ヨモツシコメと女軍



現代日本では、結婚しても女性たちは外で職場という名の戦場に狩り出されています。働くことが良くないことと申し上げているのではありません。共稼ぎをしなければ暮らしていくことができない社会というものが、本当に国民にとって幸せな社会といえるのかどうか。私達は原点に還って考えてみなければならないのではないでしょうか。


20240228 桜と参道



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ヨモツシコメは、日本神話に登場します。
『古事記』では豫母都志許賣、『日本書紀』では泉津醜女と書かれています。
どちらも読みは同じです。
黄泉の国でイザナギを追ってきたヨモツシコメに向けて、イザナギが食べ物を投げ与えると、彼女たちは命令されていた「イザナギを追う」という目的を忘れて、その食べ物に取り付いたと記述されています。

このヨモツシコメについて、解釈は様々なものがあります。
何千年も、もしかしたら何万年も前からある神話なのです。
様々な解釈があってあたりまえですし、むしろ様々な解釈がないほうがおかしいとさえいえます。
ところが、このヨモツシコメが、神武東征の物語の伏線になっていることを指摘する人は少ないようです。

どういうことかというと、神武天皇は畿内に入られてから、ナガスネヒコの襲撃を受けて一旦は兵を引き、その後、態勢を整えて、再びナガスネヒコの軍を目指します。
そこでエウガシを討ったあと、天皇は菟田(うだ)の高倉山(たかくらやま)の嶺(いただき)に登られて敵の様子を見ようとされます。
すると丘の上に、すでに敵の大軍勢があったというのですが、その大軍勢は、
「女坂(めさか)に女子の軍隊を配置し
 男坂(おさか)に男性の軍隊を配置していた」
というのです。

敵はどうして、戦いを前にして、女ばかりの軍勢と、男ばかりの軍勢に別けていたのでしょうか。
男女の混成軍でも良いはずですし、そもそも戦いは男がするものです。
女性を最前線に出して戦わせるというのは、あまり考えられないことです。

現代でも、街宣デモなどで、女性ばかりでデモが行われることはあります。
余程の理不尽を前にして、女性たちが「戦い」を選択しているわけです。
では、神武天皇の東征を記紀は理不尽だと述べているのでしょうか。
おそらく、それはありません。

ここで、イザナギのヨモツシコメの物語がつながってくるのです。
ヨモツシコメの「シコメ」は、日本書紀は「醜女」と書いています。
それは文字通り、醜い女性たちを意味します。
けれど本来女性たちというのは、平和を愛し美しくあることを望むものです。
(もちろん例外もあるでしょうけれど、縄文以来、日本女性はおしゃれなのです)

ヨモツシコメたちというのは、食べ物を奪われ、貧困のどん底暮らしとなり、身を飾ることもできず、やせ衰えて醜い姿となってしまってた女性たちです。
それは本当に哀れなことです。
そんな哀れな女性たちが、上から強制されてイザナギを追ったというのが、前段の物語です。
イザナギは、追ってきたそんな彼女たちに食べ物を与えました。
これは慈悲の心です。
暮らしのすべてを奪われ、理不尽にただ上からの強制に従わざるを得なかった彼女たちに、イザナギは愛を示されたのです。

時は移り、神武東征の際にも、ヨモツシコメたちと同じ理不尽が行われた女性たちが、女軍となって神武天皇の前に立ちはだかります。
どうしたら良いかと悩む神武天皇に、天つ神々は、酒を用意せよと夢で告げます。
我が国では、酒は米から造ります。
酒が象徴しているのは、稲作であり、お米です。
つまり、彼女たちが、ちゃんとお腹いっぱいご飯を食べることができるようにせよ、と命じられておいでになります。

ここに、我が国が大切にしてきた文化の、ひとつの根幹があります。

一部の人の贅沢な暮らしのために、民衆から収奪を重ね、女性たちまでもが職場という戦場に出なければならないような統治を、これらの物語は明確に諌(いさ)めているのです。

子を産み育てる女性たちは、国の宝です。
すこし過激な表現になってしまいますが、古典の話なのでご了承いただきたいのですが、女性だけが体内に宮(みや)を持ちます。
だから子の宮と書いて子宮です。
神社には参道があり、宮があり、そこに神が宿ります。
参道は産道であり、宮は子宮です。
つまり女性だけが体内に神を宿し、天上界の神々とも直接つながることができる力を持っているとされてきたのです。
これが日本の古来からの文化です。

そんな女性たちが、戦いの場に狩り出される。
それは、一部の人の利益利権のために、多くの民衆が収奪を受け、貧困な暮らしを余儀なくされた社会の、ひとつの象徴であるということを、記紀は描いているのです。

ひるがえって現代を見るに、結婚しても女性たちは外で職場という名の戦場に狩り出されています。
働くことが良くないことと申し上げているのではありません。
ただ、共稼ぎをしなければ暮らしていくことができない社会というものが、本当に国民にとって幸せな社会といえるのかどうかということを、私達は社会の原点に還って、いまいちど考えてみなければならないのではないか、と申し上げたいのです。

人口の集中する都会の暮らしでは、子のいる家庭なら、狭いながらも最低2DKはほしいところです。
けれど都内なら2DKの家賃は30〜40万円です。
つまり年間360万〜480万円の家賃が発生します。
日本人のひとりあたりの所得が400万円という時代に、これでは共稼ぎをしなければ食べていくことができないのは当然です。

もちろん、昔の農家では、女性たちが畑仕事をこなしたし、稲作も女性たちの仕事とされてきた歴史があります。
家のために働く、家族のための働くということ自体は、決して悪いことではありません。
ただ、自由意志で家族のために働くことと、強制徴用されることでは、意味が違うと思うのです。
まして、強制徴用に応じざるを得ないほどの貧困がまかり通っているのだとしたら、それこそ政治の貧困といえるのではないでしょうか。


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Author:小名木善行(おなぎぜんこう)
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国司啓蒙家
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