治にかけて爆発的に増加していきました。
このため、かつて遊水地であったところも農地として開墾され、それだけでなく人が住むようにさえなったのです。
もともと水が出るところなのです。
だからそこらあたり一帯を非常時の遊水池にしていたのです。
あくまでも非常時用ですから、通常は水は出ていません。
普通の土地です。
だからそこに田ができる。人が住む。
農地なら、まだいいのです。
土地自体に貯水能力があるからです。
けれど宅地にされてしまったら、貯水能力さえも失われる。
その結果、埼玉県東部は、大雨のたびに水没する、ひどい状態となったのです。
下の写真は、水屋(みずや)といって、当時の各農家などが、大雨時に避難するために自分の屋敷の土地内に作った避難施設です。
写真で、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、地上150センチくらいまで、石組みで土台が作られていて、がっしりとした丈夫な二階建ての家が、その上に建てられています。
こうした避難用の建物が、つい最近まで使われていたのです。
水屋

こうした事態は、なにも埼玉県東部に限ったことではありません。
全国各地に、同様の問題は起こりました。
そこで考案されたのが、放水路です。
大雨のときに、雨水をまとめて、どこかの川に流すのです。
こうしてできたのが、北海道ならいまの新釧路川は、もともと放水路として作られた者ですし、東北では新北上川、東京の荒川放水路、名古屋の庄内川放水路、関西の新淀川、広島の太田川放水路などです。
他にも日本中にたくさんの放水路があります。
これらは地上にできた人工の川です。
ところが埼玉県東部で起きた問題は、すでに宅地化が進み、いまさら用地の買収をするとなると、その費用が巨額になり、しかも地権者との交渉のために、どれだけの期間がかかるかわからない、という問題でした。
けれど水害被害は、待ってくれません。
そこで考案されたのが、地下に世界最大の巨大放水路を造るというものだったのです。
それにしても、ジャンボジェット機のエンジンを応用した「1万4000馬力のタービン」って。。。
す、すごい!!
ちなみに、この施設、見学会も行われています。
個人でも、団体でもOK。
見学会参加は、無料です。
ただし、圧巻の「調圧水槽見学」は、階段約100段を自力で往復歩行できる方に限るとか。
よろしかったら、お子様やお孫さん連れで、見学にいかれてはいかが?
◆国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所
首都圏外郭放水路ホームページ
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/index.html※この記事は2013年6月の記事の再掲です。
日本をおもしろく!お読みいただき、ありがとうございました。
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