ひふみよいむなやこと



いちばんたいせつなことは、ほんの身近な、私たちの足元にあります。
これを古い言葉で「元々本々(もともとをもととす)」といいます。
流行に流され現実を失うのは愚かなことです。「不易流行」です。

20190627 ひふみ祝詞
画像出所=https://aromabreeze.net/jindaimoji/post-361
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日本をかっこよく!

我が国では1〜10までの数字を数えるとき、
昔ながらの「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、むぅ、なな、や、ここ、とぉ」という言い方と、
「いち、にぃ、さん、しぃ、ご、ろく、なな、はち、くぅ、じゅう」という言い方があります。
これを数詞(すうし)といいます。

江戸時代でもそろばんなどでも明らかなように、算術に使うときは「いち、にぃ、さん、し・・・」の方を用います。
昔も今も「1+2」を、「ひぃたすみぃ」とは言いません。
「いちたすに」です。

にもかかわらず、ほんの少し前までの日本では、小学校にあがる前の子どもたちに数を教えるときは「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ・・」という数え方を教えました。
算術では「いちたすに」なのに、どうして「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ・・」という言い方を教えたのかというと、そこに実に深い意味があります。

このことは、以前にも一度当ブログに書いているのですが、あらためて考察してみようと思います。

日本は3万八千年前にはすでに葦舟を駆って外洋を自由に航海し、磨製石器を用いていた世界最古の国です。
なぜここで磨製石器なのかというと、なんの加工もしていないただの自然石を道具として用いたのが旧石器時代、石を人が使いやすいように加工して用いるようになったのが新石器時代だからです。

少し考えたら誰にでもわかることです。
外洋で大きな魚を釣り上げたら、その魚をさばく必要があります。
そのために現代ではよく切れる包丁が用いられますが、まだ金属器がなかった時代です。
その時代にどうやって大型の魚をさばいたのかといえば、そこで用いられるのは黒曜石しかありません。
黒曜石は、ガラスの破片と同じで、ものすごくよく切れる刃物として用いることができるのです。
そしてその黒曜石が、海の向こうにある神津島産のものが、3万8千年前の地層から複数箇所、日本本土で出土しているのです。

世界で磨製石器が用いられるようになったのは、いまからおよそ8千年前の古代シュメール文明からです。
ところが日本では3万8千年前にはすでに磨製石器が使われていたのです。
黒曜石が最初に発見されたのは昭和21年で、群馬県の岩宿遺跡からおよそ3万年前のものが発掘されました。
ところがその後の調査で、さらに下層から、およそ3万5千年前の磨製石器が発掘されています。
さらに沼津と長野から3万8千年前のものが発見され、他にも日本国内で秋田から奄美群島まで135箇所から400点余の磨製石器が出土しています。
いずれも3〜4万年前のものです。

英国の考古学者のJ・ラボックは、このことを踏まえて、
「日本列島の住民は世界に先駆けること二万数千~三万年前に新石器時代を迎えていた。」 
と述べています。

世界の磨製石器の出現は、紀元前9千年~7千年頃に出現しますが、突出して早い時期に出現したものとして、
 シベリアの2万年前のもの
 ロシア南西部の紀元前1万6000年前のもの。
 オーストリア中部の2万9000年〜2万1500年前のもの
など数例があります。
ところがこれらは異常に早過ぎる磨製石器であり、作成経緯等が研究されているのですけれど、すべて不明です。
しかも、その磨製石器を用いていた種族が、その後どのような文明の遷移をたどって現代に至っているのかも、まったく不明なのです。
つまり、文明が接続していないのです。
ということは、これら磨製石器は「どこかから偶々持ち込まれたもの」としかいえないのです。

ところが日本の磨製石器は、3万8千年前から2万年前まで、時代ごとのものが存在し、それが1万6500年前の縄文式土器へと接続して現代に至ります。
つまり、歴史がちゃんと連続しているのです。

ちなみに長野県の貫ノ木(かんのき)遺跡から出土の55点、および沼津で発掘された3万8千年前の磨製石器は、いずれも伊豆諸島の神津島から運ばれてきた黒曜石です。
万年の単位で歴史を考えるときには、海面の高さがいまよりも140メートルも低く、いま大陸棚を形成しているところが、かつては陸地だったりもしたのですが、伊豆半島から神津島までは、水深が深いため、神津島が本州と陸続きになったことはありません。

