法隆寺



国を護るということは、単に戦いに勝つことを意味するのではありません。
日本という国の国柄を、世界を前に堂々と主張する。
これもまた、たいせつな国防です。

20230716 法隆寺
画像出所=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E9%9A%86%E5%AF%BA
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法隆寺の五重塔や金堂、後ろにある大講堂、そして有名な夢殿。
これら建物は、いまでは黒っぽくなった木造建築物ですが、創建当時は、いずれも「丹(に)」と呼ばれる緋色に塗られていた施設です。
つまり、一歩法隆寺の伽藍に立ち入れば、そこは真っ赤に彩られた、まさに神仙の世界そのものであったわけです。

大講堂にある薬師三尊像(こちらは平安後期の作)もまた黄金で塗装されたまさに黄金仏であり、こちらもまたこの世のものとは思えないほどの美しさと荘厳さに満ちたものとなっていました。

法隆寺が創建されたのは推古天皇15年(607年)のことです。
当時の日本は、東洋の大国であり、海洋国家として世界中の国々に進出していた時代です。
そしてその日本は、蓬莱山(ほうらいさん)、扶桑(ふそう)の国、東瀛(とうえい)の国などと呼ばれ、神仙の住む国であり、また神仙でなければたどり着くことのできない理想の国とされていた時代です。

ですからこの時代、たくさんの世界の聖人や君主からの使いが日本にやってきています。
そして彼らを案内する、いまでいうなら迎賓館として建てられたのが法隆寺です。
だから法隆寺は、この時代における最高の建築技術を駆使して建てられています。

たとえば東王門から西王門に続く通路は、真ん中が石畳で、その両脇が土の道になっています。
足が汚れないように、石畳を敷く例は世界中にありますが、日本は高温多湿の国です。
夏暑く、冬は寒い。
石は、夏は太陽に加熱されて熱石となり、冬は凍石となって周囲の温度を下げます。
そこで、通路の両側を土の道としています。
土は、夏は冷たく、冬は温かいからです。
さらに回廊の両側の塀もまた、漆喰(しっくい)を塗らず、土壁にしています。
漆喰ですと、夏暑く、冬は寒い。
ところが土壁ですと、夏は冷たく、冬は温かい。
つまりあの通路は、天然のエアコン設備になっているのです。

そういうところに外国からの賓客を案内しています。

普通、外国からの賓客というのは、豪華絢爛な石造りの建物に案内し、そこで豪華な食事と、若くて美しい女性たちでおもてなしをするのが、世界の通例です。
権力者が、自己の権力の大きさを、そうした華美な演出で示そうとしたからです。

ところが日本では、それが仏教のお寺の法隆寺であり、そこにあるのは強い権力ではなく、静かな権威です。
目を見張る美しい光景、静かな寺院、どこからか聞こえる読経の声。お香のかおり。

そして施設の名前が法隆寺です。
法隆寺は、昔は「灋隆寺」と書いたのです。
「灋」という漢字は、体が鳥で足が四本ある怪物を、水に流し去るという意味の会意象形文字です。
つまり「法隆寺」という名は、ひとことでいうなら「悪者を入れない」という意味の名前です。

ということは、外国からの賓客(神仙や君主の使い)に、我が国は堂々と「悪者は入れない」と宣言していたわけです。
しかも彼らに贅沢を与えず、静謐の中にある高いレベルの技術を、堂々とそこに示していたのです。

世界中どこでも権力者がほしいままに民衆の命や財を奪い、自己の贅沢な暮らしだけをほしいままにしていた時代にあって、日本では、民衆を八百万の神々と規定し、高度な技術によって、民衆が静謐に暮らし、安全で安心で豊かな国を築いている。
「だから悪者は入れません。
 あなた方は大丈夫ですか?」
と、日本は海外からの賓客に堂々と問うているのです。

媚びず、怖じず、威張らず、それらを静かに見せる。
まさにそこは神仙の国であったのです。

五畿七道という言葉があります。
七道は、東北道や東海道、山陽道といった街道筋のことで、全国の諸国を意味します。
五畿は、畿内にある摂津、山城、河内、大和、和泉の5国のことを意味します。

その五畿には、平安時代初期、およそ1200の豪族が住んでいましたが、このうちの400が、外国からの渡来人です。
その渡来人の中には、もちろんチャイナやコリアの人々もいたでしょうけれど、遠くペルシャや、イスラム、ヨーロッパからも、渡来し、帰化した人たちが住んでいました。
またチャイナで滅ぼされた王朝の末裔たちは、平和を求めて日本にやってきて帰化していました。
斉王の末裔の温義氏、秦の始皇帝の末裔の秦氏、後漢の光武帝の末裔の後漢の高安氏などが、最後にようやくたどり着いた安息の地が、まさに日本であったのです。

帰化というのは、帰るところを日本に化(か)えた人たちという意味です。
海外の国に生まれながら、日本に移り住み、日本人となって、日本人として、我が国の歴史の一員となることを選択した人々です。

現代日本では、いたずらに外国人に媚びて、労働者として迎え入れたり学生として迎え入れ、国がその生活の保障まで行っています。

けれどたいせつなことは、ここは日本であるということ。
日本で暮らすのなら、他人に迷惑をかけない、悪さをしない、おかしな政治活動をしない等々、日本は彼らに最低限のモラルとマナーを求めなければなりません。
ましてスパイ活動し放題の情況をいつまでも野放しにしておくわけにもいきません。

国を護るということは、単に戦いに勝つことを意味するのではありません。
日本という国の国柄を、世界を前に堂々と主張する。
これもまた、たいせつな国防なのです。


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国司啓蒙家
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