日本に帰化した漢の皇帝



ひとりの力は小さくとも、みんなが集まれば、それは時代を変える大きな、そして偉大な力になるのです。


伝教大師・最澄
20220624 最澄
画像出所=https://www.tendai.or.jp/daihoue/saicyo/dengyo_02.html
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)



人気ブログランキング
応援クリックこちらから。いつもありがとうございます。

日本をかっこよく!

日本は、初代神武天皇によって長期備蓄のできるお米を使って、全国がひとつ屋根の下に暮らす家族のように互いに助け合って生きる国として建国された国です。
そして第十代崇神天皇によって疫病が克服され、誰もが安心して暮らせる国の基本が築かれました。
さらに第十六代仁徳天皇によって大規模な土地の造成が行われて豊かな国となり、日本は東亜の超大国となりました。

その仁徳天皇のひとつ前の天皇が応神天皇です。
そしてこの時代に日本にやってきたのが、漢王朝最期の皇帝の孝献帝の直系の一族です。

孝献帝という名は、孝献帝の死後に贈られた諡号(しごう)です。
生前の名は劉協(りゅうきょう)です。
漢の大帝国を建国した劉邦の末裔で、後漢の最期の皇帝だった人物です。

『三国志』をお好きな方ならご存知のことですが、後漢の末期に、董卓が劉協を皇帝に擁立するのですが、その董卓が死んでしまいます。
このあと劉協を保護したのが魏の曹操で、魏は、後漢の皇帝を担ぐことで中華統一の正統性の証としたのです。

ところが曹操の死後、曹操の息子の曹丕(そうひ)は、劉協が40歳のときに皇帝の座から引きずり下ろし、自分が魏の皇帝になってしまいます。
このときに用いられた皇位継承の形は「禅譲(ぜんじょう)」と呼ばれ、以後、中華における王朝交代の手本とされるようになりました。

さて、こうしてついに漢王朝の幕が降りたのですが、どっこい劉協は生き残ります。
曹丕によって西安近くの山里である山陽に封じられ、そこで54歳の生涯を終えるのです。

息子が早逝していたため、孫の劉康(りゅうこう)が跡を継いで山陽公となり、その子の劉瑾(りゅうきん)、劉秋(りゅうしゅう)と山陽公が受け継がれるのですが、その劉秋は、チャイナの史書によれば、309年の永嘉の乱のときに、匈奴の汲桑(きゅうそう)将軍によって殺害された・・・ことになっています。

ところがどっこい、劉の一族はしぶとい。
一説によれば、争いの最中に劉秋は一族を連れて山陽を脱出し、朝鮮半島を経由して、東の海の向こうにある扶桑国(ふそうのくに)と呼ばれる理想郷に向かったというのです。
その扶桑国が日本のことで、それが第15代応神天皇の御世のことです。

このときのことについて日本書紀は、
「倭漢直の祖の阿智使主(あちしのぬし)、其の子の都加使主(ちゅうがしのぬし)は、己の党類十七県の人々を率いて来帰した」
と記しています。

劉協の「協」は、チャイナ語で「jing」と発音されますが、日本人が聞くと「ち」に聞こえます。だから「阿智(あち)」。
劉秋の「秋」は、チャイナ語で「qiu」で、日本人が聞くと「ちゅう」に聞こえます。だから「ちゅう」が使いとともにやってきたという意味で都加使主と表記されたのかもしれません。

そしてこの一族は、日本において応神天皇の庇護のもと、近江の坂本の地で帰化し、一族の名を、劉協の「協」の字から、「三つの力を合わせる」三津首(みつのおびと)と名乗るようになりました。
(「首(おびと)」は、古代における有力者への尊称です。)

そしてこの三津首氏の直系の子孫から誕生したのが、三津首百枝(みつのおびとももえ)で、この人が後の平安時代のはじめに比叡山を開いた伝教大師最澄となります。
そしてその伝教大師の門下生から、法然や親鸞、栄西や道元、日蓮などの高僧が誕生したことは、皆様御存知の通りです。

学校の教科書では、「日本は遣隋使や遣唐使を出して、高い文化を持ったチャイナから様々なことを学んだ」としています。
要するに、チャイナは進んでいて、日本はオクレていた、というわけです。

ところがどっこい。
実際には、日本からチャイナに渡った人よりも、チャイナから日本にやってきた人の方がはるかに多いし、その人たちのほとんどすべてが日本に帰化しています。
帰化というのは、「帰るところを化(か)える」という意味で、外国で生まれ育ったけれど、日本人となり、日本を祖国として末代まで生きていこうとした、ということです。