つまり3万8千年前に日本列島に住んでいた私達の祖先は、伊豆半島と神津島を往復して、しかも石を運んでくるということができるだけの船と航海術をすでに持っていたことになります。

縄文時代の船としては、全国で約160艘がこれまでに発見されていますが、それらはいずれも大木をくり抜いた丸木舟です。
しかしそれ以前の船は、発掘されていません。
けれど、木をくり抜かなくても、日本中、どこにでも葦が生えています。
葦は水に浮き、しかも細くて加工が容易です。
これを束ねて船にしたものが葦舟で、これにアウトリガーを付けると、十分に外洋航海に耐えるものになります。

なぜ磨製石器にこだわるかというと、ここにも理由があります。
一般に世界中の民族がもつ神話は、磨製石器登場の時代に作られたとされているからです。

猿の集団がそうなのですが、だいたい50頭くらいの集団なら、「アーウー」とか「キッキキー」といった擬態語だけでおよその意思疎通はできてしまうのだそうです。
ところが集団が150名を超えるようになると、集団内で社会的分業が始まり、互いの意思疎通のために言語が発達するようになるのだそうです。
とりわけ男性は狩りのために村を長期間留守にしたりしますが、そうなると村に残った女性たちにとっては、夫の浮気が一番の気がかりで、そのため特に情報交換のための言語中枢が発達したのだとか。
いまでも口喧嘩で、女房に旦那が勝てないのは、人類誕生以来の歴史が土台になっているわけです(笑)。

そしてそれだけの集団が一緒に生活をしていくためには、自分たちがなぜここに集って生活しているのかの理由としての神話の存在が不可欠になるとされます。
社会の保持のために神話的思想が必要になるというわけです。

そして集団組成のための神話が発達するようになると、集団の規模は食料をもたらすことができる範囲で、次第に大きなものとなっていきます。
西洋ではこれが城塞都市国家の形成へと繋がり、それよりももっと古い時代から続く日本では、人々の暮らす集落の中で、「イエ」が建ち、「ムラ」が形成されています。
そして「ムラ」の向こうにはお腹を満たすための「ハラ」があり、その向こうには「ウミ」や「ヤマ」があります。
「ウミ」や「ヤマ」の向こうには「シマ」があり、そこにはまた別な「ムラ」があります。
互いの「ムラ」が婚姻等でつながると、複数の「ムラ」が集まって「クニ」になります。

カタカムナですと、
「イエ」 移り変わって伝わるもの
「ムラ」 広場のある場
「ヤマ」 たくさんあって水をもたらすもの
「ウミ」 生命や身が生まれいづるところ
「シマ」 生活のためのエリア
「クニ」 集まって力をもつもの
といった意味になります。

ちなみに中国の辺境の少数民族や、ネパール、インドのタミール地方などでは、いまも数詞は「いち、にぃ、さん、しぃ、ご、ろく、なな、はち、くぅ、じゅう」で、これら二音の単語は、日本語と意味が同じです。

神話が生まれると、人々は神話の神々と交信しようとします。
そのために東アジアに広く用いられていたのが、鹿骨占いや亀甲占いです。
骨を焼くと、そこにひび割れができます。
そのひび割れのパターンで、神様のご意向を知ろうとしたわけです。

ひび割れは、縦の一本割れから、二本割れ、ギザギザ割れ、穴が開くもの等々、様々な形を生みますが、私達の祖先は、それらを50パターンに分け、それぞれに音を割り当てました。
そしてこの50音は、「あいうえお」の母音と、「かきくけこ、さしすせそ」といった母音+子音による音とで形成されました。
そして一音ごとにひび割れのパターンが当てられ、そのパターンが次第に記号化して、これが文字になりました。
いわゆる神代文字のはじまりです。

ただし、「/」や「\」といった記号だけでは、その意味がわかりません。
そのために、一音ごとの「意味を解説するための記号」も開発されました。
それがホツマ文字やカタカムナなどの記号文字です。
神代文字には、ひび割れのパターンそのものを示す文字と、これを解説するための記号文字の二種があるのはこのためです。

なかでも大切な音は、そのままものを数えるときに使う数詞にすることで、誰もが共通する文化にまで育てています。
それが「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・」の数詞です。
ですから昔は「ひふみ」といえば、そのまま神様のお言葉とさえも言われたものです。

では、その「ひふみよ・・」はどのような意味を持っているのかと言うと、これは歴史が古いだけに諸説あります。
たとえば「ひふみ」は、それぞれ火・風・水を意味するという説もありますし、「ひ」は太陽だという説もありますし、あるいは根源のことという説、開くことを意味するという説、どれもそれぞれに歴史があり、説得力があります。
そうしたなかで私なりに納得できた意味が次のものです。

「ひ」 霊(ひ)のことです。
「ふ」 生(ふ)のことです。霊(ひ)から生命が誕生します。
「み」 身(み)誕生するのが「身」です。
「よ」 世(よ)身が織りなす世です。
「い」 齋(い)「いつき」とも言いますが、不浄を清めた神聖なという意味です。

「む」 無(む)は神聖を意味し無であることによって億兆に心が通います。
「な」 菜(な)食のことです。
「や」 家(や)住まいです。
「こ」 子(こ)子供たちです。
「と」 戸(と)戸がひらきます。

昔は子供が2歳か3歳くらいになると、たとえばお風呂から出るときに、お父さんに「十数えたら上がって良いよ」などと言われて、子どもたちは熱心に指を折りながら「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ、むぅ、なな、やぁ・・・」と数えたわけです。

「ひふみ」は、「霊(ひ)から生まれる身」を表します。
つまり生きているこの身は、本体が霊(ひ)で、身は霊(ひ)の乗り物だということになります。
だから、何事も「ひ」が上、身(み)が下です。

いまでも神社参拝では、二礼二拍手一礼をしますが、二拍するとき、合わせた両手から、右手をちょっとだけ(左手の第一関節くらいまで)引きます。
これも「ひ(霊)」が上、「み(身)」が下という考え方から来ています。
神様と対話するのは、肉体である「み(身)」ではなく、自分の「ひ(霊)」だからです。

左大臣と右大臣では、左大臣の方が上席となります。
なぜなら「左」は「霊(ひ)」だからです。

明治のはじめには、太政官に右院、左院、正院が置かれましたが、これなども「ひ」と「み」の関係がわかると、その趣旨が普通に理解できます。
つまり、「ひ」と「み」の関係は、我が国古来の文化なのです。

このように、日本語の50音には、それぞれに意味があります。
せっかくですので、「と」のあとを記すと次のようになります。
「ひふみよい むなやこともち
 ろらねしき るゆゐつわぬそ
 をたはめく かうおえにさり
 へてのます あせゑほれけ」
これが大祓詞(おほはらいことば)の「ひふみ祝詞(のりと)」で、限りない神の弥栄を言い表したものといわれています。

ちなみに「も」以下は次のようになります。
「も」 百(も)
「ち」 千(ち)
「ろ」 萬(ろ)よろずとも言います。
「ら」 億(ら)
「ね」 兆(ね)
「し」以下はご興味あったらご自身でお調べいただければと思います。

要するに、「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・」という数詞は、それがそのまま祓詞(はらいことば)になっていることに加え、すくなくとも1〜10までを知ることで、そのまま日本文化の奥底を知ることになるわけです。
これを物覚えの良い幼いうちに魂に叩き込む。
そのために幼な子に、計算用の「いち、にぃ、さん」とは別に、というより先に、「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・」と教えたのです。

いちばんたいせつなことは、ほんの身近な、私たちの足元にあります。
これを古い言葉で、
「元々本々(もともとをもととす)」
といいます。

流行に流され現実を失うのは愚かなことです。
「不易流行」です。


※この記事は2022年7月の記事のリニューアルです。
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コメント

ぽんちゃん

日本に「石器時代」はない
というのが、戦前の通説でした。
偉い学者は、みんな、そう、言ってました。

でも、納豆屋さんが、覆したんだよね?


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小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

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