逆に、日本からチャイナに渡り、向こうで帰化した人というのは、あまりいません。
阿倍仲麻呂のように、日本に帰りたいと再三、唐の皇帝に申し出るのだけれど、仲麻呂があまりに優秀だからとそれが許されず、結果、唐に骨をうずめた人もいますけれど、ごく限られた少数です。
一方、日本にやってきたチャイナ人は、多くがそのまま日本に帰化しました。

そもそも古代において、チャイナが理想の国としたのが、日本です。
ですから彼らは日本は、蓬莱山とか、扶桑の国と呼ばれていました。

他にも、東瀛(とうえい)、方壷(ほうこ)といった名称でも呼ばれていました。
この三つの用語を合わせて「東方の三神山」といいます。
いずれも日本を指す言葉です。
日本は、平和で豊かで誰もが安全に安心して住める、まるで極楽浄土のような国として、当時のチャイナを筆頭に、世界の諸国から、まさに理想の神仙の国とされてきたのです。

ですから世界中から多くの人々が来日し、また日本に住むようになっています。

よく「日ユ同祖論」という言葉を聞きます。
実はこの論は、日本がチャイナ文化によって成立した国であるとか、半島人によって制圧されて日本ができたとか言った説と同じ延長戦上にあります。
要するに、他国に進んだ文化があり、日本がオクレた国であったから、征服され、征圧されて日本に元からあった文化が失われ、それらの国の文化に日本が染まったのだ、としているものであるからです。

けれど、いつ日本の風俗習慣がチャイナやコリアやユダヤ人と同じになったのでしょうか。
なるほど日本には、彼らの文化の痕跡となるものは現存します。
例えば、弥生時代の埴輪に、明らかにユダヤ人の服装と思われるものがあったり、ペルシャの仮面があったり、京都の祇園祭も、元々はシオンのお祭りでユダヤ教に関係しているという説もあります。
また、チャイナで秦の始皇帝がチャイナ全土の共通文字として採用した漢字が日本でも使われています。
コリアによって制圧されたという、例えば騎馬民族渡来説などは、今では完全に否定されていますが、半島に古墳があったりもしています(ただし日本の古墳の方が200年以上古い)。

しかしこれらのことを考えるときには、「文明はひとたび衝突したら、どちらか一方が完全に滅ぶまで衝突は続く」という文明衝突論を踏まえる必要があります。
今、世界中の服装が洋服化していますが、西洋文明が世界を覆うことによって、世界中の諸国が自国の習俗としての服装を捨て、洋服貸しています。
これは日本も同じです。古きよき日本は失われ、日本もまた急速に洋風化しています。

これは文化(カルチャー)の話ではありません。文化はいわゆるその国のソフトウエアのようなもので、文明(シビリゼーション)は、ハードにあたる側面です。
文明が衝突すると、オクレた側のハードは滅びるのです。
このことは、現在進行形で起きていることであり、古代においても近世においても同じです。

では、仮にユダヤやチャイナやコリアに進んだ文明があったとして、いつ日本の建築や服装や生活習慣がそれらの国と同じになったのでしょうか。

日本に起きたことについては、「文明が衝突しても、オクレた文明が進んだ文明社会にやってきたときは、その痕跡が残る」という原則に従ったものと考える方が納得できます。

まるで神仙の国のような素晴らしい国があった。
そこにオクレた文明、殺し合いなどが多発する民族がやって来て、平和に豊かに安全に安心して暮らすことができるようなった。
そしてそのお礼のためにと、自分たちの祭りなどを奉納した・・と考えると、このことは現実的なものとなります。

例えば、我々が極めて進んだ文明を持つ宇宙連合(例えばの話です)に招待されたとします。
そこでたいへんな厚遇を受けて、ものすごく幸せに暮らすことができるようなった。
当然感謝の心が芽生えます。
そしたら、普通に人の気持ちとして、日本のお祭りを他の星々の人々に披瀝したり、あるいは梅干しなどの地球の特産品を皆様にふるまったりするのではないでしょうか。

同祖論などに飛びつく前に、冷静に自分の頭で常識を働かせて考えていただきたいのです。

こうしてやってきた外国人が、9世紀に書かれた当時書かれた『新撰姓氏録』によると、なんと当時の人口の3分の1が外国からの帰化人とされています。
いまで言ったら、およそ4千万人が外国人であるようなものです。
ご近所を見渡せば、3件に1軒が外国からの帰化人だというわけです。

ところがそんな状況にあってなお、日本は平安中期には、紫式部や清少納言が活躍する、平和で豊かで安定した国柄を実現しています。
なぜそのようなことができたのかといえば、答えは明確です。
平安時代に至る前、飛鳥時代から奈良時代にかけて、我が国が日本書紀を編纂しました。
日本書紀により、日本は、神話の昔からの日本人の理想や考え方を明確にし、これを国民教育に活かして行ったのです。
つまり日本は、教育によって、本物の理想国家を実現しようと努力を重ね続けてきた歴史を持つのです。

現代はどうでしょう。
外国のものばかりをありがたがり、本来あるべき自分たちの国を誰もが豊かに安全に安心して暮らせる国にしていこうとする気概を忘れてはいませんか。
そんな現代日本人の姿を、我々のご先祖が見たら、どのように思うでしょうか。

伝教大師・最澄が開祖の比叡山に、「伝教大師童形像」という像があります。
根本中堂の正面脇に建っています。トップの写真の向かって左側の立像です。

この像は、全国の小学生がひとり1円ずつ(建立は昭和12年で、当時の1銭ずつ)を出し合ったお金で建てられたものです。
子供のたった1円が、立派な銅像になっているのです。

ひとりの力は小さくとも、みんなが集まれば、それは時代を変える大きな、そして偉大な力になるのです。



日本をおもしろく!

お読みいただき、ありがとうございました。
YOUTUBE
日本の心をつたえる会チャンネル
むすび大学チャンネル


人気ブログランキング
↑ ↑
いつも応援クリックありがとうございます。


講演や動画、記事などで有償で活用される場合は、メールでお申し出ください。
info@musubi-ac.com

『ねずさんのひとりごとメールマガジン』
登録会員募集中 ¥864(税込)/月  初月無料!


【次回以降の倭塾】
第102回倭塾 2023/6/25(日)13:30〜16:30 富岡八幡宮 婚儀殿2F
靖国神社昇殿参拝 2023/8/12(土)10:30〜12:00
第103回倭塾 2023/9/23(土)13:30〜16:30 富岡八幡宮 婚儀殿2F
第104回倭塾 2023/10/21(土)13:30〜16:30 富岡八幡宮 婚儀殿2F

                       
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
\  SNSでみんなに教えよう! /
\  ねずさんのひとりごとの最新記事が届くよ! /

あわせて読みたい

こちらもオススメ

コメント

湘南童子

拍手
👏👏👏

日本国の大天命が完うされますように
地球を司る神々様 ありがとうございます
八百萬の大神達樣 ありがとうございます
非公開コメント

検索フォーム

ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう)

Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
連絡先: info@musubi-ac.com
昭和31年1月生まれ
国司啓蒙家
静岡県浜松市出身。上場信販会社を経て現在は執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」を運営。
ブログ「ねずさんの学ぼう日本」を毎日配信。Youtubeの「むすび大学」では、100万再生の動画他、1年でチャンネル登録者数を25万人越えにしている。
他にCGS「目からウロコシリーズ」、ひらめきTV「明治150年 真の日本の姿シリーズ」など多数の動画あり。

《著書》 日本図書館協会推薦『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』、『ねずさんと語る古事記1~3巻』、『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』、『ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀』、『ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密』、『日本建国史』、『庶民の日本史』、『金融経済の裏側』、『子供たちに伝えたい 美しき日本人たち』その他執筆多数。

《動画》 「むすび大学シリーズ」、「ゆにわ塾シリーズ」「CGS目からウロコの日本の歴史シリーズ」、「明治150年 真の日本の姿シリーズ」、「優しい子を育てる小名木塾シリーズ」など多数。

講演のご依頼について

最低3週間程度の余裕をもって、以下のアドレスからメールでお申し込みください。
むすび大学事務局
E-mail info@musubi-ac.com
電話 072-807-7567
○受付時間 
9:00~12:00
15:00~19:00
定休日  木曜日

スポンサードリンク

カレンダー

10 | 2023/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

最新記事

*引用・転載・コメントについて

ブログ、SNS、ツイッター、動画や印刷物作成など、多数に公開するに際しては、必ず、当ブログからの転載であること、および記事のURLを付してくださいますようお願いします。
またいただきましたコメントはすべて読ませていただいていますが、個別のご回答は一切しておりません。あしからずご了承ください。

スポンサードリンク

月別アーカイブ

ねずさん(小名木善行)著書

ねずさんメルマガ

ご購読は↓コチラ↓から
ねずブロメルマガ

スポンサードリンク

コメントをくださる皆様へ

基本的にご意見は尊重し、削除も最低限にとどめますが、コメントは互いに尊敬と互譲の心をもってお願いします。汚い言葉遣いや他の人を揶揄するようなコメント、並びに他人への誹謗中傷にあたるコメント、および名無しコメントは、削除しますのであしからず。

スポンサードリンク